บททั้งหมดของ かみさまのリセットアイテム: บทที่ 41 - บทที่ 50

65

第24-1話 道に落ちていた車

霧湧村公民館。「仏像はこの箱の中にあるんです」 山形誠が箱の蓋を開けて中身を見せて来た。宝来雅史と月野姫星は一緒に覗き込んだ。「…………」 中を覗き込んだ二人は固まってしまっている。「…… ひょっとして馬鹿には見えない仏像ですか?」 雅史は顔を上げて誠に尋ねた。何故なら箱の中には何も無かったからだ。「へ?」 誠は中を慌てて覗きこんで固まってしまった。「……無いっ!」 少しの間を置いて、誠が反応して慌てだした。箱の中に手を入れてまさぐったりしている。「あれ? あれっ? あれれっ? 昨日は確かに有ったのに……」 一方、姫星は安堵した。雅史が『馬鹿には見えない仏像』とか言い出すから、実際に見えなかった姫星は、馬鹿だとバレテしまうのではないかと危惧したのだ。そして、何気なく見た窓の外の光景に見慣れた物が疾走しているのが写った。「んーーーっ…… ? …… あの車…… まさにぃのじゃない?」 姫星が指差す先の道路には、雅史の車が土煙を上げながら走り去っていく所だった。 仏像を盗んだのは泥棒一味の生き残り木下だった。 木下は山道を登らずに適当なところで脇道に逸れて、遠回りして村に舞い戻っていたのだ。そして、廃農家の家に隠れて村を脱出するチャンスを伺っていた。すると農作業に行こうとしている村人たちが、仏像を公民館に隠したと話しているのを聞いていたのだ。「へ、こちとら。 お宝を頂かないと帰る事ができねぇんだよっ!」 木下はアクセルを踏み込んだ、坂道でならパワーのあるSUVが有利だからだ。このSUVは、村に若い娘とやって来たひょうひょうとした学者の持ち物だったらしい。道に落ちていた(駐車)ので頂いた(盗った)のだ。 キーロックは万能では無い、やり方さえ知っていれば、簡単に開錠出来てしまうのだ。それは元自動車整備工の木下にはお手の物だった。 この国はお人好しの連中ばかりだ。世の中には善人しかいないと思い込んでるらしく簡単に盗める。木下は一人ほくそ笑んだ。 だが、悪運も続かない。横道から出て来たパトカーに小心者の泥棒は動揺してしまい、木下は片輪を側溝に突っ込ませてしまった。「ちっ、ドジった……」 パトカーから降りて来た若い警官が近寄って来る。木下は焦ってしまった。車内検査をされると仏像が見つかってしまう。というか、仏像はジャンパーに包んで助手
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-18
อ่านเพิ่มเติม

第24-2話 道が無い

『はい、前の車は直ぐに停車しなさいっ!』 パトカーの拡声器を使って警官が呼び掛けている。しかし、木下には止まる気などさらさら無い。アクセルを踏む右足に力を入れるだけだ。時折、狸がビックリした顔で二台の車が疾走する様子を見ていた。 この村から脱出するには、一旦北側に下って、バイパスを抜けなければならない。その後、山沿いに迂回して県境を目指せば良い。泥棒の下見に来たときに、逃走経路として目星を付けて置いたのだ。「あ? 何だ?」 見ると白い霧が掛かっている。向こうの景色が見えない程だ。まるで白い布団が山に掛けてある感じでかかっていた。「しめたっ!」 木下は自分の運良さにほくそ笑んだ。警察車両は安全運転が義務づけられている。視界不良の中では速度を落として運転しないといけないのだ。警察がモタモタしている内に引き離すことが出来ると喜んだのだ。「ついてやがるぜ」 木下は迷わず霧の中に車を突っ込ませた。「クソォ、あの車は止まる気配が無いですね」 ハンドルを握る若い警官は舌打ちしながらアクセルを踏んだ。何とか前に出て停車させようとしているのだが、相手も此方の意図を知っているのか、針路を妨害されて前に出て行けないようにされているのだ。「まあ、犯罪者が素直に言うこと聞いてくれたら、俺たちの仕事は楽だわな」 助手席に座る、ベテランの警官はそんな事を言いながら、自嘲気味に笑っていた。『はい、前の車は直ぐに停車しなさいっ!』 それでも仕事をしないわけにはいかない。無駄とは思いながらも、停車を促す呼び掛けを行っていた。「なあ、あの車は本当に盗難車なのか?」 ベテランの警官は木下の運転する車を指差しながら言った。「ええ、一昨日に東京から来た学者さんの車ですよ。あんな人相の悪いおっさんじゃ無いです」 役場の山形に紹介されたのを覚えていた。これがアメリカとかだったら、車で体当たりして強制的に止めるのだが、生憎と日本でそんな真似をしたら大騒ぎになってしまう。余程の事件でなければ出来ない技だ。それに車を傷付けると持ち主に損害賠償請求されてしまう。それも厄介だった。「運転手が不審者って事は十中八九。 泥棒一味の一人だろうな」 ベテランの警官は『賊は三人組で一人が逃走中』の知らせを聞いていたのだ。「ええ、慌てて逃げてるのが証拠みたいなもんです」 若い警官はハンドル
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-19
อ่านเพิ่มเติม

第24-3話 燃える車

「おまわりが来る前に逃げないと…… っ!」 木下はドアを開けようとしたが、身体が動かない事に気が付いた。「ああ、シートベルトを外さねぇとな…… ふふふっ」 きっと事故の衝撃で頭が旨く動かなかったのだろう。木下はニヤリとしてシートベルトを外し、ドアを開けようとしたが開かなかった。車体フレームごと歪んでしまい、開けられなくなっているようだ。「…… じゃあ、窓から出るか……」 窓に辛うじて残っているガラスの破片を肘で叩き落として、身を乗り出そうとしたら、またしても身体が動かない事に気が付いた。「くそっ、足が何かに引っかかっていやがる」 木下は足を引き抜こうした。しかし、ピクリとも動かない。足元を覗き込むと盗んだ仏像が車体と木下の足の間に、食い込むようになっているために動かないのだ。「ちっ、邪魔な仏像だな……」 ガンガンと開いている手で仏像を破壊しようとするがビクともしない。足をもぞもぞと動かしてみるが抜ける気配も無い。そうこうしている内に車内に白い煙が立ち込み始めた。車のバッテリーが液漏れし始めているのだ。「ああ、やべぇ! ガソリンに引火すると……」 木下は益々焦って仏像を叩いたりひっぱたいたりしたが何ともならない。足を引き抜こうと足掻くが、それも対して効果は無かった。気化したガソリンの臭いはいよいよ酷くなっていく。ボンッ! 漏れたガソリンに引火したらしい音が聞こえた。身動きが出来ない木下は恐慌状態になってしまった。「ヴォバアッヴァァァァ」 木下は意味不明な言葉を発しながら、手をバタつかせて火が来るのを阻止しようとしている。だが、ガソリンで勢いを付けた紅蓮の炎は、不遜な輩を見逃しはしない。あっという間に木下は炎に包まれ絶叫しはじめた。「あ゛つ゛い゛ぃっ あ゛つ゛い゛ぃぃぃっーーーっ」 燃えやすい髪の毛は瞬時に無くなった。皮膚が炎に炙られて茶色く変色し、やがて剥がれて行った。ガソリンの高熱で木下の身体は、蒸発するかのように徐々に形を失い損壊して行った。「あ゛? あ゛あ゛!! あ゛あ゛ぁぁぁーーーーっ」 高温に炙られた眼球が溶け落ちると共に、木下が発する断末魔の絶叫は谷川に響いて行った。 後方から追跡していたパトカーは、前方の車のテールランプが不意に消えたのを見ていた。「ああ…… やっちまったな……」 若い方の警官が呟いた。それと
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-20
อ่านเพิ่มเติม

第25-1話 倒壊する空き家

霧湧村公民館。 公民館には宝来雅史と月野姫星と山形誠の三人で残っていた。車と仏像を盗んだのは、泥棒一味の残りに違いないと話し合っている処だ。「鍵かけても無駄なのか…… とほほほ」 雅史は自分の車のキーを握りしめながら嘆いた。「鍵かけてる車を盗めるって、今時の泥棒ってすごいんだねぇ」 姫星が感心したように呑気に話している。雅史は泥棒たちの努力の方向性が違っている気がした。「もっと、真っ当な事に努力すれば、今頃は結果が違っているだろうに……」 雅史は、まだブツブツと怨嗟の言葉を吐いている。「ここに、残っていてもやる事がありません。 一旦、役場に行きませんか?」 誠は意気消沈している雅史に声をかけて来た。「そうですね。 詳しい経過が聞けるかもしれないです」 雅史の車が走り去って、しばらくしてからパトカーのサイレンと、停車を促す声が聞こえて来ている。なので、雅史の車が直ぐに発見されたのは分かっていた。 しかし、それだけだ。雅史たちに警察無線が聞ける訳でもないし、携帯電話も使えないので、経過がさっぱり分らないのだ。それならば、役場を通じて警察に連絡してもらえれば、少しは現状を教えてもらえるかもしれないと考えたのだ。「じゃあ、僕の車で行きましょうか…… ちょっと、汚いけど我慢してくださいね」 三人は誠の軽トラックで役場に到着した。すでに出勤していた村長の日村に公民館の出来事を話していると、村を抜ける谷の方角から大きな爆発音が聞こえて来た。「あれって……」 姫星が言いかけると、雅史が小さく首を振っていた。なんとなく雅史の車であるのは言われなくても分かる。「とりあえず、電話してみますね」 話を聞いた日村がさっそく警察署に電話した。公民館での出来事や車の盗難などの話をして、谷の方からの爆発音の事を問いただした。すると、雅史の車は崖から落ちて大破してしまったと報告を受けたそうだ。「まだ、ローンが残っているのに……」 予想が出来ていたと言え、がっくりと肩を落とした雅史に、日村は盗難扱いになるので保険でどうにかなるよと慰めていた。「そういえば伊藤力丸さんに話を聞きたいとか?」 日村が自らお茶を運んできた。人数が限られている村役場では珍しくない光景だ。「はい、この村の規模の割に寺院の数が多いので、それが何故なのかをお尋ねしたいんですよ」 起き
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-21
อ่านเพิ่มเติม

第25-2話 異常低音

 ご存知だろうか? どこの土地にも家相の悪い家というものがある。何をしたという訳では無いのだが、人が居つかない家という物があるものだ。 この空き家は、昭和の高度成長時代に建った家で、その頃はあちこちの山や森を切り開いて宅地造成していた。  日本が豊になったと錯覚していた時代。かつては限界集落であった村が、ブームに乗りリゾート開発の為の新興住宅地になりはじめた。 一介のサラリーマンでも誰でも夢の一戸建てが持てる時代だった。ほとんどの家が粗末な建売で、地鎮祭も何もしないで、いきなり建てたのだそうだ。 その住宅地には、田舎の生活に憧れて都会から一組の家族がやってきた。それから1年もしないうちに、父親は保証人になった親友の会社が倒産して行方不明。人生を勝手に諦めた母親が子供を殺して自殺した。無理心中だ。 同じように引っ越してきた、隣の家も事業に失敗して夜逃げし、人気無い家から出火し全焼した。 まるで呪いでも罹っているような住宅地だ。何回か転売されたが、ここ十年は誰も住んでいない。その住宅地の下に空洞が出来て、そこの地盤が崩れて家が引き込まれたのだろうと思われた。 誠が事故現場を見学に来ていた村人に何やら話しかけている。やがて、その村人に礼を言うと戻ってきた。「隣家(と、言っても田舎なので結構距離がある)のお婆ちゃんが、この家が崩壊するのを見ていたそうです」 早速、三人は老婆の家に話を聞きに行った。二階建ての築五十年はあろうかという家に、老婆は一人で住んでいる。子どもたちは仕事がある都会に行ったまま帰って来ないと嘆いていた。 とにかく年寄りの話は長い。肝心なことは中々話してくれなかったが、聞いていると老婆の家でパキーーンと何かが鳴った。「にゃっ?!」 姫星がびっくりして天井を見ている。音はギシッミシッとする音に変化した。 家鳴りと言われる現象、木造の家によくある現象だ。湿度の関係で木材などが伸縮する時に鳴るらしい。「ああ、この家では一週間くらい前から、頻繁に家鳴りがするようになったんですよ」 いきなりの怪音にびっくりしている三人に老婆が話した。そう言っている間にもギギギィと天井裏から聞こえて来ている。「ウテマガミ様が村の家々を尋ねて回っているんでしょうよ」 老婆はそういうと手を合わせてお祈りを始めた。正確に一週間前かは不明だが、泥棒が霧湧神
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-22
อ่านเพิ่มเติม

第26-1話 右手禍

「さっき話しに出てきたウテマガミ様というのは、霧湧神社に祭られていた神様の事ですか?」 車中で雅史は誠に尋ねた。「はい、そうですよ。 どういう字を当てのかは分かりませんが、そう呼ばれています」 誠が運転しながら答えた。「ウテマガミ様の謂われって分かりますか?」 雅史が尋ねた。村役場でも『ウテマガミ様の祟り』との言葉を聴いていたからだ。祟り神の逸話は多いが、話に聞くのと実際に目撃するのでは心構えが違う。「さあ…… 子供の時分からそう呼んでますからね…… 力丸爺さんに聞いたほうが早いと思いますよ」 誠は神様関係は無頓着なほうだった。祭りのときに敬っていれば事が足りると考えるほうだ。 そんな事を話しながら三人は伊藤力丸爺さんの家に向かった。伊藤力丸宅 宝来雅史と月野姫星と山形誠の三人で伊藤力丸爺さんの家を訪問する。事前に連絡が行って無いにも係わらず、力丸爺さんは山菜取りにも行かずに自宅に居た。 誠は美葉川沿いの空き家が、地面に飲み込まれてしまったと、村で起きた異変を教えていた。「まだまだ、お怒りなのかも知れんのぉ。 ウテマガミ様は……」 誠の話を黙って聞いていた力丸爺さんはポツリと言い出した。「ウテマガミ……様ですか? それは泥棒に荒らされたという霧湧神社の神様ですよね?」 雅史は訊ねようとした話題にすんなり入れたのでほっとした。「そうじゃ。 手順・作法を守って奉れば豊穣を施していただける神様と聞いておる」 力丸爺さんは顎を撫でながら答え、三人を自宅の縁側の方に案内した。「ところが粗末に扱うと……」 姫星が話の流れにを合わせるかのように話した。「ああ、厳しいお仕置きがあるんじゃな。 ほれ、煎餅喰いなされ」 爺さんはニコニコしながら姫星に煎餅を勧めていた。「じゃあ、泥棒の親玉が警察署で発狂して、自分の身体を引き千切って死んだのも……」 雅史は確認の為に聞いてみた。「そうじゃな、ウテマガミ様の祟りなのかもしれんのぉ」 力丸爺さんは事も無げに言った。「そもそも、そのウテマガミ様の由来ってなんでしょうか?」 姫星が聞いた。 雅史は祟りは信じないが、何かしらの遠因はあるのかもしれないと思っていた。それは思い込みなのだろうと考えていた。 人は無意識に神様の祟りがあるかもしれないと思い込んでいる。それが何かの切っ掛けに噴出して
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-23
อ่านเพิ่มเติม

第26-2話 弱い生き物

「昔はちゃんとした鉢の形だったらしいんですが、長い年月の内に破損し今の様な形になってしまったらしい…… です」 誠が代わりに答えた。何でも自分の祖母から色々と聞いているのだそうだ。「それでは、やはり器が本体なんですね?」 姫星が聞いた。普通の小石を神様にするには、何らかの触媒になる物が必要だと考えていたのだ。それが器なのだろう。「そうなるのぉ。 他所の人から見ると茶碗の欠片にしか見えませんが、神様を掌る器なのですじゃ」 力丸爺さんが答えた。「元は祟り神を封じ込めていた器が元になったと聞いておりますな」 力丸爺さんが続けて答える。「祟り神。 普通の神様と違って力が強そうですね」 姫星が答えた。「ここを開墾した時には荒れ果てた土地だったそうですじゃ。 祟り神だろうと何でも利用する。 そうでもしないと、食ってはいけなかったのじゃろう」 力丸爺さんは顎を撫でながら答えた。「全てを許して、全てを飲み込む。 そういう器の欠片だと伝えられております」 力丸爺さんは家の縁側から霧湧神社の方を見ながら言った。「崇りも怖いが豊穣の恵みも欲しいのか…… 人間ってのは欲が深いものですね」 雅史がポツリと言った。「それが人の性(さが)なのじゃろぅて…… 仕方が無かろう」 力丸爺さんは答えた。「神様とのちょうど良い関係を模索しているのかもしれないでしょ?」 姫星が力丸爺さんの代りに答えた。「お主は、こういう怪しい話は馬鹿にせんのぉ」 力丸爺さんは雅史に尋ねてきた。「はい、僕は神様はきっといるのだと思っています。 でも、人間の期待通りには動いてくれない、とも考えているんですよ」 雅史は見て無い物は信じない。即物的と言われればそれまでだが、目の前で起きた事象には必ず答えがあると考える方だ。「ふぉっふぉっふぉ」 爺さんは一際大きく笑った。雅史のような考え方をする者に会ったのは初めてなのだろう。「人という生き物は、自分の理解を超える現象が起きたときには、相手を馬鹿にするものなんですよ」 雅史は笑いながら答えた。「なんでなの?」 姫星が不思議そうに尋ねた。「そうしないと心の均衡が保てないのさ、何しろ人間は自分が理解できない物を、恐怖でしか捉えようとしない」 雅史は人間の心は弱いものだと思って居た。その為に虚栄を張るのだし、自分を強く見せよう
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-24
อ่านเพิ่มเติม

第27-1話 必然の答え

伊藤力丸の自宅。 力丸爺さんの家を出た姫星は、何か違和感を覚えクンクンと空気の匂いを嗅いだ。「まさにぃ…… 何だか変だよ?」 姫星は風が濁っている感じがしたのだ。何だか昨日まで嗅いでいた爽やかな空気とは、様子が違う感じがしているのだった。「ああ、空気に土の匂いが着いている感じだ」 雅史も姫星の真似をして空気を吸い込んだ。土と言うかカビ臭い。 誠も同じように思っているのか周囲を見回している。「確か、土砂崩れの時にこんな匂いに成りますよね?」 雅史は誠に尋ねた。「ええ、そうですね。 土砂崩れは雨が酷く降った時ぐらいにしか起きないもんです。 しかし、ここ一週間は雨など振っていないんですよね……」 誠は怪訝な顔付きで言った。「祭りが行われる霧湧神社って山の上ですよね?」 雅史が誠に聞いた。「はい、標高は高くないですが…… ちょっと役場に寄り道をしましょうか?」 誠はポケットから車のキーを取り出した。 姫星一行は村役場に到着した。すると、役場中の電話が鳴っており職員たちが応対に追われていた。「村中から問い合わせが入って来ていましてね」 役場に入って来た誠を見つけた役場の人が誠に説明していた。「ひょっとして土の匂いですか?」 雅史が役場の人に聞いた。「はい、そうなんです。 土砂崩れの発生時には、山や崖から土の匂いが出てくるんですよ。 ここは山が深いし、土砂崩れは時々発生するんで、村人は敏感に感じ取るんですよ」 役場の人は電話の内容をメモに書き込みながら答えた。かなり、メモ書きが埋まっている所見ると、ひっきりなしに電話が来ているようだ。「今、村を囲んでいる山に、職員たちを派遣して調査させているのですが、土砂崩れの兆候は今の所、気配が無いと報告が上がって来ているんです」 役場の人も困り顔で話していた。怪音や落盤に続いて異臭騒ぎである。こうも続くと役場の業務が滞ってしまう。「そう言えば、川の堤防に亀裂が入ったと課長が言ってました」 見ると村長の日村も電話の応対に追われていた。「山形君はコッチで電話の応対に出てくれ」 村長の日村が山形に指示を出して来た。祭りの準備もあるので忙しいのだろう。雅史には軽く目礼しただけだった。「じゃあ、私は村の仕事に戻らせていただきます。 私の車は自由に使っていただいて構いませんよ」 そう言って雅史
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-25
อ่านเพิ่มเติม

第27-2話 神御神輿

 『神御神輿』は毎年の春先に行われ、その儀式を持って五穀豊穣を神様にお願い申し上げるものだ。日本各地に伝わる豊穣祈願で行われる祭りは数多くあり。それぞれの地方色を生かした物だ。この祭りもその一つでさほど珍しくも無い風習であろう。 ただ、他と違うのは『神様を呼び寄せる』という方法であると思う。普通は神様はすでに居て、そこにお願いするなり、お礼するなりなのだが、この祭りは御神体に神様を呼び寄せるのだという。 御神体と言っても河原に転がっている只の小石だ。石そのものには意味は無い。儀式を行い御神体として崇める事に意味があるらしい。その儀式を執り行うのが春の祭りなのだ。(山岳信仰と土地神信仰がごっちゃに入り混じっている感じなのかな……) 宝来雅史は祭りの詳細な手順を聞き、そう感じていた。きっと長い年月で変節して行ったのであろう。住んでいる人間の、入れ替わりの激しい土地などでは、そう云う事も良くある物だ。 人は信じたい物を選ぶ習性がある、神様との距離が判らない以上は、信じたいやり方を考えるのは仕方が無いことだ。 儀式の手順を簡単に言うと、最初は霧湧村に流れる我川の上流から、御神体となる小石を拾いあげる事から始まる。それを霧湧神社に伝わる欠片に載せて、神社境内で”神様を呼び寄せる”儀式を執り行う。 これだけだ。 儀式には神様が入る石を持つ「石勿(いしもち)」と、神輿を担ぐ「神楽勿(かぐらもち)」、道を清める「錫杖歩(しゃくじょうぶ)」の三組が必要だ。これは全て村の男衆が担う。 「石勿(いしもち)」が、石を拾う儀式は村の一番若い者が行う。まず我川の上流で滝に打たれて禊ぎを行う。禊ぎを済ませたら、直ぐに目隠しをして、介添え人と共に河原に赴き小石を拾う。介添え人は目隠しをした「石勿(いしもち)」を手助けするのだ。 これは、日が暮れて闇夜が訪れる寸前の時間帯。俗に逢魔が時(おうまがとき)に行われる。日中に活動していた神様が、住み家に帰る前に、川に沐浴の為に立ち寄っていると、考えられているためだ。 河原で目隠しを外したら、最初に目に付いた小石を拾って懐に入れ、誰の眼にも触れないようにして、神輿に載せられ神社に持ち帰るのだ。もちろん、小石を拾う間、介添え人はそっぽを向いているのだそうだ。 霧湧神社に向かう時には、道を清める「錫杖歩(しゃくじょうぶ)」が神輿を先導し
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-26
อ่านเพิ่มเติม

第28-1話 占う儀式

霧湧神社境内。 霧湧神社境内の真ん中では、ふんどし姿になったの「石勿(いしもち)」が大地に寝そべっている。肝心の小石は、臍の辺りにある欠片の上に載せられていた。そして、「石勿(いしもち)」の周りには、火を灯した蝋燭が立っていた。時より吹く微風に蝋燭の明かりがゆらめいている。 「石勿(いしもち)」を運んで来た「神楽勿(かぐらもち)」と「錫杖歩(しゃくじょうぶ)」は手に竹の棒を持って、ろうそくの周りに立っている。彼らもいつの間にかふんどし姿になっていた。 やがて、村の男衆たちは竹の棒で地面を叩いて回り始める。 竹の棒が地面を叩く音は聞こえてきている。そして、誰も合図しないにも関わらず、地面を叩く音は全員が揃っていた。 一定の間隔で叩くのかと思ったが、そうでは無くて三歩歩いたら三回叩く、全員が一斉にクルリと逆向きになって一歩歩いたら一回叩く、また、逆向きなって四歩歩いたら四回叩くをなど、見た限りでは出鱈目に動いているように見える。 普通なら何がしかの祝詞を唱えるなり、おまじないを唱和するなりやるモノなのに、その祭りでは終始無言で地面を叩いて回っていた。 男衆のまわりで、祭りを見ている村人たちも、全員が無言で見ている。 竹の棒で地面を叩く音と森から聞こえる虫の音だけが境内に響いていた。 そして、地面を叩く儀式自体は物の十五分程で終了した。男衆全員が「石勿(いしもち)」に身体を向けた。「 おっ! おっ! おっ!」 男衆は竹の棒を空に向かって掲げた。薪がパチリと爆ぜる音が聞こえる。「 えーー-いっ!」 村の男衆が一斉に竹の棒を地面に突き立て、それに合わせる様に掛け声をかける。それが祭りの終了の合図のようだ。 掛け声が終わると「石勿(いしもち)」を、取り囲んでいた男たちは静かに回りにどき、「石勿(いしもち)」の若衆が通れるだけの道を作った。 円陣の真ん中に居た「石勿(いしもち)」は、臍の前に掲げていた小石を載せた欠片を、うやうやしく両手で頭の上に掲げて進み。そのまま神社の本殿の前に進み出て、神前に供えようとした。パキンッ! 何か小さな音が境内に響いた。見ると、今しがた儀式を行ったばかりの小石が、割れて二つになってしまっている。 一瞬、静まり返る境内。「ああぁぁ……」 境内に村人たちの嘆き声が響いた。そのざわめきが境内に広がってゆく。「駄
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-03-27
อ่านเพิ่มเติม
ก่อนหน้า
1234567
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status