息子の死後、私は権力の道具に
私の息子は死んだ。
生きたまま心臓をえぐり取られ、それを移植されたのは、権力を持つ一人の貴婦人だった。
その貴婦人とは、榊由美子―榊拓真の妻だ。
由美子は心臓病を抱えていたが、その権力と財力を使い、私の息子を無理やり連れ去り、心臓を奪ったのだ。
私は孤児で、シングルマザーとして息子を育てていた。
息子は私のこの世界で唯一の家族だった。
彼はいつも私に寄り添い、小さな声で言っていた。
「ママ、怖がらないで。僕が大きくなったら、ママを守るよ!」
息子は私の全世界だった。
しかし今、私の世界は崩壊した。
私は由美子を心から憎んでいた。
復讐を誓い、必ず自分の手で息子の心臓を取り戻し、彼がこの世を完全に去るようにしてやる。
そのために、私は由美子の夫である拓真に目をつけた。
彼には憧れの女性がいた。
だがある日、その女は交通事故に遭い、命を落としたのだ。
そして偶然なことに、私はその人に八割も似ていたのだ。
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