3人で重箱をつついていると、みるみる中身が減っていく。中でも、穴織の食べっぷりは見ていて気持ちがいいくらいだった。「生徒会長、これマジで、めっちゃうまいです!」「喜んでもらえて僕も嬉しいよ」昨日、知り合ったばかりなのに、2人の会話は弾んでいる。「こんなうまい飯が毎日食べれるなんて、生徒会長がうらやましい!」「穴織くんは、転校して来たんだよね? もしかして、一人暮らしをしているの?」チラッと自分の胸ポケットを見た穴織は、「いや、まぁ、そんな感じです」と答えている。(話す武器のおじいさんが一緒だから、一人暮らしとは言い切れないんだね)穴織の事情を知っている穂香は心の中でそう思いながら、静かにため息をついた。(レン、大丈夫かな? ちゃんとご飯、食べてるかな……)穂香としては、レンが頑張ってくれているのに、自分だけのんびりしている状況が心苦しい。(でも、先生に放課後まで待ってくれって言われたから、待つしかないよね)しばらくすると、食事を終えた穴織が「ごちそうさまです!」と手を合わせた。生徒会長は、穂香の顔を覗き込む。「白川さんも、お腹いっぱいになった?」「あっ、はい! すごくおいしかったです。ありがとうございました」「でも、表情が暗いね」「すみません。レンのことを、考えてしまって」穂香が素直に伝えると、生徒会長の眉が下がる。「そうだよね。高橋くんのこと、心配だよね」それを聞いた穴織は、大きなため息をついた。「不謹慎やけど、正直、白川さんにこんだけ思ってもらえるレンレンがうらやましいわ」生徒会長はクスッと笑う。「分かる。僕も同じことを考えていたよ」「ですよね⁉ いくら白川さんに変わった能力があるとはいえ、自分を助けるために、こんだけ一生懸命になってくれる子がいたら嬉しいやろーなー。俺なんて、一生そういう子に会えそうもないわ」「僕もだよ」あきらめたような顔をする2人を見て、穂香は不思議な気分になった。(恋愛ゲームの恋愛相手に選ばれるくらい、2人ともハイスペックなのに?)顔よし、家柄よし、性格よしのすべてがそろっている。「あの、出会えると思いますよ」生徒会長と穴織が一斉に穂香を見た。「生徒会長も、穴織くんも、今まですごく大変な状況で、自分達が恋愛する余裕がなかっただけで……」穂香は、まっすぐ2人を見つめる。「でも
Terakhir Diperbarui : 2025-04-10 Baca selengkapnya