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復讐と大成功!捨てられたOL、裏切り社長と元秘書に倍返し!
復讐と大成功!捨てられたOL、裏切り社長と元秘書に倍返し!
著者: はちゃめちゃハスキー

第1話

胃がキリキリと痛む中、ようやく病院から帰ってきたところで、桐谷明彦が私の手首を掴んだ。

「へえ......強気じゃないか。前田社長がなんて言ったか、知ってるか?

『白崎を甘やかしすぎだ』ってさ。この契約、台無しにしたのはお前のせいだ。すぐに前田社長に謝ってこい」

その手を振り払いながら、私は冷たく言い返した。

「行かないわ。礼儀も知らないクライアントに頭を下げるなんて、冗談じゃない」

そしてゆっくり、明彦を睨みつけながら続けた。

「どうしてもあんな相手と取引を続けたいっていうなら、私は辞めるだけ」

私の言葉に明彦が一瞬、驚いたように私を見つめた。

それでも、私は動じず、テーブルの前まで歩くと、バッグから薬を取り出して口に放り込む。

顔を上げると、彼はいつの間にかスマホに目を落としていて、気の抜けたような笑みさえ浮かべていた。

「会社に用があるから、出かける」

「......分かったわ」

私の冷静さに驚いたのか、明彦は一瞬だけ戸惑いの表情を見せたが、そのまま部屋を出る前に言い捨てた。

「前田社長の件、あとでちゃんと説明しておけよ」ふん、ともつかないように言い残して、さっさと彼は出ていった。私は気にせずノートパソコンを開き、メールを打ち込む。

「桜庭先生、お話いただいていた上場企業への転職、前向きに考えております」

半年ほど前、桜庭先生から「転職を考えた方がいい」と勧められた。私が明彦の会社で営業をしていると知ったとき、彼は驚きと落胆を隠せなかったようだった。

「結花、君はもっと自分の学びを生かせる道を歩むべきだ。あの会社はリスクが大きすぎる」

桜庭先生の言葉には心が揺れたけど、その頃の私はまだ明彦を愛していた。

大学から数えて8年、私たちはまるで一つの存在のように溶け合っていると思っていたのだ。

でも、それは幻想だった。彼にはもう「新しい相手」がいたのだから。

そう、西園寺華音─あの新人秘書がね。

明彦が私にとってどんな人間なのか、今はもうよく分かる。私の体調なんて気にも留めず、お酒まで飲ませて契約を取らせようとする。そんな彼に、未練なんて残るはずもない。

私は退職願をすぐに送信し、スパッと会社に別れを告げた。

その時、スマホが光って通知が入った。華音がSNSに、明彦の背中を撮った写真を載せていたのだ。「食べたいって言っただけなのに、彼が料理してくれた♡」とメッセージが添えられている。

かつて、私たちが付き合い始めた頃、明彦のために豪勢な手料理をふるまった時も、彼は笑って「君は本当に素晴らしい女性だ」って褒めてくれた。

でも、どれだけ私が苦しい時も、彼は私に料理など作ってくれたことがない。そんな彼が......

私は失笑して、彼女の投稿に「真実の愛ですね」と皮肉交じりにいいねを押した。

ほどなくして、彼から怒りの電話がかかってきた。

「結花、どういうつもりだ!俺と華音は同僚で、友人なだけだ。彼女を変なふうに捉えられたら迷惑だろうが!謝りに来い、ついでに料理も一品持ってこい!」

......信じられない。私に料理を作れって?

私は電話口で笑いを噛み殺し、「明彦、よーく聞いて。もううんざりなの。だから─」

「私、辞めるから!」

彼の返事を待たずに電話を切ると、全身が晴れやかになった気がした。

八年も費やしたのに、明彦は私のことをただの都合のいい存在としてしか見ていなかった。今、やっと分かった。もう迷うことなく荷物をまとめられる。

その時、玄関からバタンと音がし、明彦が帰ってきた。

「白崎結花、いい加減にしろ!」

赤い顔で立つ彼を見て、私は無言で鍵を手に取り、差し出す。

「......おかえりなさい。じゃあ、これで全部よ。私たちはもう終わりだから」

すると彼は、薄笑いを浮かべてこう言い放った。

「これもいつもの駆け引きだろう?三日か五日で元に戻るんだろう?そんなやり方、もう飽き飽きなんだが」

彼は、私がただ怒って駆け引きしているだけだと思い込んでいる。

確かに、今までは何度も......馬鹿みたいに彼を許してきた。でも今度だけは違う。

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