-109 王宮にて- 王女に抱きしめられ続けながら王宮の入り口へと向かう光は何かを思い出したかのように門番をしていた大隊長に声を掛け、耳打ちをしてとある連絡をしておいた。 王宮の中に入り食堂の厨房を目指す、石を敷き詰めて出来た広々とした床が広がり奥にはまさかの日本古来のおくどさんが見える。これはどうやら先祖代々米好きの王族の為に用意された物らしく、他の火を使う調理用として真ん中にガスオーブンや魔力(IH)クッキングヒーターが用意されているが拘った調理をする時は米以外にもおくどさんを使用する時もあるようだ。今回はペプリの指示で調理前から焚火が仕掛けられており、すぐにでも調理ができる様になっていた。横ではお釜で白米を炊飯しているらしい、米の良い香りが調理場中に広がっている。 木製の調理台が仕掛けられておりレンジやオーブン等と言った調理家電が揃っており、冷蔵を必要とするもの以外の新鮮な食材たちが一緒に並べられている。要冷蔵の物は厨房の真ん中に大型の魔力保冷庫があり、調理台の下にも小型の魔力保冷庫が仕掛けられ保管された食材をすぐに取れるようになっていた。 光はその壮大さ故に口を引きつかせながらドン引きしている。光「ははは・・・。こ・・・、こんな所で今から家庭のカレーを作んの?」ペプリ「そうですわ、お姉様。こちらにある食材をご遠慮なく使ったカレーを教えて下さいまし。」光「き・・・、昨日ので良いんだよね・・・。」 知らぬ間にエプロンを身につけた王女は満面の笑みで答える。ペプリ「はい、宜しくお願いいたします。光お姉様。」 ペプリがメモを片手に嬉しそうにしている隣で光の技と味を盗もうとする厨房のシェフ達や王国軍の者達が数名、そしてまさかのニコフ・デランド将軍までいた。そう、あの新婚の。光「ニコフさんじゃないですか、どうされたんですか?」ニコフ「たまには自分もキェルダと料理をしてみようかと思いまして、そのきっかけになればいいなと。本日はご教授お願い致します、光師匠!!」光「「師匠」だなんて・・・、だったら悪い事しちゃったかな・・・。」ニコフ「あら、どういう事です?」光「まぁ、いずれ分かりますよ。取り敢えず始めていき・・・、ん?」 厨房の出入口の陰からじっと睨みつける様な視線を感じた光は視線の方向へと睨み返した、何故か覗きの犯人を見つけたような表情をし
Last Updated : 2025-04-06 Read more