Semua Bab 『輝く銀河系の彼方から来しトラベラー』ー古のタビ人―: Bab 31 - Bab 40

70 Bab

◇卒婚 第31話

31 美鈴は真知子や知紘から、証拠さえ掴めば慰謝料が取れるということはインターネットなどの情報から知ってはいた。弁護士を探し相談、そして調査会社に依頼して証拠集め、もしくは自分で証拠を 集めるなどして慰謝料を請求する、更に離婚となると財産分与、年金分割なども 請求できる……そのようなアドバイスが大半だったが、はっきり言って面倒くさいことが嫌いな性格の上のこともあるのと、そこまでいろいろと行動する憎悪のエネルギーが美鈴にはなさ過ぎた。だからといって、これまでほとんど専業主婦の体で暮らしてきた自分が知紘と離れて暮らすというのを第一目標にした場合、どうすれば自分にとって最善か、それはちゃんと考えた。それは今もこの先も結婚はもうしないだろうということが前提になっていて、最後まで離婚を伸ばせるだけ引き伸ばし、尚且つ知紘とは別居するという形だった。保険や年金のことを考えると夫の扶養に入っているほうが断然助かるので、少なくとも生活の基盤が整うまでは、自分からは離婚の話を持ち出すのは止めようと決めていた。古民家暮らしでは畑と広い庭があり、野菜が作れて、BBQ《バーベキュー》だってできる。レンガを積み上げてピザ窯を作ればピザだって焼ける。この古民家への移住を考えるようになってから、美鈴はよけいに知紘や真知子への復讐などどうでもよくなった。今や、ワクワク感が堪らない。離婚不受理届けを市役所の窓口に出し、固定資産税の支払いに関する連絡先の住所を変更し、後は、『しばらく1人になりたい』と置手紙を残し、保険証や年金手帳、クレジットカードなどの貴重品は鞄に詰め、自分の居場所を探せるようなもの(母親からのハガキなど)の痕跡を消し去り、知紘の前から去るのみ。一種の卒婚のようなものだ。困窮したら、生活費も頼んでみるつもりでいる。ちゃっかりできるところは遠慮しない。とにかく、どうなるか分からないがやってみなければ始まらない。知紘が姑息にも筧に真知子を押し付けて別れた翌月の末に、1か月間準備を進めていた美鈴は知紘には置手紙ひとつで家を出た。母親には手紙で知らせておいた。『知紘が私のことを探して、どこに行ったか知りませんか、という問い合わせが 万が一あった場合、知らないと話ておいてください。困った時は必ず連絡をするので、私のことは心
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-27
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◇筧優士の逆襲 第32話

32知紘は真知子と出会ってからというもの、妻の美鈴をうっちゃり、 彼女のことを過激に溺愛。しかし、ふたりの間に結婚話が出たことから彼女には子供もいると知り なんとかスムーズに別れる方法はないものかと無い頭で考えた末、数人での 旅行を思いつき、やりチンで知られている友人、筧優士を誘い、真知子を 上手く譲渡することに成功。           ◇ ◇ ◇ ◇筧は真知子と付き合い始めた時には、彼女の心変わりから自分と付き合う ようになったのだとの認識だった。だがその後、ピロトークで真知子から知紘との話を聞かされるうちに、自分 が知紘から意図的にお下がりとして真知子を押し付けられたのではないかと 思うようになった。 真知子が自分に靡くようになった時から筧は不思議に思っていた。自分が常に何人もの女と付き合うようなヤリチンだということは 学生時代の友人たちなら誰でもが知っていることだ。 だから、大切な彼女のいる連中は絶対自分が参加する場には連れてこない。 そんなわけで最初、真知子が知紘にとってただの浮気相手だから 連れてきたのだろうと思っていた。 知紘のヤツは今の奥さんである美鈴と付き合っていた頃は……というより、 結婚後も俺に会わせたことはただの一度もない。それほど大切にしていた奥さんがいるのに浮気してんのか? と驚いたよ。それにしてもだ、真知子があっという間に知紘との連絡を絶っても真知子や 俺に文句の一つも言って寄越さないとは、ただの浮気相手だとしても一応 自分の彼女なわけで、どんだけヘタレなヤツなのだと思っていたが……。 聞くところによると、真知子との間に『結婚話』が出てたっていうじゃないか。 なんと、それが俺たちが複数カップルで出かけた旅行の ほんの一週間前の話と聞けば……馬鹿でも推測できるだろう。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-28
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◇不信感 第33話

33大体旅行先にいい女がいるかもしれないからと、俺には一人での参加を要請しておきながら、知紘と真知子のカップルともう1カップルとで参加って、あの時は深く考えてなかったけど、知紘は俺に真知子を押し付ける気満々だったってわけだ。真知子の話から見えてくるのは、美鈴さんのことはうっちゃり、随分と知紘は真知子に入れ込んでたということ。結婚の話が出た時も、積極的ではないにせよ、考えてみるというような雰囲気ではあったらしい。……で、真知子曰く『優士くんに出会って知紘には悪いが心変わりしちゃって』ということらしい……が。あの時の旅行を計画したのが知紘なのだからあれだろ、真知子が俺に靡くのを見越して体よく真知子をお払い箱にしたのは明白だ。そこで俺は考えてみた。奥さんを蔑ろにしてまで執着していた女を切ると決めたその理由……。男と女のことに関しては百戦錬磨の俺様、ピーンと閃いたね。たぶん、真知子には借金があるだとか子供でもいるのだろう。兎に角知紘にとって何か都合の悪いことがあるのだろう。まぁ、結婚抜きでしか付き合わない俺には関係ないけどな。そうそう《そんなにたびたび》学生時代の友人との間で女性関係含め揉めたことはないが、今回のことは少し腹を立てている。真知子の戯言を聞くまでは逆に知紘に対して、人の女を取ってしまい申し訳ないなどと、ほんの少しの罪悪感を持ったのだが……この俺様に自分の使い古していらなくなった女を意図的に押し付けてくるとはいい度胸してるじゃないかと、そういう考えに変わった。少し奴に灸を据えないとな、俺のプライドが許さねぇ~。俺は真知子に再度、知紘との付き合いを話題に持ち出し、真知子がどんなに酷い目にあったのか、奴がどんなに酷い男かということを刷り込みした。『結婚しようと言われていたのに裏切られて捨てられた』と知紘が所属している野球チームの連中や会社にも言いつけた方がいいと、俺は真知子を焚きつけた。俺の焚きつけ話をじっと聞いていた真知子が俺の意見に首を縦に振った決定的な言葉、それはこの一言だった。「慰謝料が取れるよ、この話」真知子の方でも薄々知紘が逃げ腰になっていた気配をそれなりに感じていたのかもしれないな。様子からして知紘のことは吹っ切れて見えた。         ******俺は忙しくしていて
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-29
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◇慰謝料 第34話

34「優士ぃ~、久しぶり。会いたかった」「真知子、俺も~」俺たちは恋人同士のように食事をして、洒落たバーで酒を飲み、そして ホテルで部屋を取りようやくベッドイン……なぁ~んてことはせず、全て ぶっ飛ばしてホテルの部屋で待ち合わせした。 ただし、毎度毎度モーテルというもの芸がないので今回は普通のホテルを 取った。プロの女を買うことを思えば安いものだ。性格的なものもあり、たまには普通のオリエンタルホテルのようなところで 寛いでみたい気分になる時があるというのも理由のひとつだ。真知子は利口な女とは思えないが可愛さの中に小悪魔的なところもあり、 何より小難しいことを主張しないところが軽く付き合うのにはよかった。俺たちは部屋に入るとすぐに抱き合い、キスを交わした。深いキスを交わすうち、身体の一部に疼きを覚えたため、意図的にキスを 終わらせた。真知子はそれに対して残念そうな様子を見せた。「このまま続けたらヤバい。続きはシャワーを浴びてからにしようぜ」未練を残しながら真知子は「うん」と頷いた。俺が腰掛けていたベッドから立ち上がり、ワイシャツを脱ぎ始めると 真知子が話しかけてきた。「優士、私……知紘くんから慰謝料もらった」「慰謝料?」「優士、言ってくれたじゃない。 知紘くんは奥さんがいるのに私と付き合ってたでしょ。ものすごい私に熱心だったから結婚してくれるって思ってたのにって話を したら、優士が野球チームの人たちや会社に言いつければいいって」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-30
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◇ふたりのLOVE TRAVEL 第35話

35 「優士、言ってくれたじゃない。 知紘くんは奥さんがいるのに私と付き合ってたでしょ。 ものすごい私に熱心だったから結婚してくれるって思ってたのにって話を したら、優士が野球チームの人たちや会社に言いつければいいって」 「あぁ、そう言えばそんなこと言ってたっけ、俺。 じゃあ、真知子ちゃんちゃんと言えたんだ。 すごいなぁ~、勇気いったでしょ?」「うん、でも優士が後押ししてくれたから勇気出たし、結果的に良かった。 これですんなり知紘くんのこと忘れられるし、20万円ほどだけど慰謝料 貰えたし」 「良かったじゃん。で、知紘はどうしてんの?」「それが会ってないの。 知紘くんから電話があって『お金振り込むからこれ以上騒がないでほしい』 って頼まれて。一度は好きになった人からのお願いだからそれ《20万円》で手打ちに したのよ」 これ以上騒がないでって……言っても、もう周囲には知れ渡っていて アイツも懲りただろうけど、よもや俺が裏で糸を引いてることは 分かってないだろうなー。知紘、これで俺もお前を許してやるよ。 「そっか、まぁ気が済んで良かったな。真知子ちゃん、前も話したけど俺は当分誰とも結婚はしない。 それと他にも遊ぶガールフレンドは何人かいる。それを知ったうえでそれでもよければ付き合うよって言ってあるよね。 だからいつか付き合いを止《や》める日が来ても俺の周囲に知紘の時 みたく、吹聴して回るのは止《や》めてな」「分かってるぅ~ってば。 私が大好きで付き合ってもらってるんだもの。 優士には絶対そんなことしないし、結婚も迫ったりしないから これからも時々こうして私と会ってね」「ああ……じゃあ、シャワーしてくる」空調のほどよく効いた部屋で先にシャワーを浴びた優士は、上半身裸のまま トランクスを穿いた状態で下半身には軽い羽毛の掛け布団を腰から下に掛け た状態でうつぶせになり、真知子がシャワーを終えるのを待った。 季節的には秋だというのに、日中や自宅の部屋などではまだまだ暑さを感じる  残暑が優士は苦手だ。 つまり、暑さに弱い。空調が効いていてもホテルに一歩足を踏み入れる直前まで体感で身体が覚え ている熱のせいと、夕べ寝不足だったこともあり、ついうとうとしてしまった。 シャワーを終えた真知子が近づいてく
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-01
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◇それは突然に 第36話

36知紘は真知子と切れて2週間余り、野球の練習のない日曜は家にいて テレビを見たりパソコンを開いてチマチマ興味のあるものを読んだり聴いた りと大人しく過ごした。以前は食材の買い出しなど、ふたりでよく出かけたものだった。 だからそのリズムを取り戻すかのように美鈴に声を掛けてみたが、 間に合ってるから行かなくてもよいという返事が戻ってくるばかりで なんていうか、なかなか会話をする切欠も掴めず、知紘は途方に暮れた。相変わらず食卓に出てくるのは、インスタントラーメンや冷凍食品、 缶詰のオンパレードで、そのことも知紘を困惑させた。だけど、文句は言えない。 自分はずっと休日になると朝から晩まで出払い、美鈴と食事など してこなかったのだから。そのうち、今ある缶詰などが無くなれば元の手料理が食べられるだろうか ……そんなふうに、待つしかないと判断した。          ◇ ◇ ◇ ◇ そして翌週の花金、知紘は『この日曜は外食でも誘ってみるか』 そんなことを考えながら帰宅したのだが、家の前まで来た時、 灯りがついておらず胸騒ぎを覚える。今まで平日の会社帰りに妻が家にいなかったことなど、数えるほどしかなか った。それでも今回のような胸騒ぎを覚えるようなことはなかった。 知紘は胸騒ぎの正体を知っている。この三か月というもの、自分は真知子ばかりに気を取られていたからだ。 野球の練習日が雨だった日があった。確かあの日は真知子とホテルにしけこもうと美鈴のお願いを振り切って 家を出ていったのだった。 「チーちゃん、野球ないんだからさぁ、一緒に映画を観ようよ」 そう美鈴が言ってきた。その誘いを「約束があるからまた今度な」と振り切って、俺は とっとと家を出たのだ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-01
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◇捨てられるた 第37話

37俺は真知子と身体を重ねることだけしか考えてなかった。 美鈴がどんな気持ちでいたかなんて少しも忖度しなかった。そんなことを思い出すと、次は……「チーちゃん、たまには一緒に過ごそうよ、寂しいよ」って言ってたことが脳裏に蘇ってきた。俺はそんな妻を体よく「友達でも誘ってゆっくりしてくるといいよ」とか言って、 気の良い振りをして彼女を追い払った。それからしばらくすると休日に出掛ける際に、何かを言われることもなくなり、ほっとしたのを覚えてる。そして、その頃から妻の俺に対する家事などの扱いが雑になっていった。この一連の流れがあるから俺の気持ちはざわつくのだ。 リビングには何も変わったところは見受けられない。自分が脛に傷を持つ身故の気の回し過ぎだろうか。 俺はふと気になり二階の妻の部屋に入ってみた。『あった……』ドレッサーデスクの上に置手紙を見つける。 読まないうちから妻が家を出たのではないか、と思った。『しばらく1人になってこれからのことを考えてみたいので家を出ます。 また後日落ち着いた頃に手紙を出します。 だから警察に行ったりして大騒ぎしないでね』開封前の予感は当たった。『俺は何をやってたんだろう。大切な人を傷付けて……』真知子の若さや美貌と色香に惑わされて、浮かれて舞い上がり、最低なこと をしていた自覚はある。だが流石に自分《俺》に真知子のことを問い詰めたり罵倒することもなく、  突然目の前から消えてしまうだなんて。これって失踪だよな、連絡はするって一応書いてはあるが。 出ていった理由も……そしてやはり、彼女の気持ちも俺にぶつけることなく、  1人で完結させたのだ。そもそもは、俺が彼女の言ってることをスルーしまくっていたのだから 責める資格などない。だけど、真知子を切ったというのに……付き合いを続けているならともかくも、 今になって出ていかなくてもと思うものの、俺がいつ真知子と切れた とか、妻には 明確に知る由もないのだからどうこう言えないか……。これからは一緒に映画も見るし、以前のようにまた休日にはいろいろ 会話だってできるのに。 『あーっ、何で今なんだよ』この1か月、野球のない日曜はずっと家にいたろ?  美鈴がちっとも話し掛けてこないから、こっちも様子見してたけど、 徐々に以前のように仲良くでき
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-02
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◇取り残される 第38話

38まるで空気のように、家には妻の美鈴がいて当たり前の感覚だった知紘に とって、ひとり取り残されてしまった自宅での暮らしはなかなか馴染める ものではなく、寂しさと不便さのコラボはなかなかキツイものがある。 美鈴の置手紙を読んだあとすぐに考えたのが、探し出して 今までのことを謝罪し、帰ってきてもらうということだった。そこで知紘が思いついたのは美鈴の母親の時子のことだった。だが、自分たちの結婚後しばらくして、美鈴の父親が亡くなり母親は従兄と 再婚し、五島列島の内のひとつ五島市へと嫁いでいる。遠方のため、義両親とはその後はほぼ没交渉になっていて、知紘は 義母の嫁ぎ先に行ったこともなければ住所も知らないのだ。今更ながらそのことに気付き、茫然とするばかりだった。美鈴の使っていた鏡付の机回りや引き出し、壁に掛けてあるウォール ポケット収納を見ても捨てられたのか持って出たのかは分からないが、 きれいさっぱりと何も入っていないウォールポケット収納を前に、脱力 するしかなかった。固定電話を調べてみると……きっちりと登録番号が削除されていて、 最後の望みは絶たれた。突然いなくなった妻の居場所を問い合わせることもできない自分の立ち位置 に気付き、更に愕然とする。今後は、美鈴が送ってくる手紙だかハガキだけが、情報を知ることのできる 唯一の手段なのだ。そう考えると、自分の足元が途端に脆く感じられるの だった。 この時の知紘は何故か焦りまくりで電子メールのことが頭から抜け落ちて しまっていた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-02
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◇意趣返し 第39話

39美鈴の失踪のような突然の家出に対する失意の中、今度はもうすでに 関係の終わったはずのあの田中真知子から知紘は意趣返しをされ、 とんでもないことになるのだった。 「結婚しようと言われていたのに裏切られて捨てられた」と、ないことない ことを野球サークルの仲間たちに広められていたのだ。毎週のように練習や試合で会っている仲間には分かってもらえると思い……  「確かに真知子とは遊び歩いていたけど結婚しようなんて一度も言ったこと なんてないよ。言うわけないだろ? 俺には美鈴っていう奥さんがいるん だからな」そう皆の前で話をした。 すると仲間内の野島から意外なことを聞かされる羽目になった。「じゃあ、どうして奥さん家を出ていったんだよ」「えっ?」  突然自分しか知らないはずの話をされ、俺は一気に挙動不審になった。「……」 「美鈴さんが家を出た日に陽子《野島の妻》が駅のプラットフォームで 会ったんだよ。『どちらまでお出かけですか?』ってうちのヤツが社交辞令で聞いたら 『夫に好きな人ができたので行先は言えないけど今から家を出ていくんです。 ご挨拶もせずに出ていくのでご主人や皆さんに宜しくお伝えください。 お世話になりました』 そう言ってうちのに挨拶したらしいよ」 美鈴が家を出ていったことを知られたのは痛恨の極みだ。 野島に皆の前でそんなことを言われてしまい、益々真知子の主張が 本当であるかのような雰囲気になってしまった。俺がサークルで真知子と仲良くして付き合っていた時には、皆冷やかすこと はあっても注意してきたり非難するヤツはいなかったのに、今になってつれ ない素振りを醸し出してくるなんて……。真知子の理不尽な主張に騙されてしまい、今や俺は圧倒的に不利な立場に なっているじゃないか。俺の友達とねんごろになって俺を裏切ったのは真知子の方なんだよ。俺こそが裏切られた側なんだよ。 それなのにどうして俺を悪者に仕立てようとするのか、馬鹿な俺には 真知子の意図が読み切れなかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-03
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◇理不尽さ 第40話

40もう野球のサークルにも行きずらくなりそうでへこんだのだが、このことは序章に過ぎなかった。真知子は仲間内だけじゃなく、会社の上司にも捻じ込んで俺に責任を取らせろと直談判したのだ。真知子は俺と結婚したがっていた。それに対して俺はすぐに断ることはせず、返事を曖昧に濁し先延ばしにした。そして俺が彼女に断りの返事をする前に彼女は優士と親密になったのだ。足し算と引き算をすれば、どっちもどっちだろ? それなのに真知子は慰謝料として20万円要求し、まんまと俺からもぎ取っていきやがった。こういった場合、真知子自ら堂々と知紘との付き合いを認めているのだから本来であれば知紘の妻の美鈴からも逆に真知子に慰謝料を請求できる案件で、プラマイゼロにできる話だったのに……愛想をつかされてすでに家を出てしまっている妻とは話し合いもできず、ましてや協力などを仰ぐこともままならず、知紘は悔しさに耐え、しぶしぶ慰謝料を払う羽目になったことに、真知子の立ち振る舞いの理不尽さと上手く立ち回れなかった頭の悪いヘタレな己を呪った。本心がどうであったにせよ、その行動だけを鑑みてみれば、自分と付き合っている時に先に優士に乗り換えたのは真知子で、どちらかというと慰謝料を払わなければならないのはどう見ても真知子のほうだったからだ。こうなってみれば社内でも肩身狭く、仕事と同じくらい大切な野球も参加しにくくなり踏んだり蹴ったりだ。          ◇ ◇ ◇ ◇20万円を真知子の口座に振り込んだ日は悔しくて、俺は晩御飯にカップ麺を すすりながら泣いてしまった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-03
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