『輝く銀河系の彼方から来しトラベラー』ー古のタビ人― のすべてのチャプター: チャプター 11

11 チャプター

◇混乱 第11話

11 『ごめんなさい、くだらないことを言って。 まだ私の常識が邪魔をしてあなたのことを完全に異星人だと認めることは 難しいけれど、こうして私に話しかけてくれて慰めてくれる人の存在は 理解できるし、受け入れられる。それに今の私にはあなたの存在が必要。 行かないで……居なくならないで……』『分かった。君の混乱は分かるよ』『訊いてもい~い?  もしも、家の中であなたを呼べばその……家の中にすぐに飛んで来れるの?』 『歩いたり、乗り物を使わないと距離を移動できない人間界では理解 できないだろうけど、僕たちはすぐに移動できるんだ。 だから君さえ望めば家にもすぐに行ける』『じゃあ、話を聞いてもらいたい時には、ここよりもっと近い近所の公園 から呼んでもいいかな? 家は散らかってたりすると、恥ずかし過ぎる から』 『プライベートゾーンだからね、ははっ。いいよ、公園で待ち合わせしよ う。そのあとで行きたい場所があれば一緒にそこに移動すればいいからね』 『綺羅々と一緒だと、私も瞬間移動できるんだ』 『そうさっ』『ありがと。綺羅々と出会えてなんだか心が軽くなった』『そっか、ならよかった』『次はもう少し遠くの緑の多い場所に行ければいいんじゃない?  そしたら、人の目も気にせず過ごせるだろうから』『うん、私、今日帰ったら素敵な場所探しておくわ』『じゃあ、また。次はまた2~3日後に会おう。でも会いたくなれば明日 でも構わないよ。綺羅々、って呼べば来るからね』『うん、分かった』 しばらく私たちは静かにその場にいたけれど、周りの景色を見て 隣を見ると、すでに綺羅々はいなくなっていた。そっと帰って行ったみたいだった。 『ちゃんと呼べばほんとに来てくれるのかしら。 今起きたことが全部白昼夢で現実ではなかったら、私は別の悲しみに 暮れてしまいそうで早くもう一度綺羅々に会いたいと思った』私はその後もしばらく放心状態でそのままそこにいた。そして何故か知紘との夜のライトアップされた公園でのデートを 思い出してしまった。あの日、私は知紘から手を引き寄せられ抱きしめられて『好きだ……』 と言われてキスされたんだっけ。 こんなこと思い出したくないのに何であの日のことが浮かんだり するのだろう。 未練ならすっぱりと失くしてしまわないと
last update最終更新日 : 2025-03-12
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