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第8話

久能の両親の死には、義雄が深く関与していた。そして、久能も武について少なくとも何かを知っているのは明らかだが、彼はそれ以上何も話すつもりはないようだ。そこで、彼の関係者から手がかりを探るしかない。

久能の両親は既に他界しており、親戚も皆遠方に住んでいる上、彼には社会的な記録が一切ない。関係者を見つけるのは至難の業だった。しかし、この仕事は再び田村の担当となった。

30分後、田村が興奮気味にドアを開けて言った。「見つけたよ!鉄北刑務所に、一緒に久能とつるんでた人がいる!」

鉄北刑務所に到着すると、刑務官が面会の場を手配してくれた。現れたのは痩せ細った男で、鋭く鼠のような目つきをした眼に、首には目を引く横一線の傷跡があった。

しかし彼と30分以上も話し合い、田村と私で様々な手を尽くし、さらに刑務官も説得したが、彼は頑なに久能を知らないと言い張った。

私は椅子にもたれ、眉をひそめた。

「そのうち、この物が役に立つだろう」ふと、久能がライターを渡してきたときの表情が脳裏をよぎった。

私は急いでズボンのポケットからその金属製のライターを取り出し、男に見せた。「この物、知っているか?」

彼は驚き、信じられないという様子でライターを見つめた。「あんた……はおさんの指示で来たのか?」

私はうなずいた。

彼は顔を歪め、泣きそうな表情で言った。「やっと来てくれたのか!」

そして彼は、久能について話し始めた。

「あの頃、俺はまだガキで、いわゆる不良ってやつだったんだ」

「それで、『内田組』っていう組に入ったんだが、はおさんはその時のボスだった」

「すぐに俺もはおさんの手下になって、よく一緒に義雄に会いに行っていた。でも、義雄ははおさんを怖がっていたのか、見下していたのか分からないが、ほとんど目を合わせようとしなかった」

「後から分かったのは、俺たちは義雄のために動いていたことだった。俺たちが取り立てたみかじめ料や、女の子を売らせて稼いだ金の大半は義雄のところに入っていたんだ」

「それに加えて、少しずつ分かってきたのは、義雄に使われているのは未成年ばかりだったことだ」

「組の奴らは、大人になるといつの間にか消えていたんだ」

「ある時、はおさんに連れられて森田家の坊さんの学校へ行き、外で待っていろと言われたんだが、はおさんが何をしていたのかは教えてくれ
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