未来への囁き
快楽だけでなく、永遠の愛も手に入れようとするなんて、身の程知らずだ――誰もが瀬名詩織(せな しおり)をそう言って嘲笑った。
その場で足が棒になるまで待ち続けた彼女だったが、ついに待つのをやめた時、外の世界はずっと広いことに気づいた。ハイヒールが痛くて我慢できなかったら、脱ぎ捨てて裸足で走ればいい彼女が遠くへ走り去ってから、ようやく黒木修司(くろき しゅうじ)は狂ったように追いかけてきた。
息を切らし、目を赤くして彼は言った。「詩織、初めて本気で人を愛したんだ。頼む、もう一度だけチャンスをくれ」
詩織は残念そうに、軽く息を吐いた。「でも、もう他の男を夫と呼んでしまったから。黒木社長、順番待ちしてくださいね」
【無理やり手に入れてたものがいいか悪いかはやってみないと分からない】