呆れた表情を浮かべたレンは、「また突拍子もないことを……」とつぶやく。「そうかな?」夢の中のレンは『監視されている』と言っていた。だから、穂香達の会話はどうしてもあやふやな表現になってしまう。もどかしさを感じながら、穂香は思考を巡らせた。(レンは『未来の科学者』って言ってたよね。この若さで人類を救うためのプロジェクトに参加しているって、確実に特別で優秀な人だと思う)そんな彼を最高に幸せにして、究極の幸福状態にすれば、人類の滅亡を防ぐ手立てを見つけられるかもしれない。「レン。私達、これからは、もっと積極的に仲よくなろう」人類を救うために。穂香の意図が伝わったのか、レンは小さくうなづいた。「これでもし、私が恋愛相手じゃなかったら、本気で怒りますからね? で? 仲良くって具体的には何をするんですか?」「あ、えーと、じゃあ手でも繋いでみる?」穂香が右手を差し出すと、レンは眉間にシワを寄せながらためらった。「どうして、そんなに嫌そうなの?」レンは指でメガネを押し上げる。「知っていますか? この時代の人の手には、皮膚1平方センチメートルあたり39,000~4,600,000個もの細菌がいると言われていて……」「えいっ」穂香がレンの手を握ると、レンは「うっ」とうめいた。「えっ? 別に痛くはないよね?」コクリとうなずいたレンの顔は少し赤い。予想外の反応に穂香は、首をかしげた。「レンって、もしかして、私と一緒で恋愛経験がゼロだとか、そんなことは……」「……そうですよ、ないですよ。何か文句ありますか?」「そんなにイケメンなのに!?」意外過ぎて驚く穂香に、レンがジトッとした目を向ける。「仕方ないでしょう。他人に興味が持てないんですから」「で、でも、サポートキャラなのに、恋愛経験ゼロとか、どうやって私をサポートするつもりだったの?」「それは……それなりに頑張っていたんですよ」ムスッとしているレンを見て、急に身近に感じられた。「なんだ、私達って似ている部分もあるんだね」咳払いをしたレンに、「で? 次はどうするんですか?」と尋ねられる。「そんなにたくさん思いつかないよ。今日はこれくらいでいいんじゃない?」穂香がパッとレンの手を離すと、レンは繋いでいた手のひらをジッと見つめる。「レン、気持ち悪いなら手を洗ってくる? あ、そういえば、さ
Last Updated : 2025-03-08 Read more