第49話

　離婚後の生活は優子が想像したように辛くなかった、真澄は家で何日か彼女に付き合って、彼女の体が回復するように料理を工夫してあげた、そのおかげで優子の顔色が少しずつ良くなってきた。

化学療法の影響が弱くなったので、元の状態には戻れないが、ただでさえ気絶することはなくなった。

腕の傷にも再び瘡蓋ができたし、髪の毛が抜ける量も減ったし、すべてが良い方向に進んでいるようだった。

真澄も心から喜んだ、この数日、優子は自分と一緒に寝ていて、赤ちゃんのベッドで縮こまらなかった、優子ならきっと立ち直ると真澄は信じていた。

回復が早い優子を見て、真澄は提案した。「クラスの班長が同窓会を開くつもりなの、暇だから、私たちも行きましょう」

「私......」優子が拒否しようとしたところに、真澄が遮った。

「昔の同級生の多くが出世しているわよ、良い脳外科医を探したいって言ってたよね？同級生の中にそういうつながりを持つ人がいるかもしれない。

「それに、あんたいつも時間がないと言っているんだから、もう家で時間を無駄にするべきじゃなく、外に出かけるのはいいんじゃない？」

困った顔をしている優子を見ると、真澄はすぐに彼女の考えがわかった、優子は裕福な家庭に生まれただけでなく、指導教員にも目をかけられた将来有望な学生だった。

しかし、今となっては、昔の同級生たちとは比べ物にならない、彼女は当時退学をした、そして、高橋家はもう破産していた。

「優子ちゃんったら、つまらない意地張らなくていいよ、ほら、医者を辞めて不動産の売買に身を転じ、トップセールスマンになった私でも、恥ずかしくないから、あんたは何を恥ずかしがってる？いずれにしろ、あんたは200億円を持っているお金持ち、あっそうだ、あいつから株式ももらったでしょう？」

離婚協議には多くの条項があった、経済面では峻介は気前がよかったから、優子は彼の財産の半分こそもらえなかったが、一生をかけても使い切れない大金を手に入れた、佐藤グループの株式だけでも、毎年の配当が何十億円にもなる。

ましてや不動産もくれたのだ、慰謝料だろうと、優子と縁を切るための見返りだろうと、少なくとも金銭的な面では峻介は義理を果たした。

優子は断りきれず、同意するしかなかった。

インターネット上で、佐藤グループ社長の一ヶ月後の婚約パーティーのニュースが広まった、