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第313話 出来損ないが!

 答えが得られなかったので、入江紀美子は振り向いてレストランに入った。

注文を待っていた間、紀美子はイラついて携帯を出し、ニュースなどで気を逸らそうとした。

しかしその短い間で、森川晋太郎が人を殴る動画は既にトレンドのトップに上がった。

タイトルは非常に目立っていたーー『突発、MK社社長が自分の兄をフルボッコに!』

紀美子は驚いた。森川次郎が晋太郎の兄だった?!

それを気づいた紀美子は、脳裏で白芷が次郎を見た瞬間の恐怖を思い出した。

彼女の推測が間違っていなければ、晋太郎と次郎との問題はそこからだったかもしれない。

でなければ、晋太郎は次郎が自分を引っ張っただけでいきなり殴り出すわけがなかった。

同様に、次郎は殴られた方ではあったが、潜在意識が紀美子に、その男はまともな人間ではないと教えていた。

……

晋太郎が次郎を連れ去った途中でも、彼への暴力を止めようとしなかった。

車が森川家旧宅の前に止まってから、晋太郎は漸く次郎を下ろすように指示した。

晋太郎も曇り切った顔で車を降り、一歩ずつ満身創痍の次郎の前に来た。

彼の目つきは冴え切っていて、必死に次郎を見つめ、冷たい声で警告した。

「これ以上紀美子の指一本でも触れたら、死んだ方がマシだと思うほど痛めつけてやるから、覚えとけ!」

「そう?」

次郎は狼狽して頭を上げ、血塗れの歯を見せながら、軽く鼻を鳴らした。

「もし俺が彼女に触れるだけではなく、お前の母と同じく苦しめ、彼女を俺の前で跪かせ、俺の欲求発散の道具にすると言ったら?

晋太郎、俺はお前の母をやった、お前の女もやってやる!」

晋太郎は拳を握り緊め、漆黒な瞳の中は怒りの炎が滾り、

「ならば今お前に死んでもらう!」

そう言って、晋太郎は車のトランクからバットを出し、思い切り次郎の頭に向って振り降ろした。

次郎は頭を抱えて痛みを堪えたが、顔には凶悪無比な笑みが浮かんでいた。

晋太郎が彼を殺したいほど、彼は却って晋太郎を刺激した!!

「晋太郎!お前の母の体、俺は一生忘れられないな!紀美子もなかなかいい体をしてるんだろ?!あぁん?!そうでなきゃ、お前が3年も遊び続けてきたわけがねえだろ?!

俺はお前が苦しんでいる姿が好きでな!残念なことに、お前には娘がいない。いたら彼女の体も味わってみたい、きっと美味しい匂いがするんだろうな
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