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第2話

私は急いで1階に駆け下り、寮母さんの窓をガンガン叩いた。

「おばさん!大変なんです!」

1分ぐらい叩いてたら、ようやく寮母さんが出てきた。すっごく面倒くさそうな顔で、のんびりと歩いてきた。

「何よ、騒がしいわね」

私はすぐに近づいて、「おばさん、うちの寮で誰かが高出力の電化製品を使ってます!」って言った。

この寮母さん、鈴木さんと言って、前に夏美のことを告げ口した時にその話を漏らした寮母さんとは違う人だ。だから、私のことなんて知らないはず。

普段から学校は違法な電化製品に厳しいし、学生が自主的に通報したら、寮母も当然動くしかない。

鈴木さんは、「最近の学生は本当に図々しいわね、学校がこんなに厳しく取り締まってるっていうのに」とブツブツ言いながら、すぐに私と一緒に部屋に向かってくれた。

部屋に着いて、ドアを開けると、鈴木さんが大声で叫んだ。「誰だ!違法な電化製品を使ってるのは!」

ベッドで化粧をしていた夏美は、びっくりして手が震えて、アイラインがぐちゃぐちゃになった。何が起こったのか気づくと、怒りに満ちた目で私を睨みつけてきた。

「陽甜、あんた、私を通報したの?」

夏美の恐ろしい顔に、私は慌てて鈴木さんの後ろに隠れた。

「寮で料理なんてしてるからだよ。高出力の電化製品は危ないし、火事になったらどうするのよ!」

夏美は怒りに燃えて、私に掴みかかろうとした。

「本当に面倒起こすのが好きなんだね!覚悟しなさいよ!」

「夏美、やめなさい!」

鈴木さんが一喝すると、夏美はすぐに手を引っ込めた。無理やり笑顔を作って、「いや、そんなつもりじゃ…」って言い訳しようとしたが、鈴木さんは冷たい顔のままだった。

「鍋を持って、私についてきなさい」

鈴木さんはそう言って、夏美はしぶしぶ鍋を持ってついていった。私の前を通り過ぎる時、夏美は恨めしそうに睨んできた。

「覚えてなさいよ」

夏美がいなくなった後、星雅が冷たい目で私を見た。

「本当、あんたはなんでそんなに厄介ごとを起こすの?一緒の部屋に住むの最悪だわ」

星雅は、1年生の頃から夏美の腰巾着で、夏美を盾にして他の学生をいじめてた。

私は彼女に聞いた。

「星雅、その鍋、あなたの?それとも夏美の?」

星雅は私が怯えてると思ったのか、鼻で笑いながら言った。

「もちろん夏美のだよ。仮に私のだったとしても、夏美があんたを許すわけないじゃない。楽しみにしてな」

私はただ肩をすくめただけだった。

しばらくすると、夏美がまた鍋を持って戻ってきた。彼女は私の前でまた電源を入れて、腕を組んで得意げに言った。

「陽甜、まだ通報するつもり?知らないの?この寮母さん、私の叔母なのよ。私に逆らうってことは、学生会全体に逆らうってこと。これから大変になるわよ」

もちろん、私は鈴木さんと夏美が親戚だって知ってた。前世でも、最後に私が違法な電化製品を使ってるって指摘したのはこの鈴木さんで、それで学校が私を処罰したんだ。夏美と親戚だから、彼女は夏美を庇ったのだ。

「たかが学生会でしょ、そんなに偉そうにしないでよ。私を追い出すことなんてできないでしょ?」

「いいや、本当に追い出せるわよ」

夏美は怒りに燃えて、私を引きずり出して寮の外に放り出した。まず私を部屋から追い出して、次に布団や枕を外に投げつけた。

星雅は私のクローゼットから次々と物を投げ出し、その中には私の大切なノートパソコンやタブレット、銀行カードまで入っていた。

私は大声で叫び、注目を集めた。「夏美、あんた、やりすぎよ!指導員に言いつけるからね!」

夏美は自信満々に言った。

「校長に言いつけても平気よ。みんな私の言うことを信じるか、あんたの言うことを信じるか、見ものだわね」

そう言うと、夏美は周りを見回し、「それに、誰か彼女を助けるなら、学生会に逆らうことになるから。よく考えて」と念を押した。

その言葉で、見物していた人たちは一瞬で散らばり、助けようとしていた人も口を閉ざしてしまった。

夏美は結果に満足し、冷たく笑って言った。

「今夜は廊下で寝なさい」

夏美の勝ち誇った顔を見て、前世の自分の悲惨な運命を思い出し、胸が痛んだ。

今夜、私はどこで寝るか分からないけど、あなたは——警察署で寝ることになるわよ。

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