パパは僕がさくらんぼアレルギーだと知らなかった
三浦星
パパは僕をあるおばさんが主催するパーティーに連れて行った。
ケーキを食べていると、真ん中の層で突然サクランボを口にしてしまい、慌てて吐き出した。
というのも、幼い頃にこの果物を食べて全身に発疹が出て、死にかけた経験があったので、その味には強い印象があったのだ。
でも、おばさんは悲しそうな顔をして、「小さなケーキにサクランボを特別に入れたのに、悠真は気に入らなかったんだね」と言った。
パパは僕の説明を聞こうともせず、僕を外の庭に追い出して立たせた。
ママは最近、気温が40度以上もあって、室内で大人しくしてなさいって言っていたっけ。
なるほど、こんなに暑いんだ。
しかも、体がとても痒い。息が少し苦しい。
パパを探しに行きたかったけど、いくらドアを叩いてもパパは開けてくれなかった。
窓越しに見ると、パパは冷たくこちらを一瞥しただけで、開けようともしなかった。
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