All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 121 - Chapter 130

162 Chapters

3. 「異世界ほのぼの日記」89

-89 宴はまだ続くが- 裏庭にLEDによる照明を備えている林田家ではまだまだ解体しながらのBBQが続いている、全員飽きないのか箸が止まらない。御厨「先程結愛さんが取り出したサーロインのステーキが焼きあがりました。」 御厨が網の上で1口サイズに切っていくと全員が舌鼓を打ち、先程結婚したばかりの利通とドーラには厚めに切った1枚肉が渡された。利通「飲み込むのが勿体無い位に・・・。」ドーラ「咀嚼するのが嬉しくなる位に・・・。」2人「美味しすぎる!!」 ただ全員脂がくどくなってき来たのか、気分を変える為にネスタが解体したての牛肉を片手に提案した。ネスタ「赤身の美味しいもも肉にしましょうかね、脂が少ないから食べやすいはずだよ。」結愛「じゃあ私の方から、ランイチ(ラム)です。ランプとイチボに分けてお召し上がり頂きます。」 結愛が牛筋を境にイチボとランプに分けると受け取ったヤンチがイチボは焼き肉に、またランプはステーキにしていった。 今更だが、サラダとかは挟む必要は無いのだろうかという疑問を抱いてしまったガイ含む数名が気を遣い水洗いしたレタスや胡瓜、そしてトマトを使ったサラダを用意した。さっぱりと楽しめる様にドレッシングは青紫蘇の物を選んでいる。 光は口の中が脂で一杯になっていたので一応ビールで流し込んでいたのだが、気分的にさっぱりとした物を挟みたかったのでサラダを1皿受け取ると一気にかきこんだ。 ネスタ「続いては内ヒラ(内もも)だよ、これは少し時間が掛かるけどローストビーフにしようかね。今から作るからその間結愛さんお願いね。」結愛「分かりました、師匠!!」 いつの間にか大企業の社長である結愛に「師匠」と呼ばせているネスタ、この事には林田が少し焦りを見せたが結愛は当たり前の様に呼んでいる。どうやら牛の解体技術はネスタから学んでいる様だ。 そんな中、大量の牛筋が解体や整形の間に出てきたので御厨がこっそり仕掛けていた出汁に醤油等と一緒に入れて特製の牛筋煮込みに仕上げていくと瞬く間に殆どが無くなってしまった。それと同時進行でビールも無くなってきたので光が『瞬間移動』で自分の家の地下にある大型冷蔵庫からありったけの缶ビールを持参し、皆で呑み始めた。 林田は牛筋煮込みを食べながら涙ぐんでいた。林田「この優しい味付けがビールに合うな・・・、米にも合いそ
last updateLast Updated : 2025-03-25
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3. 「異世界ほのぼの日記」90

-90 解体の最中- 牛筋煮込みご飯を振舞う御厨の横でネスタは内ヒラ肉の脂を丁寧に剥がし取り赤身肉をブロック状に切っていくと、手の空いたヤンチが特製のスパイスに漬け込み1面1面表面を数十秒ずつ焼いていった。 表面を焼き上げたブロック肉の粗熱を取り、林田警部拘りの冷蔵庫に入れる。ブロック肉を冷蔵している間に特製のソースを作る。フライパンに残った肉汁や脂をベースに赤ワインを加え煮詰めてアルコールを飛ばした後粗熱を取ってこれも冷蔵庫で冷やしていく。結愛「出来上がりが楽しみですね、赤ワインは・・・、あれ?」 結愛が持って来ていた赤ワインが全て無くなってしまっているので辺りを見回すと、先程の新郎新婦が何故か呑み比べを始めその中で結愛のワインまで呑んでしまっていた。結愛「うっ・・・、1本50万円したのに・・・。」光明「どんだけ高いワインだよ・・・、と言うよりどこにそんな金があったんだよ。」結愛「さてと・・・、少し席を外します・・・。」 嫌な予感がした結愛はそそくさに『瞬間移動』で何処かに逃げてしまった。光明「あっ・・・、最近家で安めの第3のビールばっかり吞んでると思ったらあんなに大きな買い物をしていたんだな。へそくりでもしてたのか?」 噂をしていると結愛が大きめの袋を持って戻って来た、袋の中身は全て赤ワイン。結愛「はぁ・・・、はぁ・・・、予約注文していて正解でしたよ。これなかなか手に入れるのが難しいワインなんです。」光明「そんなワインを何本も・・・、俺の嫁って一体・・・。」 頭を抱える光明を横目に冷蔵庫からネスタが出来立てのローストビーフを運んできて特製のソースと共に振舞った。ワインを全員に配ると皆噛みしめる様にゆっくり呑んでいった、勿論ローストビーフにぴったりだ。 御厨が先程のお釜からご飯を丼によそい、ちぎったレタスをふんわりと散らしてその上に薄切りにした肉を薔薇の花の形にすると上に刻み海苔を飾り見事な丼へと変身させた。 横には小皿に入った温泉卵が添えられている。それを見た林田警部と光が駆け寄って丼を掴み一気にかき込んだ。口いっぱいに入った料理を味わいながら2人は感動の涙を流している。林田・光「美味すぎる・・・、こんな贅沢な丼初めて。あ、ハモりましたね。」 まさか「あ、ハモりましたね。」まで被るまでとはと全員唖然としている、御厨は2人に温泉
last updateLast Updated : 2025-03-25
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3. 「異世界ほのぼの日記」91

-91 空からの来客- 宴が続く中、月の輝く星空から大声が響き一同を騒然とさせた。声「この私を差し置いて、皆さんだけでお楽しみとは何事ですか?」光「な・・・、何?!」 全員が飲食をやめ空を見上げた、見覚えのある1頭のコッカトリスが3人のホークマンを連れて地上へとゆっくりと舞い降りた。背には軽装の男性が2人乗っている、林田が逃げる様にして家の中へと駆けこむ。林田「ま・・・、まずい・・・。誘うの忘れていた。」 舞い降りたコッカトリスが背に乗っていた2人を降ろし人の姿へと変わる、ダンラルタ国王であるデカルトだ。横にはホークマンである甥っ子と姪っ子が3人共揃ってお出まししている。姪っ子が背から降りた男性と軽くキスを交わす。甥っ子達はウェアウルフと取り皿を持ち、焼肉を取りに行こうとしていた。デカルト「2人も乗せていたから疲れましたよ、と言うかのっちはどこですか?」ネスタ「のっち・・・?ああ、ウチの旦那ですね。さっき家の方に走って行きましたよ。」デカルト「奥さん、かしこまらないで下さい。我々はもう友達ではないですか。」林田「そう仰って下さると助かります!!」デカルト「またそうやってかしこまる、やめろと言っただろのっちー。」林田「人前だから、それにのっちはダメだって。」 2人のやり取りを数人の女性がヒヤヒヤしながら聞いていた、1国の王に何たる態度を取っているのだと言わんばかりに。その内の1人であるドーラが質問した。ドーラ「お義父さんと国王様、いつの間にそんな関係に?」デカルト「これはこれはいつぞやの受付嬢さんではありませんか?まさかのっちの娘さんだったとはね。」林田「たった今俺の息子と結婚したんだよ、だから義理の娘ね。」 横から聞き覚えのある女性が口の中で黒毛和牛をモグモグさせながら声を挟んだ、その声には光も懐かしさを感じている。女性「じゃあ私達と一緒で新婚さんって訳だ。」 声の正体は先程キスを交わした女性ホークマン・キェルダだ。光「キェルダ!!久しぶりじゃない!!」キェルダ「ついさっき新婚旅行から帰って来たのよ。」光「えらく長めの新婚旅行だったのね。」キェルダ「あんたは暫く仕事を休める位稼いだみたいじゃない。」光「流石、言ってくれるじゃん。」2人「あはは・・・。」 2人が談笑している中、バルタンの兄・ウェインとホークマンの弟
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」92

-92 飽き対策- ずっと焼肉を食べて呑んでばかりいる者達を見て解体をずっと行っていたネスタがぼそっと呟いた。ネスタ「皆ずっとバクバク食べているけど肉ばっかりで飽きない物かね。」 その一言を待っていたかの様に結愛が動きを見せた、丁度いいタイミングで林田家の裏庭にやって来た羽田の方を向いて頷いた。結愛「フフフ・・・、そろそろ誰かがそう言うと思ってましたよ。師匠、私に任せて頂けますか?羽田さん、お願いします!!」羽田「貝塚社長から光さんへのお礼と皆様へのプレゼントです。」 羽田は氷の詰まった発泡スチロールをひっくり返し中身を木製のまな板へと取り出した、脂の乗りが十分で一番うまい状態であがった鰤だ。ネフェテルサでは特殊な海水の海に囲まれている為に季節や時期を問わず年中新鮮で美味な鰤が採れる。ただ、バルファイ王国から研究に来たどの海洋学者も理由は分からないと言う。羽田「今朝ネフェテルサ王国沿岸で採れた鰤、運よく一番の上物と出会えましたのでお持ちしました。社長・・・、それで・・・。」 羽田がこそこそと結愛に細長い紙を渡す、おそらく領収証だろう。金額を見て結愛は目が真っ白になり、そのままの姿で後ろに倒れてしまった。羽田「社長、大丈夫ですか?!」結愛「こ・・・、こんなに高いの・・・?」 その様子を見たネスタが結愛の持つ領収証を見てみた。ネスタ「ありゃ、これはこれはかなりの上物を掴んだ様だね。よっぽど美味い鰤なのかね。」御厨「それでは僭越ながら私が捌かせて頂きましょう。」 御厨が包丁を握り羽田が持って来た上物を捌こうとすると羽田が声を掛け、同行してきた男性達を呼んだ。羽田「すみません板長、少々お待ち頂けますか?こちらですよ。」林田「き・・・、君は・・・。」デカルト「貴方方は・・・。」 林田とデカルトが驚くのも無理は無い、そこにいたのは事件解決の為林田に協力した梶岡浩章とガヒュー達巨獣人族だったからだ。ガヒュー「デカルト国王にお礼がしたくて来ちゃいました、俺と梶岡さんでこの鰤を捌こうと思います。あの時のハーブティーとフルーツタルトは本当に美味しかった。」梶岡「俺も林田警部には冤罪にして貰ったり昼飯を食わせて貰ったりと恩義があります、是非お礼をさせて下さい。」林田「梶岡君、君の食べた丼はこちらの板前さんが特製の物だ。」ヤンチ「お口に合いまし
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」93

-93 巨獣人族達の未来- 刺身をたった1口食べただけで号泣するデカルトを見てガヒューはもらい泣きをしてしまいそうになっていた。目の前で1国の王が自分の料理で涙しているのだ、これほど嬉しい事は無い・・・、はずだった。マック「叔父さんは相変わらずだな、何でも美味い美味いと言ってすぐ泣くんだから。」ウェイン「特に日本酒を呑んでる時とかな。」 ガヒューの涙は一気に引いてしまった、目の前にいる人化した上級鳥魔獣は酒を呑むと涙もろくなり味音痴になるのだろうか。キェルダ「ガヒューさん、ごめんなさいね。古来からなのですがコッカトリスは情に厚い者が多いんですよ、叔父さんはその代表格でして。」 それを聞いたデカルトが重めの口調で反論した。よっぽど刺身が気に入ったのだろうか。デカルト「愚か者たちよ・・・、何を言っているのだ。そういう事は1口食ってから言わんかい。」 たかが刺身だろうと言わんばかりの様子で各々が刺身を1切れ掴み、口へと運ぶ。豊かな甘みを含んだ脂が口いっぱいに広がりゆっくりと消えて行く。醤油に混ぜたおろしたての山葵の辛さの中にある穂のかで優しい甘みと、皮の香りをつけながら絞った酢橘の酸味が手伝い日本酒を誘った。3人が揃って日本酒を呑む。キェルダ「前言・・・、撤回・・・。」ウェイン「美味・・・。」マック「過ぎる・・・。」 自分達の発言を反省する兄妹、デカルトと同様に涙を流していた。キェルダ「実は私、あまり刺身は好きでは無かったのですがこんなに美味しい刺身は初めてです。本当にごめんなさい。」マック「ガヒューさん、あんた天才だよ。料理人になったらどうだい、なぁ、叔父さん。」ウェイン「これお店出したらお客さん凄くなるんじゃないか?」マック「叔父さん、どうだろう?」 デカルトはマックの言葉を受けて深く考え込み、ガヒューに質問した。デカルト「ガヒューさん、貴方や今回我々が救出した方々を含むジャイアントの皆さんは料理人の方々ばかりなのですか?」ガヒュー「私みたいに調理師免許を取って料理する者もいますし、魚介類を養殖する漁師もいれば無農薬の農産物を専門で作る農家もいます。勿論、牧場や養鶏所を経営する者もいたりして食料自給率はほぼほぼ100%と言っても過言ではありません。」デカルト「そうですか・・・、何か勿体ないな・・・。」 デカルトは腕を組んでま
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」94

-94 日本人が故の楽しみ- 宴もたけなわとなり、皆が酒の〆にサラサラとした物を求め始め、解体していた牛肉のお店から光がテールも仕入れていたので御厨がそれを使いテールスープを作っていた。ただしつこい様だが呑みながらなので途中「味見」という名目で数回ほど飲んでいる、どうやら濃厚なスープをも肴になってしまっていた様だ。 出来上がったスープに中華麺や窯のご飯を入れてラーメンやお茶漬けに仕上げていく、光と林田警部はご飯を入れてお茶漬け風に楽しんでいた。光「ああ・・・、日本人はやっぱり米だわ。」林田「そうですね、米が美味しいと日本人で良かったと実感できますね。」光「そう言えば林田さんは好きなご飯のお供はありますか?」 林田は食事の手を止め、目を閉じて自らの好物を思い浮かべていた。林田「そうですね・・・、やはり京都のちりめん山椒でしょうか。あの風味がご飯を呼ぶんですよね、光さんはどうですか?」光「私はシーチキンですね、マヨ醤油に辣油と唐辛子を組み合わせると朝からご飯3杯は行けますよ。」林田「それにシーチキンは酒にも合いますもんね。」光「林田さん、警察の方なのに罪な人ですね。思い出したら欲しくなっちゃったじゃないですか。」林田「あらま、これは申し訳ございません。」 談笑する2人に数人ほどが近づいて来た、解体を終えた結愛がハイボールを片手に光の隣に座る。ハイボールは少し薄めに作っている為ごくごく呑める様だ。 大きなジョッキ一杯に入ったハイボールを煽ると会話に参加し始めた。結愛「何だか楽しそうな話していますね。」光「ご飯のお供の話をしていたんですよ、結愛さんは社長さんだからやっぱり高級品が出て来るんですかね。」結愛「私はそうですね・・・、胡瓜の糠漬けですかね。」林田「意外ですね、もっと拘った珍品が出てくるのかと思いましたよ。」 すると、結愛はジョッキに残っていたハイボールを飲み干した後、自分の『アイテムボックス』から壺を取り出して蓋を開けた。自らの手で中の糠を混ぜると胡瓜が数本お出ましした、結愛は糠を落とすと光と林田に1本ずつ振舞った。結愛「私が漬けた胡瓜です、家にもいっぱいあるので良かったらどうぞ。」 光と林田は手渡された胡瓜を思いっきり齧った。光・林田「頂きます・・・。カジッ・・・、え?!カジッ、カジッ、カジッ・・・、美味い・・・。美味
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」95

-95 ご飯のお供- 光の考えた計画はこの異世界に転生してきた日本人で集まり、転生前から愛して止まないこれぞ白米にぴったりだと言う1品を持ち寄り美味い白米を思う存分食べ尽くそうという物だった。光「ご飯片手のパーティーなので、敢えて酒は無しにして純粋にご飯を楽しむものにしてみようと思ってまして。」結愛「たまにはそういう催し物もありかも知れませんね、やってみますか。」 次の日、林田や結愛の呼びかけに応じて数名が光の家に集まった。各々の「好き」を発表する場にする為、ご飯のお供は自分で持ち寄ると言うルールにしていた。ただ米は光拘りの新潟県魚沼産のコシヒカリを使用する。いつもは炊飯器を使用しているが今回は御厨の提案で昨晩林田家で使用した直火でのお釜での炊飯を行う事となった。 光の家の裏庭にある以前ナンを焼いたり燻製をするのに使用した焼き窯をベースに用意したお釜で炊いた白米が空腹を誘う香りを漂わせている。光「我慢・・・、出来ない・・・。」結愛「私も・・・、です・・・。」 「はじめちょろちょろ中パッパ」の教えを大切に、最初は柔らかな弱火で途中から火を強めた後、より美味しくする為じっくりと蒸らしていく。蓋を取った瞬間立ち込める湯気と共に魅惑の香りがやってきてそこにいた全員が日本人であることを喜んだ。 杓文字で返すように混ぜ、各々の茶碗に優しく盛り付けると輝かんばかりに美しい純白の白米に皆が目を輝かせていた。光「では、折角の炊き立てご飯が冷めない内に始めて行きましょうか。最初は私から、シーチキンを提供させて頂きます。」 各々にシーチキンを贅沢にも1缶ずつ渡し、光が拘っている調理の手順を説明していく。「調理」と言っても混ぜるだけなのだが。光「蓋を利用して油を切ったシーチキンにマヨネーズと醤油を加え一旦混ぜます。そこに辣油と一味唐辛子を好みの量で加えて下さい。」結愛「もう後は混ぜるだけですか?」光「よく混ぜたら騙されたと思って最初の1口を思いっきり頬張ってみて下さい。」林田「むぐむぐむぐむぐ・・・、ん?!嘘でしょ?!もうお代わりだなんて!!」 参加をした全員が最初の1口を食べるとすぐにご飯を口に搔きこみ出した、そして気付かぬ内に全員が1杯目を数秒で平らげてしまった。(※是非お試しあれ、美味いよ!!)光「凄いでしょ、この1口目でどれ位の量のご飯を食べるか
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」96

-96 ご飯のお供②- 温かな朴葉味噌を熱々の白米に少しずつ乗せご飯を楽しむ一同、そんな中林田が懐で何かをごそごそと探し始めた。林田「次は私がご紹介させて頂いて宜しいでしょうか、ゲオルさんのお店でこれを売ってたので助かりました。」 林田は懐から小瓶を取り出すと嬉しそうに中身を自ら用意した小皿に出した、誰もが食べた事があるであろうメンマの「やわらぎ」だ。林田「そのまま食べても美味しいのですが、これを胡瓜キムチと混ぜても食感が良くてご飯にピッタリなんです。」 小皿とは別に少し大きめの器を用意し、胡瓜キムチとやわらぎを混ぜて振舞った。シャキシャキの胡瓜と柔らかなメンマがバランスよく混ざっている。メンマに和えられた辣油が味のアクセントになってご飯を誘い、それにより光と結愛はずっと箸が止まらなかった。結愛「アクセントの辣油がキムチの味を引き立てていますね、今日ご飯足りますか?」光「一応2升は用意しているんですが追加注文しないとダメかもしれませんね。」 光と結愛、そして羽田や林田のご飯のお供の時点で用意をしていた半分の1升が無くなろうとしていたので実は焦っていた。念の為、今現在もう半分の1升をお釜で炊いている状況だが無くなるのも時間の問題だろうか。林田のやわらぎ入り胡瓜キムチの出現は一同にとって大きかった、光は『瞬間移動』を利用して地下の貯蔵庫から追加の米を持って来る事にした。念の為に2升程追加を用意し、食事に戻った。 すると、家の入口の辺りから聞き覚えのある男性の声がした。男性「林田さん、林田さん?いらっしゃいますか?来ましたよー。」 その声に返事をする林田、ただ口の中には米が残っている。林田「ああ・・・、待って・・・、ましたよ・・・。裏・・・、庭に・・・、どうぞ・・・。」光「あれ?どなたか呼んだんですか?」林田「ごくん・・・、失礼しました。光さんもお会いした方ですよ。」男性「こんにちは、お久しぶりです。」 優しい笑顔で見覚えのある男性が裏庭に入って来た、この異世界で車を購入したお店の店主・珠洲田だ。珠洲田「光さん、お久しぶりですね。林田さんにご招待を頂きまして来させていただきました。私も皆さんと一緒でご飯が大好きなんです。」光「お久しぶりです、レースの映像でお見かけしましたよ。」珠洲田「これはこれはお恥ずかしい、まさか見られていたとは
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」97

-97 ご飯のお供③- 光明は抱えていた小さな発泡スチロールを降ろし、ゆっくりとビニールテープを剝がしていった、宅急便の届け票がまだ付いていたままだったので届いたばかりと言うのは嘘ではないのだろう。光明「むふふ・・・、これこれ。」 にやけながら発泡スチロールから小さな箱を取り出す光明、嬉しさは満更ではなさそうだ。光明「今回は誠に勝手ながら2種類ご用意致しました、まずは福岡県博多の辛子明太子です。」 炊き立て熱々の白飯に真っ赤な辛子明太子を乗せ、皆が1口齧る。プチプチとした卵の食感や舌ざわりと赤い唐辛子の辛味がご飯を誘う。光明が持参したもう1種類を知る前にかなりの量の白飯を堪能してしまっているが光の魔力のお陰でまだまだお腹は余裕だ、林田に至っては1腹だけで白飯を2杯食べてしまった。林田「光明さん、早く次の物を出してください。私のお茶碗の中の白米が今か今かと待ち構えています!!」結愛「いや、待ち構えているのは警部さんでは?」光「そんなこと言ってる結愛さんだってそうでしょ?」結愛「あ、バレました?あなた、早く出して!!」 結愛に急かされた光明は発泡スチロールの中から小瓶を2本取り出した。光明「焦らない焦らない、すぐ出すから待ってな。では皆様お待たせしました、こちらは粒雲丹です。今回は北海道利尻島産の物と山口県下関産の物を用意しました。小皿に移してお出ししますので宜しければどちらが利尻か、もしくは下関かを当てて見て下さい。」光「何処か今日の趣旨と違っている様な気がしますがやってみましょうか。」 白と黒の小皿に少しずつ粒雲丹が盛られており、全員最初は白の皿の物から食べていった。少量だが濃厚な粒雲丹だ。 とろりと口の中で溶け雲丹の風味が広がる、それを白飯で追いかけるというこの上ない贅沢。全員が少量の粒雲丹でお茶碗2杯分のご飯を食べると、水を飲んで口の中をリセットした。 全員が黒の皿の粒雲丹に移る、口の中で溶かすと白の皿の物と同様に優しい雲丹の風味が広がるが・・・。光「白(こっち)が利尻ですね。」光明「もう分かっちゃったんですか?」 味には明らかに大きな違いがあったのだが他のメンバーが正直チンプンカンプンな様子だったので、某有名グルメ漫画の主人公のであり、厳格な美食家を父に持つ新聞社のぐうたらサラリーマンの様な口調で説明した。光「白の皿も黒
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」98

-98 ご飯のお供④- 林田警部は声をかけてきた男性を光の家の裏庭へと招待すると、そこにいた全員に紹介した。林田「皆さんお待たせいたしました、ご紹介させて下さい。こちらは私の部下の梶岡刑事です。今回の貝塚義弘逮捕に大いに協力をしてくれたので招待したのです。」 元々警察の人間でもない梶岡は当然警官として働いた覚えもないし、はたまた刑事になるなど思った事も無く、当然の事ながら初耳なので驚きを隠せない。梶岡「えっ・・・、あ・・・、あの・・・、林田さん?ど・・・、どういう事ですか?」林田「言った通りだよ。実は先日のご活躍についての事をネフェテルサ署長に話してね、これからも協力と活躍をして欲しいと是非刑事職について欲しいとの通達なんだ。」梶岡「あの・・・、宜しいのでしょうか?」林田「当然、これからもよろしくお願いします。勿論、優秀な生徒として魔学校に通いながらだがね。梶岡君、いや梶岡刑事。」 梶岡は涙した、こんなに嬉しい事は一生に一度あるかないかだ。林田「さて、刑事としての初仕事だ。ここにいる皆さんにご飯のお供を紹介して下さい。」梶岡「は・・・、はあ・・・。そうですね・・・、数の子の松前漬けですかね。」光「良いですね、早速食べましょう。」 光は数の子の松前漬けを『作成』し、そこにいた全員がご飯に乗せて食べた。シャクシャクとした数の子の食感がたまらない。梶岡は今まで出てきたご飯のお供と自ら提案した数の子の松前漬けで白米を勢いよく5杯食べてしまった、かなり空腹だったのだろうか。すると、急いで食べたせいか喉を詰まらせかけた。林田「ははは・・・、そんなに急がなくても良いのでは?」 梶岡は体調を戻すと、涙を流し始めた。梶岡「実は・・・、こんなに沢山の方々と食事した事があまり無いし、元々貧乏学生ですからこんなに美味しい物を沢山食べれるなんて思わなくてね。それに先程の事が響いてまして。」 光は梶岡の肩にそっと手を乗せた、梶岡は未だに震えている。光「さあさあ落ち着いて、まだありますから食べましょう。」 梶岡は光の言葉に促され、テーブルの上にあるご飯のお供と白飯を味わいだした。ゆっくりと噛みしめるように咀嚼をした。そして梶岡は自分の茶碗の飯におこげを見つけた。梶岡「宜しいのでしょうか、一番美味しい所を自分なんかが。」光「何を仰いますか、まだまだいっぱい
last updateLast Updated : 2025-04-01
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