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第219話

江口総裁はその自信に満ちた表情が一瞬で固まった。

本当に、彼はこれまで生きてきてこんなに図々しい女性に出会ったことがなかった!最初は怒りを感じていたが、高橋優子の「忘れずにお勘定をしてください」という一言で、怒りが消え失せ、思わず笑ってしまった。

「いいね、なかなかやるじゃないか!渡部組長、これからはもう私を煩わせるのはやめてくれ。君たちとは二度と仕事をしないよ」

「そんな!」渡部春香は驚き、恐怖で顔が真っ青になった。江口総裁との契約は彼女が長い間交渉してきたもので、今や契約成立直前までこぎつけていた。それが今、高橋優子のせいで全てが水の泡になろうとしていた。

「すべて新人が未熟なせいです。江口総裁、どうか寛大なお心でお許しください。実は、この後にも素晴らしいプランをたくさんご用意していますので、もしお帰りになってしまうと、非常にもったいないことになります。すぐにこの小娘に謝罪させます」

江口総裁の視線は高橋優子の顔に釘付けた。確かに彼女は特別な魅力を持つ女性だった。

彼は渡部春香の手の甲を撫でながら言った。「素晴らしいプランとは?」

渡部春香は躊躇しながらも、ポケットから一枚のルームキーを取り出した。「江口総裁、今夜の宿泊先はすでにご用意しております」

本来、彼女は高橋優子を酔わせて江口総裁のベッドに送り込むつもりだったが、今では事態が自分の手では負えなくなってしまっていた。

江口総裁はルームキーを見て目を細め、「渡部組長がそこまで気を遣ってくれるとは、ありがたいことだ。さて、この食事は続けようか?」と言った。

「もちろん続けます」

渡部春香は自信を持って答えた。「今日は彼女を酔わせてでも、必ず江口総裁に謝罪させます」

何とか江口総裁の足を止めた後、彼女は付け加えた。「江口総裁、少しだけお時間をください。この新人に少し話をしてきます」

「いいだろう」江口総裁は手を振って言った。「渡部組長、私を失望させないでくれよ」

渡部春香は高橋優子を連れて外に出て、人目につかない場所に彼女を引っ張り込んだ。そして、開口一番に言った。「優子、今日ここに来たからには、この契約を取らなければならない。江口総裁を喜ばせられれば、以前のことは水に流してあげるわ」

「組長、江口総裁は私の父親か息子ですか?なぜ彼を喜ばせないといけないのですか?あなたの業績はすべ
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