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第47話

「ん?」

「星野市に新しく建てられた商業センターを買い取ってくれ」

「え?」

その言葉に、黒介も驚きを隠せなかった。

星野市商業センター——これは新たに建設された商業都市で、50階建て以上の高層ビルが50棟以上もあり、周辺にはナイトマーケットや歩行者天国、骨董品街などもある。

星野市商業センターは既に完成しており、いくつかの不動産大手が手を組んで建設したもので、全国で最も繁栄した商業都市にすることを目指している。

「どうした?金が足りないか?足りないなら、関係を使って圧力をかけろ」

江本辰也を一瞥した黒介は、思わず問いかけた。「江本さん、いったい何を考えているんですか?俺たちの手持ちの資金は合わせても40兆円程度です。星野市の商業センター全体を買い取るなんて、どれだけの資金が必要なのか分かっていますか?その土地だけでも価値は計り知れませんし、聞いた話では、不動産大手各社が約10兆億を投入し、5年かけてようやく完成させたものです」

江本辰也は、そういった細かい数字にはあまり関心を示さず、直接尋ねた。「その商業センターを買い取るには、いくらかかる?」

黒介は少し考えてから答えた。「各大手不動産会社が総額10兆円以上を投入しています。最低価格で買い取ったとしても、不動産業者が利益を得ないとしても、最低でも12兆円は必要でしょう」

「買え。金が足りなければ、南荒原のお金持ちに頼んで、早急に12兆円を用意して、この商業センターを買い取れ」

「その金額は簡単には集まりません。俺が直接南荒原に戻るしかありません」

「行け」江本辰也は軽く手を振った。

その頃、唐沢家では。

「桜子、何を迷っているの?さっさと江本辰也と離婚しなさいよ!」

「そうだね、お姉ちゃん。たとえ川島隆みたいな年寄りの愛人になったとしても、江本辰也のような退役軍人と一緒にいるよりはマシだわ」

家族全員が唐沢桜子に江本辰也との離婚を勧めていた。

「ちょっと疲れたわ。先に部屋に戻って寝る」唐沢桜子は立ち上がって、部屋に向かっていった。

部屋に戻ると、彼女はベッドに座り、少しぼんやりしていた。

この頃、江本辰也がそばにいるのに慣れてしまったため、彼がいない今、なんだか物足りなさを感じていた。大切なものが突然消えてしまったような気がしていた。

彼女は江本辰也が彼女を喜ばせようとして
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