「この調子でさ、恋も仕事も頑張るんだよ! ……ああでも、本業の方が忙しくなったらバイトは続けていけるかどうか分かんないよねえ」「うん……、そうだね」 ――そっか。専業作家としてやっていけるようになったら、バイトを続けていく必要もなくなっちゃうんだ……。 原口さんは、私がいずれは専業としてやっていくことを望んでるんだろうか? ――私だっていつかは小説だけで食べていけるようになりたい。でも、それは結婚して家庭を持ってからでいいかな、と思っている。 まだ当分、バイトは辞(や)めたくない。この仕事にやり甲斐を感じているし、何より由佳ちゃんや他の従業員さん達と一緒に働けなくなるのが惜(お)しい。「大丈夫だよぉ、奈美ちゃん。そんなに暗い顔しないで!」「……えっ?」「心配しなくてもあたし、一緒に働けなくなっても奈美ちゃんの親友だし、巻田ナミ先生の大ファンでいるから! ねっ!?」 由佳ちゃんには、私がどんなことで悩んでたのか分かったのかな? 私を元気づけようと、彼女らしい言葉で励ましてくれる。「……ありがと、由佳ちゃん。――でも私、バイト辞めないよ」 胸がポカポカとあったかくなり、こみ上げそうになった嬉し涙を堪(こら)えるように、私はキッパリと宣言した。「えっ、そうなの? なぁんだ、よかった」 由佳ちゃんがホッと胸を撫で下ろしたように笑顔で言う。……と、次の瞬間。 ――ピンポン ♪「……ん?」 ケータイの短い着信音が鳴った。メールかな? LINE(ライン)かな? 私は自分のスマホをチェックしたけど、マナーモードのままなので鳴るわけがなかった。「……あっ、あたしのスマホだ。ちょっとゴメン!」 由佳ちゃんが立ち止まり、受信したメッセージに返信していた(〝歩きスマホ〟は危(あぶ)ないからね)。「――ゴメン、奈美ちゃん! メッセージ、彼氏からだった。『今から一緒にゴハン行こう』って」「えっ!? 由佳ちゃん、彼氏いたの!?」 初耳だった。彼女との友情は二年になるけれど、そんな話は一度もしてくれたことがない。「うん。まだ付き合って二ヶ月くらいかな。中学校の先生なんだけど、合コンで意気(いき)投合(とうごう)したんだ♪」「ええっ!? いつの間に……」 私が執筆活動にバイトにと勤(いそ)しんでいる間に、親友がリア充になっていたなんて…
Last Updated : 2025-03-07 Read more