All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 101 - Chapter 110

162 Chapters

3. 「異世界ほのぼの日記」69

-69 解放した理由- クァーデン家から解放した奴隷たちをデカルトに会わせる為、一先ず王宮へと連れて行った。レース場に行く前に彼らに入浴させた後、新品の衣服と沢山の食事を与える様にとデカルトから指示があったからだ。特に食事に関しては出せるだけ出して良いので奴隷たちが満腹になるまでとの通達だった。 ムカリトの同僚で同じく軍隊長であるバルタンのウィダンが数人のグリフォンと任務を遂行していた、ただデカルトの「出せるだけ出して良い」という通達が妙に引っかかっているのだが。奴隷「兵士さん・・・、良いのかい?こんなに良くしてもらって。」ウィダン「だ・・・、大丈夫だ。こうする様に国王陛下直々の指示があってな。それにしても全然食事を取っていなかったのか?王宮にあった食材の殆ど9割方出したんだが全部食っちまったじゃねぇか。」奴隷「まずい事をしてしまったならすまない、俺達元々巨獣人族(ジャイアント)なんだ。」 ウィダンは王宮や王国軍の者の普段の食事の数十倍の量を出したつもりだったのだが奴隷たちは全てをペロリと完食してしまった、しかも10分も掛からない内に。ウィダン「だからか・・・、大食いで有名だと聞いたが本当だったんだな。」奴隷「さっき兵士さんに聞かれた通り、捕まってから全く食事という物を与えられて無かった。我慢しながらの強制労働は本当に辛かったよ。決して満たされない空腹と喉の渇きに耐える事が出来ず、何人もの仲間が亡くなっていったんだ・・・。辛かったよ、友人が目の前で息を引き取るのを見るのは。」ウィダン「そうか・・・。思い出したくなかったら良いのだが、亡くなった方々はどうなった?」奴隷「ゴミの様に鉄の窯に入れられ、燃料として使われた。俺達の毛皮はよく燃えると知っているらしい。ぐっ・・・。」ウィダン「すまない・・・、悪かった。許してくれ。」 ウィダンは奴隷の両肩に手を置き、頭を下げた。2人は目に涙を浮かべている。ウィダン「それにしても初めて聞いたな、巨獣人族の毛皮がよく燃えるなんて。」奴隷「俺達は普段は魔法で人の姿やこのサイズを維持しているんだが、これも結構辛くてな。ただ獣人族の中でも俺達巨獣人族は寒い所に住むことが多いから、体表に沢山ある毛皮で体を温めながら過ごしていたんだ。たまにだが毛の1本1本にある油分を利用し、焚火をしてキャンプの様にバーベキュー等を
last updateLast Updated : 2025-03-10
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3. 「異世界ほのぼの日記」70

-70 出てきたのはまさかの人物- ダンラルタ王国の悪徳貴族であるクァーデン家に奴隷として捕まっていた巨獣人族の話を親身になって聞き入る国王のデカルト、少しも聞き逃さぬようにしたいので慎重に言葉を選んで質問していく。デカルト「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」奴隷「皆・・・、名前を奪われ番号で呼ばれていました。」デカルト「そうですか・・・、因みに奪われる前の物は覚えていますか?」奴隷「ガヒューでした、ガヒュー・パンドル。」デカルト「ではガヒューさん含め皆さん、これからは堂々とご自分のお名前を名乗って下さい。」 巨獣人族の者達の目には涙が。ガヒュー「よろしいのですか・・・。」デカルト「勿論、国王の名の下に許可致します。今日からあなた方はわが友、そして皆さんの雇口も探させて頂きましょう・・・。」ガヒュー「ありがとうございます、人生でこの上ない位の幸せです。」デカルト「これからどんどん、幸せで楽しい人生を共に歩みましょう。その為にも私に協力してくれますね?」巨獣人族達「お任せください、国王様!」デカルト「ではウィダン君・・・、皆さんの為に雇口を。恐れ入りますがガヒューさんはもう少しお話をお伺いさせて頂けますか?」ガヒュー「勿論でございます、国王様。」 デカルトはゆったりとした雰囲気で話しやすくする為にとガヒューにハーブティーを与えた、また果実で作ったフルーツタルトも横に添えている。両方とも素材からデカルトが作っている。デカルト「どうぞ、私が王宮の中庭で育てたハーブと果実を使ったハーブティーとフルーツタルトです。お召し上がりください、ただくれぐれも他の人には内緒にしてくださいね。」 ガヒューは震えながらティーカップを手にし、1口啜った。優しい味わいに心が安らいでゆく、そして横に添えられたフルーツタルトをナイフとフォークで器用に切って食べた。 ガヒューは2品の優しい味わいで落ち着いた様だ。ガヒュー「美味しいです、こんなご馳走久々で・・・嬉し・・・い・・・。」デカルト「お辛かったでしょう・・・、もう大丈夫ですからね。我々は味方です、すみませんが覚えている事をお教え願えませんか?」 ガヒューは使っていた什器類を置き、重い口を開こうとしていたのでデカルトは林田に電話を繋いだ。デカルト「私の友人です、ネフェテルサ王
last updateLast Updated : 2025-03-10
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3. 「異世界ほのぼの日記」71

-71 捜査が続く中- 林田の『連絡』による電話に驚きを隠せない刑務所長に林田が質問した。刑務所長(電話)「都市伝説の通り・・・。」林田「今はそんな事言っている場合じゃない、お前の所に貝塚義弘がいただろ。パワハラ等で捕まった貝塚だ。」刑務所長「あいつなら逮捕された次の日に重岡とかいう投資家が保釈金を払って速攻出て行ったじゃないか、全国でニュースになっていたぜ。」 林田がただ度忘れしていたのだが、刑務所長が改めて言うには義弘の指示で保釈金を支払った重岡が車で義弘を県外の山奥に連れて行くとそこからは2人とも音信不通となったとの事で、新たな悪だくみを行っていた可能性があった。そこで結愛と光明、そして羽田を含む多くの黒服達が突然消えたと聞き、何らかの方法で追って来たかもしれない。林田「因みに結愛さんはどうやってこの世界に?それとここに来てからはどうやって?」結愛(無線)「これも数年前の話です、日本で忙しくしていた私が久々のゆったりとした休日を光明と楽しんでいた時、突然私たちの目の前に幻覚の様な竜巻が現れてそこにいた全員が吹き飛ばされたんです。そのあと目が覚めたらこの世界に。『作成』のスキルもその時知りました、それから少しの間バルファイ王国にある魔学校に通いながらこの世界の事を少しずつ調べて行ったんです。それから貝塚財閥の教育支援の一環として『転送』で持って来た財産の1部を寄付してネフェテルサ王国の孤児院を貝塚学園の小分校に、またバルファイ王国の魔学校を高等魔学校と貝塚財閥の支社にさせて頂いているのです。因みにレースの収益でダンラルタ王国に分校を建設する予定でした。」林田「なるほど、それは我々にも学園を守る義務がありますね。」 その守るべき学園に義弘の魔の手が触れようとしているかもしれない、それは流石に防がなければならない。 その頃、未だトップが⑨番車のまま遂に100周目を迎えようとしているレース場の脇にあるとある施設でバルファイ王国軍の将軍達がひっそりと1人過ごしていた国王を説得していた。バルファイ王国にあるホームストレート横には国王本人が自らの分身を忍ばせていた、分身と言えど思考等が本人とそのまま繋がっているので各々の場所に国王のオリジナルが存在している様な状態となっている。ただ分身は空の鎧に魂を魔力でくっつけているだけのもので、それが仮の姿として一
last updateLast Updated : 2025-03-16
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3. 「異世界ほのぼの日記」72

-72 強力な協力- 煙幕が消えると同時にステージ上にバルファイ国王本体が出てきたホームストレートの映像を見る光と、その逆に煙幕が消えると同時に鎧が出てきた店先にいた魔法使いはバルファイ国王を2度見、いや3度見していた。魔法使い「お前・・・、ずっと黙っていたのか?」バルファイ国王「師匠すみません・・・、あまり派手に目立つのが得意では無いのです。なので普段は鎧を分身にして過ごしていました、国民に対し私自信を偽るようで気が引けたのですが。」魔法使い「ははは・・・、お前は昔から変わらんな・・・、パルライ。」 今更感を感じるその魔法使い、リッチのゲオルは笑う事しかできなかった」。パルライ「実はパルライは偽名で、本当はバルファイなんです。センス無いでしょ?」ゲオル「そこも相変わらず・・・、ですな・・・、パル・・・、バルファイ国王。」パルライ「師匠やめて下さい、今まで通りパルライでお願いします。それよりお聞きしたい事がありまして。」ゲオル「俺にか?」パルライ「知恵をお借りしたいのですが・・・。」 一方その頃、競馬場で爆弾を探すプニ達は少し苦戦していた。梶岡が居たら爆弾の場所を教えて貰えると思うのにとため息をついている。ケルベロス達が鼻を利かせて何とか匂いを辿ってくれているが、頑丈な場所に置いているのか、それとも深い所に埋めているのか捜索は難航していた。結愛が何とかならないものかと考えぬき、『捜索』のスキルを『作成』した。プニ「結愛って器用なんだな、何でも出来そうだし。」結愛「改めて何なんだよ、気持ち悪ぃな。」光明「じ・・・、実は俺も思ってた。」結愛「光明程じゃねぇよ、お前と違って機械に強いわけじゃねぇし。」光明「あ、そうだった。」結愛「おい、どういう意味だ。言ってみんかい!!」レッドドラゴン「おいおい・・・、取り敢えず爆弾探そうぜ。一刻を争うんだ、時間かける訳にも行かんだろ。」結愛「悪い悪い・・・、つい意地になっちまった、許してくれ。」 その時、結愛の持つ無線機から声がした。声の主は林田警部。林田(無線)「光明さん、光明さんいらっしゃいますか?」光明「光明です、どうされましたか?」林田(無線)「羽田さんから機械がお得意だとお聞きしまして、ご協力をお願い出来ますでしょうか。」光明「すぐ行きます、少々お待ちください。」 光明は『瞬
last updateLast Updated : 2025-03-16
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3. 「異世界ほのぼの日記」73

-73 証拠- 光明は警察署で解析を終えた映像を林田と確認していると、我慢できなくなったのか結愛が競馬場から『瞬間移動』してきた。興奮からか、それとも火照っているからか顔が赤くなっている。まぁ、今日はそんなに暑くない様に思えるのだが。結愛「光明・・・、証拠出たか・・・?!出ーたーかーあー?」光明「お・・・、落ち着けよ・・・、林田さんの・・・、大人の前だぞ!!」結愛「えっ・・・、コホン・・・、私とした事が。失礼。」林田「大丈夫ですよ、無線からも会話がちょこちょこ聞こえてましたから。」光明「取り敢えず見よう、再生するぞ。」 光明はノートパソコンのエンターキーを押して映像を再生し始めた、全体的に暗いが松明が揺らぎバーの間接照明の様に照らしている。数秒後、顔を隠した3人組がある牢屋に入って行った。別のカメラの映像に切り替わり、3人がはっきりと映っていた。続きを再生しようとすると、窓の外から聞き覚えのある声がする。声「その映像、ちょっと待った!!」林田「ここは15階だぞ、誰だよ?!」 3人が窓の外を見ると背に人の姿をし、小さくなった巨獣人族を乗せたコッカトリスが飛んでいる。デカルトがガヒューを連れてきたのだ。デカルト「のっちー、超特急で来たから疲れた、お茶でもくれや。」林田「デカルト・・・、その呼び名止めんかい。」デカルト「ううむ・・・。とにかく希(のぞむ)、早く入れんかい。」光明「もしかしてさっき仰っていた独自ネットワークとコネって・・・。」林田「お気付きですか。私の友人、ダンラルタ国王のデカルトです。」結愛「世間狭・・・。」 呆然としている結愛を横目に窓から入って来たデカルトは背からガヒューを下ろすと人の姿に戻り光明に再生を促した。デカルト「貴方が光明さんですね、お邪魔してすみませんでした。再生をお願い致します。」光明「あ・・・、はい・・・。再生します。」 映像が再生され、3人の姿がくっきりと映っている。その内の1人を見てまずデカルトが反応した。デカルト「間違いない、金を渡しているのはクァーデンですよ。主のパントリー・クァーデンです。」結愛「受け取っている内の1人は・・・、間違いありません。私の憎き父・・・、貝塚義弘です。」光明「もう1人は魔学校の入学センター長だ、確か名前は・・・、リンガルス!!」林田「光明さん、音声をお
last updateLast Updated : 2025-03-16
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3. 「異世界ほのぼの日記」74

-74 取り敢えず一段落- 3国を跨いだ爆弾魔事件の捜査が続く中、いよいよ数日にも渡るレースもファイナルラップとなっていた。トップはずっと独走していた⑨番車ドッグファイト、キュルアがスタートしてから1度もピットに入らず走り続けたお陰で独走状態を保ち続けゴールまで至った。車自体は魔力で走るので燃料の補給は必要なかったのだが交代要員で控えていたレーサーは数日間ずっと控え部屋で眠っていた内に優勝する感じになり、何もしなかったので賞金は全額キュルアが受け取るべきだと主張していた。 ただキュルアの頭の中は猫の事で一杯で、ここ数日間愛猫を撫でていないので禁断症状が出始めている。キュルア「猫・・・、猫・・・、猫ぉーーーーーーーー!!!なでなでさせろぉーーーーーーーーーーー!!!」⑨監督「分かったから、マイクをオンにして叫ぶなよ・・・。」カバーサ「只今、かなりの大音量での叫び声が全会場で響き渡った事をお詫び申し上げます。」 どうやらキュルアの叫び声はカバーサが実況席を通して全ての観客席に聞こえる様にしてしまっていた、優勝の瞬間のキュルアの声を観客に届けようとカバーサが思いつき気遣いのつもりで行った事だったのだが逆効果だったようだ。キュルアの恥ずかしい姿を晒してしまった形になった。 ホームストレートに⑨番車が帰って来た、バルファイ王国中から集まった国民達が車両を見守っている。ただ18kmという距離は早く猫を撫でたいキュルアにとってかなりのものだったらしい、パルライの手によりゴールで大きなチェッカーフラッグが左右に振られる。それを横目にシグナルの下を通過しゴールした瞬間、脇に寄せた車両をピタッと止め交代要員の控え選手達がいる控え部屋へとダッシュしていった。実はキュルアの禁断症状を予期していた控え選手達が気を遣って猫を預かってくれていて表彰式までなでなで出来る様にしてくれていた、キュルアが愛猫に顔を近づけ擦り付けるとそこにたまたま監督が通りかかった。⑨選手「おおキュルア・・・、よくやっ・・・、ってありゃりゃ。」キュルア「おお・・・、待っていたかー、存分になでなでしてやるからな覚悟しとけよ。ほれほれほれほれほれ・・・。」⑨監督「仕方がない奴だな、お前は。表彰式まで好きなだけ撫でておけ。ただ、着替えだけは済ませておくんだぞ。」 監督は静かにドアを閉め、キュルアは存分に
last updateLast Updated : 2025-03-16
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3. 「異世界ほのぼの日記」75

-75 ネクロマンサーの捜査- ゲオルは念話でパルライに連絡を取り、分身でも良いのでネフェテルサ王国警察に来て捜査に協力出来ないかと聞くとパルライは快諾しすぐに分身で『瞬間移動』した。林田「何と、バルファイ国王様ではありませんか。突然どうされたのです?」パルライ「たった今師匠に呼ばれまして、捜査に協力する様にとの事だったので。」ゲオル「こいつは私の弟子でして、ただ国王という事は最近知ったのですがね。」 林田から資料を受け取るとパルライは食いつく様に見た、そこに「クァーデン家」の文字があったからだ。以前からあの悪名高い貴族を見逃してしまい、その末路として外部に解き放ってしまった自分が許せなかったのだそうだ。3国間における『魔獣愛護協定』があるのにも関わらず奴隷として巨獣人族を捕縛していた噂を耳にしていたのでダンラルタにいる今も目を付けていたのだが王国兵からの「動きがあった」との言葉で一層自分が許せなくなったらしい。林田「国王様、恐れ入りますがこちらの映像をご覧頂けますか?」パルライ「すみません、私もダンラルタ国王と同じで堅苦しいのが苦手ですのでパルライとお呼びして頂けませんか?」林田「わ、分かりました。ではパルライさん、こちらをご覧ください。」 クァーデン家にある地下牢の監視カメラの映像だ、3人の贈収賄のシーン。パルライ「クァーデンのやりそうな事です、許すべきではない。」林田「この贈収賄事件により首席での入学を取り消された方がいまして。」パルライ「許せませんね、元々クァーデン家はバルファイ王国領にいたので尚更です。」デカルト「おいパルライ、さっきから俺に気付いてなかったのか?」パルライ「すみません、いつもとお姿が違いましたので。」デカルト「まぁ、良いか。一緒に捜査の手伝いを頼む。」パルライ「分かりました、取り敢えずバルファイ魔学校に行きましょう。証拠を多く掴まねば。」デカルト「そうだな・・・、じゃあ一緒に来てくれ。」 デカルトはパルライを背に乗せ魔学校へと向かい飛び立った、現場には調査を続ける羽田達の姿があった。羽田は手袋をして壊れたカメラを持っており、結愛からの「2国の国王が来る」との伝言で緊張している様子だった。羽田「ご、ご、ご足労おかけしても、も、も、申し訳ありません。わた、わた、私は貝・・・、塚財閥の・・・、羽ちゃと申し
last updateLast Updated : 2025-03-16
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3. 「異世界ほのぼの日記」76

-76 リンガルス- パルライは羽田からSDカードを受け取るとカメラに挿入しより強力な魔力を込め始めた。羽田「あの・・・、パルライさん?」デカルト「パルライはネクロマンサー、リッチの下で修業した魔法使いなんです。ネフェテルサ王国の警察署には今彼の師匠も来ているのですよ。」 そうこうしているうちにパルライが作業を終え、一息ついた。パルライ「よしっ・・・、終わりました。見てみましょう。」 カメラの小さい映像を3人の大人が凝視する。3人「こ・・・、これは・・・。」 映像では黒い覆面をしたリンガルスと思われる人物がパソコンで何かを編集している。デカルト「拡大出来たらな・・・。」パルライ「やってみますか。」 パルライが魔力を込め、パソコンの映像がくっきりと見えるまで拡大した。「首席入学者」の文字の下にある「梶岡浩章」の文字を消して「リラン・クァーデン」に変更していた。パルライ「確定ですね。」デカルト「待て、どこかへ向かうぞ。」 覆面男は書類を印刷してそそくさとパソコンの電源を切ると部屋を出た。羽田「この建物には魔学校長の部屋があったはずです、それと主要警備室。」パルライ「そこに行きましょう。」 3人はパルライの魔法で主要警備室に『瞬間移動』するとそこには警備員が3名いたのだが全員眠ってしまっていたので羽田が慌ててたたき起こした。羽田「しっかりしろ、警備はどうしたんだ!!」警備員「えっ・・・?痛た・・・、羽田さんじゃないですか。どうしてここに?」羽田「首席入学者が何者かによって改ざんされてんだよ、しかもただ事じゃない!!首謀者の1人が義弘なんだよ!!」警備員「何ですって?!大変じゃないですか!!ただ俺達は覆面をしていた奴が後ろから近づいてきてからどうやらずっと眠ってしまっていたらしく、記憶が無いのです。」 こっそりと『審議判定』の魔法を使用していたパルライが首を縦に振る。パルライ「本当の事を言っている様です。警備員さん、恐れ入りますが少し場所を開けて頂けませんでしょうか。」警備員「あの・・・、失礼ですがどちら様ですか?」羽田「バルファイ王国とダンラルタ王国の国王様方だ。」警備員「申し訳ございません!!どうぞ!!」パルライ「そ・・・、そんな身構えないで下さい。堅苦しいの苦手ですので。では、やりますよ。」 パルライが魔力を流
last updateLast Updated : 2025-03-18
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3. 「異世界ほのぼの日記」77

-77 強大な力- 2国の国王含む3名は魔学校長の言葉に驚愕し、思わず声を合わせて繰り返した。3人「大賢者(アーク・ワイズマン)?!」羽田「・・・、って何ですか?」2国王・魔学校長「がぁーっ!!」 声を揃えて2国の王と魔学校長が大阪のあの有名な喜劇の様にずっこけた。魔学校長「ご存じないのに驚かれたのですか?」羽田「つい思わず・・・、すみません。」魔学校長「まぁ、いいでしょう。元々伝説の存在と言われてましたから。」羽田「伝説・・・、ですか。」 簡単に説明をするパルライ。パルライ「現存する魔法使いで私の師匠を含むリッチ以上の魔力の持ち主で賢者(ワイズマン)と呼ばれる方々がいたのです。その中でも魔術の扱いに長けたたった数人が大賢者(アーク・ワイズマン)とよばれる様になりました、ただ元々この世界のとある小さな村に数名しか存在していなかったと確認されておらず、その村も近所の山火事の無くなってしまったという話が広がり、賢者自体もういない存在とされていたのです。」羽田「なるほど・・・、その伝説の存在が悪さを。」デカルト「元々賢者はその名の通り人々を正しい道へと導く存在とされていたので私自身も未だに信じる事が出来ません。」魔学校長「しかし、リンガルスが私に催眠術をかけたのは紛れもない事実です、私も自慢ではありませんが魔法に自信がある方なのです。ただ奴の魔力は私の数倍、いや数十倍以上の強大な物でした。」羽田「その大賢者が魔学校長に催眠術をかけてまで何をさせようとしたのでしょうか。」 すると魔学校長が1枚の書類を3人に見せた、元々梶岡の名前が書かれていたと思われる場所に修正液が塗られその上にペンで「リラン・クァーデン」と記入されていた。しかし、魔学校長は何処か不自然さを感じていた。魔学校長「何処からどう見てもリンガルス本人の筆跡では無いのです。」羽田「この筆跡に見覚えは?」魔学校長「実は・・・、私の物みたいでして。ただ書いた記憶が無いのです。」 デカルトと羽田は辺りを見回した。魔学校長「どうされました?」羽田「こちらの部屋には監視カメラは無いのですか?」魔学校長「あります、ただ結構古びていて以前から上手く録画できていない様なのですが。」パルライ「魔学校長がこちらにいらっしゃる間も録画する仕様になっているのですか?」魔学校長「勿論です、
last updateLast Updated : 2025-03-18
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3. 「異世界ほのぼの日記」78

-78 催眠術- 監視カメラに映った魔学校長は覆面男の手によりあっさりと眠らされてしまった。覆面男(映像)「寝たな、手を焼かせおって。暑いな、誰も見てないし監視カメラにも蓋をしたから脱ぐか。」 真っ暗な映像で覆面男は覆面を取った様だ。覆面男(映像)「さてと・・・、自らの手で書き換えて貰おうか。首席入学者は誰だ。」魔学校長(映像)「り、リラン・・・、くぁ、クァーデン・・・。」覆面男(映像)「そうだな・・・、では今目の前にある虚偽の書類を書き換えるのだ。」 真っ暗な映像が続いているが、ごそごそと物音がしている。デスクの引き出しを開けて修正液を取り出し書き換える準備をしている様だ。 音を立て蓋を開けると修正液を塗り付けペンでその上に「リラン・クァーデン」と書き込んでいた。覆面男(映像)「よし・・・、これがあれば問題ない。アイツは上手くやっているだろうか・・・、まぁいい。取り敢えず合流して逃げるかね。」 羽田が眉を顰め映像を少し巻き戻して再生し直した。覆面男(映像)「取り敢えず合流して逃げるかね。」羽田「「合流して逃げる」・・・、か。何か引っかかるな・・・。」魔学校長「実はと申しますと、この鏡台の鏡の裏にも監視カメラを仕掛けてまして。」 鏡台の鏡を扉の様に開くと中からもう1台カメラが現れた。魔学校長「ただこのカメラの映像は鏡が厚いので音声が小さいのですが。」羽田「とにかく見てみましょう、何か嫌な予感がします。まさか・・・、あの男が・・・。」 『あの男』の姿が頭をよぎった羽田はカメラから先程と同様にカードを取り出すとパソコンに挿入し映像を再生した、鏡越しにしては綺麗にくっきりと映っている。先程の魔学校長が覆面男と揉めている場面だ、羽田がそこからも続けて再生を続けて4人はずっと見続けていた。 羽田が嫌な予感を感じた問題の催眠術のシーンに差し掛かり、映像の中の魔学校長が自身の手で名前を書き換えた場面。しかし問題はそこでは無い、暑さが故に直前に覆面を取った男の顔がくっきりと映っている。そこに映っていたのはリンガルスでは無く・・・。羽田「義弘・・・、どういう事だ!!アイツが・・・、何故催眠術を・・・!!」 羽田の『あの男』という嫌な予感が当たった様で、映像に映っていたのは貝塚義弘、その人だったのだ。魔学校長「しかし、私が感じた魔力は確かにリ
last updateLast Updated : 2025-03-18
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