第7話

由香里はずぶ濡れでやってきた。彼女の手には傘を持っていたが、雨に降られて完全に濡れぬれで、濡れた髪が顔に張り付いている。

ほとんど彼女に気づかなかった。

しかし、彼女に憐れむ気持ちはまったくなかった。帰ったら藤井翔太に慰められるからだ。

彼女のことは私には関係ない。

私のことも。

「由香里と関係ない。早く出て行け」

伊藤洋子と再会する喜びが彼女で消えた。

帚を取り出して彼女を追い出したい気持ちになった。

由香里はかわいそうに言った。

「ただ雨が降り始めたから、悠斗が傘を持っていないのを心配して、傘を差し上げに来たんです」

そばにいる伊藤洋子は聞いて笑い出した。

「つまり、傘を届けるために、人の家の前で待っていたのか。銀行に行って送金してもらえばいいじゃない」

それを聞いて、私は笑いを隠せなかった。

そうだ、以前雨が降った時、由香里はいつも無関心だった。

もし傘が一枚しかなかったら、自分が濡れないように傘のほとんどを手に取り、、濡れられた私を全く気にかけられなかった。

そして今、彼女は傘を届けるために家の前で待っているふりをして、ずぶ濡れになりながら、哀れにも皮肉にも見えた。

由香里の顔色は悪くなったが、まだ歯を食いしばって私を見た。

「悠斗、中に入って雨を拭いてもいい」

これが真の目的だった。

かわいそうぶりをして、私の家に駆り込み、おそらく両親の同情を買おうとしたのだろう。

人間の関係には誠意しかない。

由香里はそのようなものがあるようには見えず、利益を求めようとあらゆる方法をめぐらせた。

しかし、騙されたのは、彼女を信じる人たちだ。

僕は、心を完全に取り戻し、彼女への情熱も止めた。

……

私は伊藤洋子を連れて家の中に入った。

両親はすでに食卓にいっぱいの料理を用意して、整然と並べられ、色とりどりでおいしそうに見えた。

私たちを待っていたのだ。

母は私たちが入ってきたのを見て、喜びの笑顔を浮かべ、そして急いで私を押しのけ、伊藤洋子を引き寄せて心配そうに言った。

「あら、洋子、久しぶりね。大きくなってきて、綺麗になったね。子供の頃よりも綺麗だわ」

父は情熱的に呼びかけた。

「まず子供たちに座らせよう。もう少しで料理は冷めてしまうよ。仕事で疲れているんだから、早く食べよう」

そう言っても、両親はまだしゃべ