第112話

南雲華名は心に納得がいかない思いを抱えつつも、賀茂哲郎の前では何とかいい子ぶっていなければならなかった。

さらに、彼女は確信していた。南雲華恋は必ず彼女を皮肉るだろう。

その時、彼女はまた同情を売りつけて、すべての非を南雲華恋に押し付け、一石二鳥のつもりだった。

南雲華名は南雲華恋のlineを開こうとしたが、彼女はブロックされていた。

電話をかけてみても、携帯番号もブロックされていた。

彼女は鼻をすするようにして、無力感を抱えながら賀茂哲郎を見た、「姉さんは私に怒っていて、私の連絡先をすべてブロックしたに違いない。哲郎兄さんさんの携帯を貸してくれないか？」

賀茂哲郎は携帯を取り出し、南雲華名に渡した。

南雲華名は連絡先を開き、南雲華恋に電話をかけたが、誰も出なかった。

次に賀茂哲郎のlineを開いた。

その時、賀茂哲郎は南雲華恋が彼のlineもブロックしていることを思い出した、「俺のlineもブロックされてる」

南雲華名はそれを見た。

ただの大きな感嘆符だけでなく、賀茂哲郎が送った一言も見えた——

「第二位獲得おめでとう」

南雲華名は目を瞬きし、指を強く握りしめた。

優勝した彼女が自分からお願いして、やっと祝ってもらった言葉が、南雲華恋にはこうも簡単に何もできなくても、祝ってくれたんだ。

「哲郎兄さん、最近、おじい様はあなたに南雲華恋と一緒にさせようとしているの？」

賀茂哲郎は彼女の様子に気づかずに答えた、「ああ」

「本当に彼女と一緒にいっちゃうつもり？」

賀茂哲郎は一瞬固まって、目に少しの動揺が走った。

「これはおじい様の命令だから、仕方ない。でも、華名、安心して、その後すぐに彼女を振ってやるから」

彼はただ、かつて彼を追いかけていたあの小さな尻尾が、こうも簡単に消えてしまうことに甘んじることができなかった。

南雲華名の爪は再び肉に食い込み、恐ろしい目をしていた。

南雲華恋、もう彼女を生かしておくわけにはいかない！

......

南雲華恋は賞をもらい、仕事も手に入れたので、もちろん小林水子を食事に招待することにした。そして、彼女もこの機会に賀茂時也にしっかり感謝したかった。

「それなら、稲葉商治も誘おう」賀茂時也が言った。

南雲華恋は異論はなかった、「彼に電話をかけてくれる？」

「いいよ」

賀茂時也は携帯を取