All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 131 - Chapter 140

162 Chapters

3. 「異世界ほのぼの日記」99

-99 ご飯のお供⑤- 利通の得意料理のピーマンの肉詰めを食べた一同は、光の一言により利通にかなりの期待を寄せてしまっていた。利通は梶岡という新たな仕事仲間の前で皆の期待に応えようと考えに考えた。利通「少しお時間を頂けますでしょうか、実は得意なのはピーマンの肉詰めだけではなくて。すぐに作ってきますからごゆっくり。」 その言葉をかけると『瞬間移動』でどこかへ行ってしまった。 2時間程経過しただろうか、慌てた様子で光の家に戻って来た利通は大皿と深めの中華鍋を持っていた。スパイスの良い香りが辺りに広がる。利通「お待たせしました、まずはフランクフルトソーセージです。今回は敢えて焼かずにボイルでお召し上がりください。自分で腸詰にしてきました。」 沸騰しない位に沸かしたお湯にフランクフルトソーセージを入れ、数分間茹でていく。ゆっくりと・・・、ゆっくりと熱を加えていき、ぷかぷかと浮かび上がって来た位のタイミングでお湯から上げた。利通「自分はいつも何も付けずにおかずや肴にするのですが、今回は横に辛子マヨネーズを添えておきますのでお好みでどうぞ。」 全員が最初は利通本人がする様に何も付けずに1口、齧った瞬間に口に肉汁が溢れそれだけで白飯を誘う。 次は辛子マヨネーズを付けて1口、マヨネーズの酸味と辛子の辛味が加わる事で利通は全員の食欲がより増していくのを感じていた。 ただ、相当な量の米を食べているはずなのに皆の食欲は増すばかりでその勢いは衰える事を知らない。 全員が特製のフランクフルトソーセージに舌鼓を打っている間に、利通は次の料理の準備をし始めた。練りに練り上げた生地の空気を両手で丁寧に抜き、熱したフライパンで焼き始めた。表面にはうっすらとパン粉を付けてある。利通「では2品目に移りましょうか、光さんのご希望通りハンバーグをご用意致しました。今回はご飯に合う様におろしポン酢でお召し上がり下さい。」光「凄い美味しそう・・・、何かドーラさんに悪い気がしてきました。」利通「大丈夫ですよ、これはドーラの大好物でもありましてね。それに今回に至っては光さんが食べると言うと喜んで手伝ってくれましたんですよ。」 利通は表面のパン粉がうっすら狐色になるまで焼き上げると熱々に温めた鉄板に乗せ、おろしポン酢を横に添え好みの味付けで楽しめる様にした。 1口食べると表面のパン粉
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」100

-100 番外編・林田の回想と夜勤明けの出会い- 私は林田 希(はやしだ のぞむ)、ネフェテルサ王国警察で警部の職に就いている。私は元々この世界の者ではなく日本からの転生者だ。転生前も今と変わらずいち警察官としての職務に就いていたのだが、突如心臓麻痺で倒れてそのまま帰らぬ人となってしまった・・・、と思っていたら知らぬ間にこの世界にいて今に至る。 この世界に来た初日は不安でいっぱいだった、1番の要因はやはり言葉だ。何処からどう見ても西洋の雰囲気を漂わせるこの世界の言葉や文化など分かる訳がない。何も分からず辺りを見回していたら鍬を持った男性に声を掛けられた。男性「・・・・・・・、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?(異世界語)」林田「えっ・・・、えっと・・・。」 その瞬間奇跡が起こった、神というものが本当に存在するというのか。男性「大丈夫ですか、私の声が聞こえますか?言っている事が分かりますか?」 何故か先程は全くだったこの世界の言葉が急に日本語に聞こえるようになった。林田「えっ・・・、は・・・、はい・・・。」男性「良かった、気が付きましたか。酒にでも酔ってこんな所でずっと寝てたんですか?」林田「いや、私は今の今まで仕事を・・・。」男性「因みに何のお仕事を?」林田「恥ずかしながら、こういう者です。」 私が胸元の警察手帳を見せると、男性はこの国の警察署らしき建物に連れてきてくれた。確か受付の女性が今の警察署長に魔法みたいな物で話を付けてくれたんだっけな、今思えばあれは何だったんだろう。女性「副警察署長がお待ちです、こちらにどうぞ。」 長い廊下を暫く歩き、面談室に通された。そこで警察手帳を見せて事情を話すとこの国の警察の職務に就き、我々に協力して欲しいと言われたっけ。 とにかく、あの2人には感謝だ。勿論、今の署長にもだよ。 さてと・・・、こんな俺も今ではこの国の警察署の警部だ。日本の方々も含め警察の皆がそうなのかは知らないが、職業上勤務時間が不規則な事が多い。今日だってそうだ、本当は昨日の夜10時には家へ帰れる予定だったんだが事件事故が相次いで発生したので今やっと仕事が終わった。林田「朝8時か・・・、結局夜勤みたいになっちゃったな。疲れた。よし、あれやるか!!」 実は私は月に一度夜勤に就く事がある。私の様に警部職に就く者
last updateLast Updated : 2025-04-01
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3. 「異世界ほのぼの日記」101

-101回想から目覚めて- 林田は目を閉じ不意に思い出した出来事に浸っていた、「あの若者は誰だったのだろうか、そして未だに聞けなかったあの言葉の意味が気になる」と回想していた。 そんな林田の体を利通が必死にゆすっていた、まるで死にかけの人間を呼び戻しているかのように。利通「父さん!父さん!!まだ早いって!!カレーのスプーン片手に死にかけてんじゃねぇよ!!」林田「う・・・、うん・・・。」 林田はゆっくりと目を開けた、右手には利通が作ったカレーが乗ったスプーンがそのままの姿で握られていた。利通「父さんどうしたんだよ、スプーン握ったままずっと寝てたんだぞ。」林田「ああ・・・、夢を見ていた。夢と言っても過去の回想みたいな感じだったのだが。」 林田はその場にいた一同に見ていた夢について話した。たまに朝風呂を楽しみに行く温泉の事は勿論、そこで出会った「あの若者」の事も。結愛「その人は神様なんですか?」林田「神様のイメージからは程遠い見た目でしたね。長い髭をたくわえている訳では無かったですし、見た感じ30代前半でした。」光「他に分かった事は無いですか?例えばその方のお名前とか。」 林田はスプーンのカレーを食べた後、再び目を閉じ思い出してみた。林田「名前はお聞きする事は出来ませんでしたが、普段は夜勤で働いている会社員だと言ってましたね。」光明「夜勤の会社員なのに世界の想像主?全然想像がつきませんね。」光「その人は中二病なんですか?」林田「中二病からはかけ離れた見た目でしたよ、本当にごくごく普通の会社員の方でした。ただ・・・、うん・・・。」 林田の疑問を残す様な語尾を聞き逃さなかった光、まだ何か引っかかっている事があるのだろうか。光「ただ・・・、何ですか?」林田「私達と近い物を感じまして、とにかくビールがお好きだった様な。」 林田が言うには仕事上がりと風呂上がりが良い意味で重なったが故に思い出の中の男性は美味そうにビールを味わっていたそうな、因みにその時の肴は・・・。林田「木綿豆腐の冷奴。」光「へ?」結愛「冷奴は大抵絹ごし豆腐ですよね。」利通「好みにもよると思いますよ。俺も木綿に醤油と鰹節、あと生姜かけて冷奴を作る事がありますし。しっかりとした硬さで僕は好きですけどね。」 光は台所へ駆け込み冷蔵庫に入っていた木綿豆腐等の材料を使って
last updateLast Updated : 2025-04-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」102

-102 厄災は突然に?-将軍「だっしー、大変だ!!」 警察の関係者3人を含む数名がご飯のお供に舌鼓を打つ場所に慌てた様子で王国軍の鎧を身に纏った軍人が慌てた様子で裏庭に入って来た。恰好から見るに将軍(ジェネラル)らしい、と思ったらいつしかのニコフ・デランドだった。林田警部の友人で鳥獣人族のキェルダと先日籍を入れたあの人だ。林田「ニコフ・・・、そんなに慌ててどうした。カレーくらいゆっくり食わせてくれよ。」ニコフ「流暢にとても美味そうなキーマカレーを食ってる場合じゃないぞ、ドラゴンだ!!ドラゴンが出たんだよ!!」 林田は全然慌てていない、ダンラルタ王国警察の爆弾処理班でレッドドラゴンが立派に堂々と働いているからだ。それに観光目的でネフェテルサ王国にやって来て温泉を楽しんでいる者もいる、それにも関わらずニコフは慌てた様子で続けた。理由が理由だったからだ。ニコフ「何言っているんだ、ドラゴンはドラゴンでもブラックドラゴンだぞ!!」林田「ブラックドラゴンだって?!」 その名を聞いて初めて林田が慌てだした、光は未だ訳が分かっていない。光「林田さん、ブラックドラゴンって?」林田「レッドドラゴンと同じで上級のドラゴンなのですが、暗黒魔法により魔の手に落ちたドラゴン達がブラックドラゴンになるのです。民家等から放火などの被害が相次いでいて最近は外界に追放されていたのでずっと姿を見なかったのですが、今になってどうしていきなり・・・。」 本人自身も何かしらの被害を受けた覚えがあるのだろうか、林田は震える両手で頭を抱えていた。林田「急いで向かおう、被害者が出る前に食い止めるんだ。ニコフ、案内してくれ。」ニコフ「案内するも何も・・・、お前の真上にいるじゃんか。気付かなかったのか?」林田「ほへ?」光「あはは・・・、大きいですね・・・、バタン!!」 目の前の大きなドラゴンを見てその場に倒れてしまう光、それを見て林田は拳を握った。林田「光さん!!こいつよくも・・・。」 歯を食いしばりながら目の前にいる巨大な上級のドラゴンを見上げる林田、それを見てブラックドラゴンは慌てている様子だった。人語を話せるらしいが外界の言葉らしく、全員が理解できていない。ブラックドラゴン「・・・・・!!・・・・・・・・・・(外界語)!!」 ただ目が覚めた光は神様のお陰ですぐに理解出来
last updateLast Updated : 2025-04-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」103

-103 龍の正体と探し人- クォーツを案内し、光達は街の東側の出入口へと向かった。ニコフが守衛にその美女を紹介するとブラックドラゴンの姿に変化した訳では無いのに守衛たちが震えだしている。守衛「そ・・・、そのお方があのブラックドラゴンなのですか?」ニコフ「クォーツさんと言います、適性検査とカードの発行をお願いします。」女性「クォーツさんですって?!そこのお方、お待ちください!!」 聞き覚えのある声が響き渡る、振り向いてみるとアーク・ビショップのメイスではないか。見た感じは素面なのだが息を切らしながら走って来たらしく、顔が赤くなっている。メイス「そのお方の適性はこの私が証明致します、カードの即時発行をお願い出来ますでしょうか。」守衛「アーク・ビショップ様・・・、これはどういう・・・。」クォーツ「メイスさん、やっと見つけた!!」 メイスより指示を受けた守衛が出入口横の事務局でカードの発行を行っている間にメイスの方から改めてクォーツが紹介された、ただ全員が大きな勘違いをしていたみたいでそれによりメイスがかなり焦っている。メイス「クォーツ様がブラックドラゴンですって?!何を仰っているのですか、ドラゴンはドラゴンでも古龍(エンシェントドラゴン)ですよ!!」林田「え・・・、古龍(エンシェントドラゴン)ってあの1000年以上生き、伝説の存在とされているあのドラゴンですか?!」クォーツ「そんな大げさな、俺は齢たった1872年の若者ですよ。」 謙遜する古龍を横目に古代の歴史書を開くメイス、そこには先程のクォーツと同じ特徴を持ったドラゴンを描いた挿絵が見える。横には長々とした説明書きがあった。 【古龍(エンシェントドラゴン)】-古来より1000年以上生き、他のドラゴンや上級魔獣等の比にならない位の知識と権威を持つ伝説のドラゴン。その代表とされるラルー家は各々が「一柱の神」とも称され崇められている。ただその見た目によりブラックドラゴンと間違われやすいが角の生え方と鱗の硬さ、そして使用できる魔法の多さに大きな違いがありその威厳を人々に見せつけている。存在すら伝説とされているので会える事はこの上ない幸福・・・。クォーツ「一柱の神だなんてそんな・・・。あ、どうも。」 メイスが丁寧な口調で説明書きを読み終えると全員改めてクォーツの方を見た、目線の先の古龍は守衛か
last updateLast Updated : 2025-04-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」104

-104 神の目的- 王女のペプリは2人に迫られ怖気づいてしまっていたが、正直に自らの腹痛の理由を話そうとしていた。震えながらも重い口を開く。ペプリ「2人共何か勘違いしてない?吐き気なんてしてないし相手って何?それと今一番食べたいのは大好きなカレー!!」 一柱の神と称される古龍は開いた口が閉まらなくなっている、その隣でアーク・ビショップが冷静に尋ねた。メイス「では王女様、腹痛はどこから来ているのです?」クォーツ「メイスさん・・・、多分俺ですわ。急いで来たんだけど間に合わなかったみたいです。」 ゆっくりと挙手するクォーツ、どうやら今回の訪問に大きく関係しているらしい。クォーツ「ペプリ・・・、今朝何食べたんだ?」ペプリ「クォーツ姉ちゃんが送ってくれた生牡蠣だけど。」 古龍は頭を抱えた。クォーツ「やっぱりか・・・、悪かった。生食用と間違えて加熱用の物を送っちゃったんだわ。それに当たっちゃったみたいだね、本当にごめんなさい。メイスさん、回復魔法(ヒーリング)をお願い出来ますか?」メイス「勿論です、すぐしますね。」 メイスはペプリのお腹に手を当て魔力を込め始めた、痛みが引いて来たらしくゆっくりと落ち着いた様子で深呼吸をしている。クォーツ「本当にごめんなさい、カキフライにして俺が食べようとした方だったんだ。何かお詫びをさせてくれや。」 どうやら神は謝罪の為に来たようでお詫びとして何か自分に出来ることは無いかと尋ねると王女は空を飛んでみたいと答えた、幼少の頃からずっと王宮に籠りきりなので「自由」というものを改めて感じてみたいのだという。クォーツ「そんな事なら俺の背中に乗ると良い、飽きる位まで飛んでやるよ。」ペプリ「えっ・・・、本当に良いの?」メイス「王女様、いけません。一柱の神に乗るなど罰が当たります!!」 クォーツが原因は自分にあるのだからと必死になってメイスを宥めようとしている、その様子を見てペプリはクスクスと笑っていた。 そんなペプリを横目にクォーツは古龍の姿に変化し、自らの背中に招待した。クォーツ「罰が当たる訳が無い、俺の方に非があるんだし了承しているんだから。さぁ、おいで。」 王女がキラキラと目を輝かせ招待されるがままに古龍の背中に乗ると、古龍は大きく翼を広げ空へと上昇していった。メイス「あらあら。まぁ、いいか。光さん、すみ
last updateLast Updated : 2025-04-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」105

-105 神の帰還と王女の訪問- 2人が午後の優雅な紅茶タイムを楽しんでいた頃、王女を背に乗せた古龍は何としてでも謝罪をしたいと思っていたので空を飛ぶ以外に何かしたい事は無いかと尋ねてみた。ペプリ「うーん・・・、やっぱりカレーが食べたいかな。」 相も変わらずだが、一国の王族が全員カレー好きとは変わっているとクォーツは思った。これは彼女の勝手なイメージなのだが王族は毎日絢爛豪華なフルコースを食べている様な、正直たかがカレーにそれを越える何があるのだろうかと。ただ、カレーとカレーが大好きな全人類に失礼なのだが。クォーツ「本当にお前はカレーが好きなんだな、会う度いつもカレーじゃないか。」ペプリ「だって・・・、王宮の食堂のシェフが作ってくれないんだもん。」 王宮では毎朝シェフが市場に通い、自らの目利きで拘った食材を使った豪華で美味しい料理をじっくりと楽しんでほしいと張り切ってフルコースを作るのだがその中にカレーライスどころか米料理は含まれていない。理由は非常にシンプルで外界出身のシェフの地元では米文化が発達しておらず、余り食べた事が無い食材で料理は出来ないとの事なのだ。 ある日王宮をこそこそと抜け出し自由に街を散策していた時、そこら中のお店というお店から芳しいスパイスの匂いに誘われたまたま入ったお店で初めて食べたシンプルな見た目のカレーライスの味を忘れる事が出来ずに今に至る。ただ、何処のお店かを思い出すことが出来ない。 今でもあの味にもう一度会いたいと一人で王宮からこっそりと抜け出して色んなお店のカレーを食べに行くのだがそのタイミングが家族と被って結局目立ってしまい、懐かしの味を見つけ出すまでに至らずに終わる。クォーツ「よし、今回は私のおすすめのお店を紹介しよう。お前の言う懐かしの味かどうか分からないが俺の大好きなお店だ、少し遠くまで行くが大丈夫か?」ペプリ「平気、楽しいから良い。クォーツ姉ちゃんの好きなカレー楽しみ。」 クォーツは翼を大きく広げ、雲の上に向かって勢いよく飛んでいった。雲の合間を縫って一面真っ青な空の世界に抜け出して暫く飛んでいくと、大きな島のような物が浮かんでいるのが見えた。ペプリを乗せたクォーツはその島の先端に降り立ち、王女を降ろして人の姿に戻ると歩きながら案内を始めた。まず最初に街の入り口らしき場所へと向かう、そこでは国境検問所
last updateLast Updated : 2025-04-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」106

-106 優しさの塊- 裏路地の食堂に入るなり辛さを聞いて来た主人は片手で持てる雪平鍋とお玉を持っていた、傍らにはスパイスが入った小瓶を集めている小さな棚が置かれている。主人「おい、クォーツ。辛さはどうするって?それとも今日はカレーじゃないのか?」 どうやらクォーツはこの店の常連らしく、いつもカレーを食べている様だ・・・、とペプリは思っていていると。クォーツ「3番のロースカツ、唐辛子と飯マシマシ。福神漬け多めで。」 主人「あいよ、隣の姉ちゃんは辛さはどうする?」 ペプリ「えっ・・・?」 調理場の上に大きなメニュー表らしき物が掲示されている、どうやら主人が「辛さ」を聞いた時に某有名ラーメン屋みたくメインとなるカレーの注文の詳細を全て伝える事になっているらしい。サイドメニューも充実していて気持ち程度だが少な目に作られているのでセットで食べる神々が多い様だ、カレーだけ食べたいなら量を増やせばいい。  王女は一先ず見様見真似でゆっくりと注文してみる事にした。ペプリ「えっと・・・、8番のウインナーフライ・・・、飯・・・、マシ・・・。ポテトサラダ・・・、1つ。」 主人「姉ちゃん、許可証は?」 ペプリ「許可証?」 改めてメニュー表を見てみるとどうやら最初の番号がカレーの辛さの事らしく、6番以上は5番を食べた客に店主が発行する「許可証」が無いと注文出来ないシステムになっている様だ。スパイスに拘っているので6番以上はなかなか作れないが故にそうしているとの事。ペプリ「ごめんなさい、とりあえず5番で。」 主人「5番でも結構辛いけど良いのかい?それに見た感じ華奢みたいだから飯マシでポテトサラダを付けたら食べ切れないんじゃないの?」 ペプリ「辛いの好きなので平気です、それとポテトサラダは山ほど食べても足りない位大好きなんです。」 主人「ははは・・・、そうか。疑って悪かったな、お詫びにポテトサラダはおまけさせてもらうよ!!好きな所座りな!!」 店内を見回すと調理場の傍にカウンターが15席とテーブルが8卓ほど設置されている、主人の他に数人のエルフがホールを担当して店を回している様だ。空になった皿を見るに全ての客がカレーを注文して美味しそうに食べている。2人は奥のテーブル席を選んで座った。クォーツ「ここはこの国で有名な食堂でね、俺なんか週1でカレーを食いに来るん
last updateLast Updated : 2025-04-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」107

-107 王女の好み- 主人のサービスで普段3本のウインナーフライが5本乗ったカレーとお代わり自由な山盛りのポテトサラダを完食して幸せそうな表情を見せるペプリに会計を済ませたクォーツが店の外で口に合ったかと尋ねる。ペプリ「初めて食べたのに何処か懐かしさがあったカレーは見た目以上に優しくて、それでいて刺激的な辛さがあって美味しかった。それとポテトサラダも最高、大好物をもっと好きになれたよ。」クォーツ「そうか、お前さんの好きなあの味に近かったか?」ペプリ「うーん・・・、何か違う様な。」クォーツ「そうか、一先ず帰ろうか。」 その頃、メイスとのお茶会を終えた光は夕飯の支度を始めようとしていた。王女と古龍の話を聞いていたら食べたくなってきたのでカレーを仕掛ける事にした。どうやらメイスも同様に食べたくなって来たらしく、調理を手伝うと申し出てきた。ついでに気になっていた事を尋ねてみる事に。メイス「そう言えば王女様はこの世界から出た事が無いはずなのですが言語的な問題は大丈夫なのでしょうか、古龍様が何処に向かわれたかによったら・・・。」光「大丈夫ですよ、こっそりとですが王女様にも『自動翻訳』を『付与』しておきましたから。」メイス「それなら安心ですね、もう今からカレーを作るのですか?」 光は野菜の仕込みを始める為に冷蔵庫を開けて隅々まで材料を探した。光「そうですね・・・、あれ?ごめんなさい、すぐには出来なさそうです。今見たら肉を柔らかくするためのある材料を切らしているみたいなのでゲオルさんのお店で買ってこないといけないみたいでして、すぐに買ってきますね。」 光は『瞬間移動』でゲオルの店へと移動し、肉を柔らかくするための「ある材料」を購入してすぐに家に戻った。メイス「お帰りなさい、早かったですね。えっと・・・、それで肉が柔らかくなるのですか?」光「火を加える30分前から「これ」につけると柔らかくなるんですよ。」 早速角切りにしていた牛肉を買って来た「ある材料」につけて冷蔵庫に入れなおした、その傍らで野菜の準備をしていく。 「ある材料」につけてから30分経ったお肉を冷蔵庫から取り出して水気を取ると、鍋で油を熱して硬い物から野菜を炒めていく。光のカレーには定番の根菜類とは別にえのきだけとぶなしめじが入る、その2種類の茸と一緒に牛肉を入れると一気に炒めていった
last updateLast Updated : 2025-04-06
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3. 「異世界ほのぼの日記」108

-108 求めていたのは家庭の味- 少し前なのだが光はパン屋の仕事が休みの日に街中にある食堂の手伝いをした事があった、そこで自分が家で食べるカレーを作って出したのだがたまたまその店に立ち寄った王女が気に入ったとの事なのだ。 光が皿に白飯をよそって出来たばかりのカレーをかけてペプリの前に出すと、目の前の王女は目をキラキラと輝かせ始めた。右手には匙、そして左手には水の入ったグラスが握られている。グラスの水を右手の匙につけると待ってましたと言わんばかりの勢いで一口目を掬い、口に運んだ。 じっくりと咀嚼し、味わっていくペプリの目には涙が流れ始めている。ペプリ「光お姉様、これをずっと探していたの。この刺激的な香りと根菜類と共に入った2種類の茸。それと不思議な位に柔らかな牛肉、そしてすべてを包み込み受け止めるルウと白飯。美味しい。」クォーツ「おいおい、言っちゃ悪いがたかだか家庭のカレーだろ?泣くほど美味い訳・・・。」 知らぬ間に光を「お姉様」と呼ぶ王女の隣で1口食べた古龍。クォーツ「美味しい・・・。」 カレーの味に言葉が途切れたクォーツの目からも涙が流れている。メイス「あの・・・、貴女方さっきどこかでカレーを食べて来たのですよね。それなのにですか?」2人「これは別物です!!」 光のカレーを食べ涙しながらペプリは以前から気になっていた事を尋ねた、その事に関してはメイスも気になっていた様だ。ペプリ「どうしてこんなにこの牛肉は柔らかいのですか?」光「それはね、炒める前の牛肉をコーラにつけていたからですよ。」 牛ステーキを中心に焼いた時に硬くなってしまいがちなお肉は火を加える30分前からコーラにつけていると焼いた後でも柔らかいままなのだ。 勢いが衰える事無いまま3杯を完食した王女はかなり無茶とも言えるお願いをしてみた、あの「一柱の神」とも言える古龍の背に乗ってカレーを食べに行く程の者が恐る恐る尋ねる。ペプリ「あの・・・、お願いがあるのですが。」光「はい?」ペプリ「このカレーを王宮のシェフに伝授して頂けませんか?」光「こんな家庭のカレーでいいのですか?」ペプリ「勿論です、是非宜しくお願い致します!!」 ペプリは深々と頭を下げてお願いした、その様子を見たクォーツも頭を下げる。クォーツ「俺からも頼むよ、コイツ程の上級古龍使い(エンシェントドラゴン
last updateLast Updated : 2025-04-06
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