「いいじゃん、奈美ちゃん! 恋は人を成長させてくれるんだよ? そんなに恥ずかしがることないって!」「そう……かな?」 ……恋愛小説家が本業の私が、こんなことでどうするの! というか、本職(プロ)の私よりも由佳ちゃんの言っていることの方が文学的だ。私も見習わなきゃな。……じゃなくて!「そうだよ! あたし、全力でナミちゃんの恋応援してるから! その人とうまくいくといいね」「うん、ありがと。私頑張る!」 由佳ちゃんと話しながら帰っていると、その日の疲れとかイヤなこととかを忘れられるから不思議だ。そして元気になれるし、勇気をもらえる。やっぱり友達っていいな。 ――交差点で、私は由佳ちゃんと別れた。「次に一緒のシフトになるの、明後日(あさって)だね。んじゃまた! お疲れ!」「うん、またね。お疲れさま!」 由佳ちゃんと別れてから、私はマンション近くのコンビニに寄った。 私は料理が好きで、普段はちゃんと自炊(じすい)するのだけれど。今日はもうクタクタで何か作る元気もないので、晩ゴハンのおかずになりそうな冷凍食品を何種類か買って帰ることにしたのだ。幸(さいわ)い、ゴハンだけは朝炊(た)いてきてあるし。 買い物を終え、コンビニの袋を提(さ)げてマンションに帰ったのは夕方五時少し前。「――はあー、疲れた……」 ウチのマンションにはエレベーターもないので、どれだけ疲れていても二階までは階段を上がっていかなければならない。二階に住む私でこれなのだから、三階以上の住人はもっと大変だと思う。 こうしてヨロヨロと階段を上がって二階に辿(たど)り着いた私を、部屋の玄関前で待っている男性が一人――。 ……原口さん?「――あっ、先生。どうもお疲れさまです」 それは私が行ったのとは違うコンビニの袋を提げた、紛(まご)うことなき原口さんだった。彼は私に気づくと、ペコリと頭を下げた。「どうも……」 私も会釈(えしゃく)を返す。「バイトの帰りですよね?」「ああ、はい。途中で買い物してきましたけど。――あの、今日はどうしたんですか? 仕事……じゃないですよね?」 彼の服装が、ジャケットを着込んだ〝お仕事スタイル〟なのが私は気になった。 編集者という職業柄(がら)、土日関係ナシなのは分かっているけれど。少なくとも私との仕事ではないはず。私の次回作が出るのはもう少し
Last Updated : 2025-03-06 Read more