第705話

遥輝はまさか誰かがその場面を撮影していたとは思ってもみなかったし、しかも佐藤家の威厳を無視してその場で公開されるとは夢にも思わなかった。その瞬間、彼の隠していた恥が一気に暴かれた。

その場にいた少女たちの憧れの夢はすべて粉々に砕かれた。この表向き立派な男が裏ではどれほど卑劣な人物かが分かった。

桜乃はその場に立っていられなくなり、怒りのあまりシャンペンの瓶を掴んで遥輝の頭に叩きつけた。

ここ数日、母子はどんな手段を使っても彼女を怒らせようとしたが、全く効果がなかった。それが、たった一言でついに彼女の怒りを引き起こした。

「このクソガキ！死んでしまえ！」

桜乃は遥輝の頭を割った。血が彼の額から滴り落ちた。

椿はその様子を見て、もう演技を続けることができなくなった。彼女も桜乃を同じように攻撃しようとしたが、執事がすぐに止めに入った。

「あなた！息子が冗談で言っただけのことでしょう？間違っていたとしても、井上姉さん、こんなに酷いことをするなんて！この家にはもう私たちの居場所はないわ。息子、行きましょう！」

「いいさ！出ていくなら早く出ていけ！邪魔だから！」旦那様は怒り狂い、できることなら自分で遥輝の頭を叩き割りたかった。

「今までも君たちを認めたことはないし、これからもない！こんな心が歪んだ奴、佐藤家の一員だなんて認められるはずがない！」

この言葉を聞いた瞬間、遥輝はゆっくりと頭を上げ、その目にはまるで闇の中でうごめく蛇のような憎悪の光が宿っていた。彼は佐藤旦那様を鋭く睨みつけて言った。

「おじいさん、その言葉は本気ですか？」

彼の頭からはまだ血が流れていた。その血が顔をより陰険に見せていた。

「ここにいる皆さんに証人になっていただきたい。佐藤蒼太がここで宣言する。遥輝、お前を一生佐藤家に入れない！出て行きたければ出て行け。執事、彼らの荷物をまとめて、一緒に追い出せ！」

旦那様の激しい怒りに、椿もようやく事の重大さに気づいた。

彼女はこれまで駆け引きの技を使い続けてきたが、それが通用するのは翔太に対してだけだということを忘れていた。

蒼太は元々彼女を憎んでおり、今日の母子の騒動で桜乃を追い出そうとしたことに、ついに我慢の限界を迎えた。

蒼太はついに決断を下した。彼はこうした人間を蛇のように思っていた。どれだけ手を尽くしても、彼女たちの