出産の最中、偽令嬢に愛人の汚名を着せられた
偽物のご令嬢様に卑き愛人だと中傷されただけではなく、彼女は愛人退治屋さんという業者まで頼んで、私を産屋にせき止めた。
「恥知らずの愛人めが!子供ができたからって妻気取って威張ってんじゃないわよ!」
「今日は必ず腹の中に孕んでいる、どこの男が撒いた種かも知らないガキに消えてもらうわ。あんたには、二度とあたしの男に近つけなくなるようにしてあげるから」
鬼の面相をしていた愛人退治屋の連中は、鉄の壁の如く、産屋の扉の前を塞げ、私のために駆けつけた産婦人科の医者を止めた。
私は同じく女性である愛人退治屋の彼女たちの前に、跪いて腹の中の子のために頭を下げた。
けれど、私の命乞いに彼女たちは嬉笑で答えた。そして毒々しいことに、私をカメラの前までに押し付けて、強引な仕草で腹の中の子を引っ張り出し、私の目の前で床に投げて殺した。
私は正気を失って、亡き我が子の死体を抱きしめて、大泣き出した。しかし、この悲惨な私の有り様を、彼女たちは「これが愛人になるものに相応しい報いだ」という文字を付け加えてSNSに投稿することにした。
これから随分と時間が経って、私は彼女が偽令嬢だということを暴いた。同時に、彼女のことと、その表が愛人退治屋で裏が愛人であるその愛人退治屋の連中のことをネットにアップした。
このことが炎上して、ネットバッシングに追い詰めた彼女は、とうとう私の前に土下座をして許しを請った。
そんな彼女を見て、私は何十層もの高さのある屋上を指しながらこう言った。
「飛び降りてくれ。そしたら見逃してあげる」
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