時をかける少女、愛した君との別れ
前世、私は菅原尚之(すがわら なおゆき)に一途な思いを抱いていた。彼に好きな人がいると知りながらも、必死に追いかけ続け、恩を理由にして、強引な手段まで使って彼と結婚することを叶えた。
これでやっと幸せを手に入れた――そう思ってた。結婚生活の3年間、私は彼の冷たい心をどうにか溶かそうと懸命に努力してきた。
でも、それも彼の初恋の相手が戻ってくるまでの話だった。
そのとき、ようやく目が覚めたんだ。振り返れば、私の人生には惨めさと後悔だけが残っていた。
そして、生まれ変わった私は、大学入試の前に再び尚之と出会った。前世のように追いかけるのはもうやめよう。今度こそ、自分の人生を大切にしようって決めたんだ。
彼の凍りついた心を温めようなんて、もうこりごりだ。
ところが彼は突然態度を変え、私を人目のつかない場所に追い詰めてきた。そして歯を食いしばりながらこう言った。
「俺を引っ張り回しておいて逃げるつもりか?逃がさないよ、遥」
312 DibacaOngoing