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第267話 心配しないで

 工場を回り終わった頃、子供達が下校する時間になった。

入江紀美子は田中晴と分かれ、幼稚園に向かった。

子供達を迎えて、紀美子は車の後ろの席に座り、彼らに打ち解けた。

「佑樹、ゆみ、お母さんはあなたたちに言っておきたいことがある」

入江ゆみは大きな目を瞬きながら、「なに?」と聞いた。

紀美子「お母さんのお父さんの方の親戚が家に来てるけど、その人達はちょっと悪いことをしてて、うっかりあなた達が建てたレゴのお城を壊しちゃったのよ」

「えええええ?!」ゆみは目を大きく開いて叫んだ。「何で私たちが頑張って建てたお城を壊したの?!」

隣で話を聞いた入江佑樹も笑みを収め、眼差しが暗くなった。

「生まれてから教養がない人もいるのよ、でも一つだけお母さんと約束してくれる?何があっても必ず自分をちゃんと守って、いい?」

紀美子は子供達に注意した。

佑樹「その人達はいつ帰るの?」

紀美子「分からないわ」

ゆみの目が潤んで、「お母さん、その人たちはお母さんをイジメてたの?」と聞いた。

紀美子は娘を懐に抱き込み、「お母さんは頭がいいから、イジメられるわけがないでしょ?心配しないで。」とゆみを慰めた。

ゆみは小さな手でしっかりと紀美子の服を掴み、泣きそうな声で、「その人たちが酷いことをしない限り、私とお兄ちゃんはお母さんを困らせたりしないから」

「大丈夫だわ」紀美子は笑って、「さっき言ったでしょ、あなたたちがちゃんと自分を守れば、それでいいの。たとえ本当にその人たちにイジメられても、絶対に罵って言い返してはいけないよ」と言った。

弱腰を見せればイジメられるだけ、自分を守る方法は沢山あって、彼女は子供達に小さい頃からイジメを甘んじて我慢するのを絶対許さない!

佑樹は拳を握りしめ、その人たちは一体どんな素性をしているか、彼は見てみたかった!母親にそんな話まで言わせた奴、絶対許さない!

家に着いて、紀美子はドアを開けると、入江億実が自分のハイヒールを履いて歩いていたのを見た。

彼女のシルクのパジャマは入江世津子が着ており、顔には彼女のシートマスクをつけていた。

ゆみはそれを見て、何も言わずに飛び掛かっていった。

彼女は億実の前に止まり、幼い声で怒鳴った。「誰があなたはお母さんの靴を履いていいと言ったの?!」

億実はゆみを見下ろして、「履きたいから履いたの
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