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第57話

招待状について、彼らはよく知っていた。招待状にもランクがあり、一般に公開されているものは普通席で、最後列でしか立ち見ができない。しかし、特別ゲストは別格で、最前列に座席が用意されている。

唐沢健介が特別ゲストの招待状を取り出したことで、その場にいた多くの人々が驚愕した。

「唐沢家はただの二流の一族はずなのに、どうして特別ゲストの招待状を持っているんだ?」

「だからこんなに派手なパフォーマンスをしていたのか。なるほど、明王の特別ゲストだったんだ」

多くの人が噂を交わし始めた。

彼らは皆、唐沢家と明王の関係が並々ならぬものであると感じていた。

でなければ、特別ゲストの招待状を手に入れることはできなかったはずだ。特別ゲスト席に座ることができるのは、ただ金持ちであるだけでは不可能で、真の大物に限られている。

「唐沢さん、あなたでしたか。最近はお元気ですか?」

「健介さん、十数年ぶりですね。ますます元気そうで何よりです」

唐沢健介が持っているのが特別ゲストの招待状だとわかると、多くの大物たちがわざわざ挨拶に来た。

本当の大物たちが自分に挨拶をしてくれるのを見て、唐沢健介は非常に光栄に感じた。この瞬間、彼は自分が上流社会に足を踏み入れ、これらの大物たちと交わりを持てたと実感した。

唐沢家の人々もみな誇らしげで、人生の頂点に立ったような気分だった。

一方、車列の最後にいた江本辰也と唐沢桜子は、まだ車から降りていなかった。

唐沢梅はこの光景を見て、後悔の念に駆られていた。早くもこんなことになるとは思わず、唐沢健介がこれほどまでに注目されるなら、自分も来ればよかったと後悔したのだ。そして、彼が唐沢麻衣を褒めたたえることは間違いないと確信していた。

「やっぱり、麻衣はいい彼氏を見つけたわね……」と彼女はついに感慨深げに呟いた。

しかし、江本辰也は一言も発さなかった。

彼は待っていたのだ。入場が始まるのを。

そして、今、唐沢健介がどれほど高く持ち上げられているか、これから彼がどれほどひどく落とされるのかを見届けるために。

川島隆も到着し、唐沢健介が持っている特別ゲストの招待状を見て、彼も羨ましさを抑えきれなかった。唐沢健介には素晴らしい孫婿がいることを羨ましく思ったのだ。

彼は近づき、大胆に挨拶した。「唐沢さん、お元気そうで何よりです」

「川島さん
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