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第166話

その時、誰かが口を開いた。「千早さんは以前、ケビン先生とコラボしたことがあるらしいですね?」

立川千早はほくそ笑み、得意げに言った。「はい、三年前、海外でデザイナーをしていた時に、ケビン先生が開発したアンチエイジングマスクのデザインを担当しました」

「そういえば、ケビン先生があなたのデザインを絶賛して、長期契約を考えていたそうだけど、結局どうなったんですか?」

「その時、家の事情で帰国せざるを得なかったです」

皆は残念そうに扼腕した。

次に、誰かが提案した。「千早は三年前に、ケビン先生とコラボした経験があるので、この件は彼女に任せるべきだと思います。彼女のデザインなら、ケビン先生も満足するはずです」

他の人たちも頷きながら同意した。

しかし、神原清の視線は南雲華恋に向った。「南雲部長は、どう思うか?」

その時、皆は南雲華恋がデザイナー部の部長であることを思い出した。

だが、立川千早が経験と能力を持っているため、南雲華恋に気づかなかったのも無理はなかった。

上の人は本当に何を考えているだろう!キャリアのない人を部長にするなんて!

「この問題は重大なので、一人に任せるべきではないと思います。もっと多くの人に参加してもらいたいです」

南雲華恋はこれが自分にとってもチャンスであることを理解していた。

「それならいいですけど」と立川千早は腕を組み、顎を上げて、上から目線で言った。「デザインはとても個人的なことですので、私は一人でやりたいです。他の人を参加させるなら、私はリタイアします」

この言葉により、多くの人が南雲華恋に話の矛先をを向けた。

「南雲部長、千早さんはケビン先生と協力した経験があり、ケビン先生も彼女の作品を気に入っています。彼女の方が経験がありますから、この件は千早さんに任せるべきだと思います。社長はどう思いますか?」と言ったのは財務部の部長だった。

神原清は眉を押さえ、来る前からこうなることを予感していたので、こう言った。「こうしましょう、南雲部長と副部長にそれぞれデザイン案を出してもらい、ケビン先生がどちらのデザインが好きか見てみましょ。どうだ?」

この提案に立川千早は真っ先に賛同した。「いいですね、その方法がいいと思います。ちょうど上の人にも見せてあげますわ。誰が実力者か!誰が無能者か!」

他の人たちも次々と賛同した。

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