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第10話

義雄は荒い息をつき、私を振り返って睨みつけた。「刑事さん、お前も見たよな?となれば、生かしてはおけない!」

そう言いながら、真っ黒な銃口が私の頭に向けられた。その瞬間、ドアの外から急な足音が聞こえ、倒れたオノクが笑っているのが目に入った。

ドアが開き、私と義雄は一緒に振り返った。

「パン!」という銃声とともに、義雄がその場に倒れた。

刑事課の山下課長と私は顔を見合わせ、互いに呆然としていた。

「どうしてここに?」と私は尋ねた。

「銃撃事件が発生したと通報を受けてね。それに君がここにいると聞いて急いできたんだ」

その時、オノクは壁を支えながら立ち上がり、冷ややかな目で森田義雄を見下ろした。「あの時、君が僕の父に顔向けできず僕を見つめることができなかったり、つばさが事件を起こした後に助けに行ったりしてさえすれば、武の顔を一度でも見たなら、こんな無残な死を迎えることはなかったのに」

「さあ、一緒に地獄へ行こう」

義雄は倒れたまま、微動だにしなかった。

この劇はようやく幕を下ろしたのか?

もしかして、これがオノクの目的だったのか——警察の手を借りて義雄を殺すために。しかし、それなら初めから義雄を殺せば済む話ではなかったのか?

オノクは私が眉をひそめているのを見て、笑いながら尋ねた。「君はきっと、こんなことまでして面倒だと思っているだろう?」

私は頷いた。

オノクは息も絶え絶えながらも勝者のような口調で続けた。「僕が求めているのは、ただの死じゃない。彼が苦しみ、恐怖すること。そして、僕の親友へのけじめだ」

彼の言葉の意味がすぐには理解できなかったが、私にはまだ気になることがあった。

「君はどうやって全ての監視を避けて、つばさを殺したんだ?」

オノクの顔は青白く、それでも笑みを隠しきれなかった。「知ったところで、つまらないと思うだろう」

「そうだ、もし武に会うことがあったら、謝罪を伝えてほしい」そう言うと、オノクは壁に寄りかかりながら崩れ落ちた。

その後、救急車が到着し、義雄とオノクを連れて行った。そして私もパトカーに乗り込んだ。

帰りの車内で、山下課長はこう話してくれた。この和食店は久能はおが経営していて、はおは警察の武器庫より多くの銃を持っているらしい。彼らは武装して駆けつけ、銃声を聞いた途端、義雄が私に銃を向けているのを見て反射的に
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