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第6話

私は考え込みながら言った。

「そういえば、前に桐谷さんが豪華クルーズのパーティに参加するとか言ってたわ。主催は海外の財団らしいけど、リスクが高すぎると思って、私は参加を断ったの」

どうやら誰かがわざと彼に契約させたようだ。でも、その誰がどんな目的でやったのかは、私には知る由もない。ただ......少しばかり気がかりだ。だから祐一に念のため警告した。

「もしかしたら、盛岡テクニックは破産するかも」

祐一は意外そうに眉を上げた。

「随分と冷静だな、どうしてだ?」

私は肩をすくめて答えた。

「私には関係のないことですから。それに、ビジネスですし、私も稼がなくてはなりません。わざわざ競争相手に手を貸す必要もないですから。

それに、盛岡テクニックを取り込むことができれば、もっと大きな財団と渡り合えるようにもなりますし」

「確かに。じゃあ、しばらく様子を見ていよう」

こうして盛岡テクニックはまるでダークホースのように急成長し、注目を集めるようになった。

その一方で、華音も「バズりの秘訣」を掴んだようで、SNSにしきりに明彦とのツーショット写真を投稿し始めた。

彼女は「社長を攻略中の記録」とでも言わんばかりのキャッチコピーをつけ、まるで恋愛ドラマのように投稿を続けている。すると、すぐにネットがざわつき始め、コメントが次々と寄せられた。

「わお、職場恋愛!?しかも社長が相手だなんて!」

「イケメンの上司に求めたら、なんでも聞いてくれるなんて最高じゃん!追っかけ始めてから100日目って感じ?」

「今日のサプライズって何だろう?ドキドキする~」

彼女の言葉にネットは沸き、彼と彼女の「恋愛ストーリー」に夢中になるフォロワーがどんどん増えていった。

彼女の投稿で期待が煽られ、ネット上では二人の「社内恋愛物語」に興味津々のコメントがあふれ返った。まるでラブコメみたいな展開だ。私は裏でこの光景を眺め、思わず笑ってしまった。

その時、以前の会社で人事部長だった人からメッセージが届いた。

「白崎さん、シビックテクニックで採用ってやってないですか?」

「えっ、どうして?盛岡テクニックは大きな契約を取ったばかりでしょ。今になって転職?」

「このままじゃ本当にストレスで倒れそうですよ......あの二人、恋愛脳が過ぎて、まともに仕事してないのに、その下で働く人が
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