穂香が自室のベッドで目覚めると、いつもの文字が目の前に浮かんだ。【10月6日(水)朝/自室】(これは、昨日『レンと恋愛する』と決めたあとに、次の日の朝まで飛ばされたってことだね)昨日『もう起こしに来なくていいよ』と伝えたおかげか、ベッド横にレンの姿はない。でも、迎えに来てくれているようで、姿の見えない母が「早く下りてきなさい。レンくん、外で待ってるわよ」と教えてくれる。「はーい、すぐ行く」穂香がベッドから下りるとまた場面が変わり、目の前に【同日 朝/通学路】の文字が浮かんだ。穂香は、またいつの間にか朝ご飯を食べて、身なりを整え制服に身を包んでいる。そして、当たり前のように、穂香の隣を制服姿のレンが歩いていた。「おはよう、レン。もしかして、幼なじみは、一緒に登校するっていう設定なの?」「おはようございます、穂香さん。はい、そうです。私はサポートキャラなので、基本、あなたと一緒に行動することになりますね」「だったら、すぐに仲良くなれそうじゃない?」のんきな穂香を見て、レンは眉間にシワを寄せる。「仲良くなるのと、恋愛するのは別かと」「え? 今更だけど、もしかしてレンって他に好きな人いる……?」「いませんよ。だからといって、あなたのことを好きになる未来は想像できませんが」キッパリとした拒絶に、穂香は内心あせった。(『相手が事情を知っているほうが楽だよね』と思っていたけど、相手が事情を知っているからこそ、恋愛するの難しいかも?)遠慮がちにレンに尋ねる。「ちなみに、レンの好きな女性のタイプは?」「あまり意識したことがないですが、そうですね。物事に積極的に関わっていき、問題解決に尽力する女性は好ましいですね」「消極的な私と真逆のタイプ!」穂香はチラッとレンを見た。「あの、今から恋愛相手の変更は……?」「できません」ニッコリと微笑むレンに「だから、あなたのことは恋愛対象に見れませんと言ったでしょうが」と強めの圧を送られてしまう。「ま、まぁ、じゃあ恋愛とかはさておき、とりあえず私達、友達になろうよ、ね?」「友達も『なろうよ』と言われて、すぐになれるものでもないでしょう?」「確かに……」今のクラスに友達がいない穂香としては、レンの言葉に心の底から納得してしまう。2人のため息と共に、場面転換が入った。【同日 朝/教室】穂香とレン
Last Updated : 2025-02-26 Read more