All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 111 - Chapter 120

162 Chapters

3. 「異世界ほのぼの日記」79

-79 2人の覆面男- 深刻な現状を報告しないといけないと思った羽田が最初に連絡したのは光明だった、別々のカードに入った映像と音声を合成できないかと相談するためだ。光明(電話)「俺の所に持ってきてくれたら可能ですよ。」羽田「助かります、超重要な証拠になる映像になるかと思われます。」光明(電話)「すぐに向かいます、林田警部や結愛にすぐ見せなければ。」羽田「我々はこの案件の捜査を継続しておりますので、そのおつもりで。」光明(電話)「分かりました、急ぎますね。」 一安心しながら電話を切った羽田の表情を見たパルライが声を掛けた。パルライ「光明さんの様な技術のある方が味方にいて大助かりですね。」羽田「私には不可能な事ばかりで面目ないです。」デカルト「取り敢えず監視カメラの映像を流しましょう、義弘とリンガルスがどこで合流したか気になります。それにもう逃げているかもしれない。」魔学校長「主要警部室で建物内外の通路全ての映像をご覧いただけます、すぐに向かいましょう。」 4人は主要警備室へと移動し、警備員に指示を出し各所の監視カメラの映像を再生し始めた。催眠術に掛かった魔学校長が自らの手で書類に「リラン・クァーデン」の名前を記入し終えた時間帯から。 映像では書類を手に入れた義弘と思われる覆面男が魔学校長室を出た後、廊下を突っ切り階段へと向かっていた。階段付近に取り付けられた監視カメラの映像に切り替えると、覆面男が階段を駆け下りようとしているのが映っていた・・・、と思われた。羽田「何・・・?!くっ・・・、気付いていたか。」 覆面男は階段を降りずに消えてしまった、『瞬間移動』で移動したのだろうか。パルライ「すぐに全通路の映像に切り替えて下さい。」 映像を切り替えたが覆面をしている人物は何処にも見当たらない、「合流する」と言っていたはずなので2人映っているはずなのだが。 パルライは『瞬間移動』以外の可能性を示唆した、映っていないだけの可能性なのではと。早速警備員に指示を出す。パルライ「警備員さん、先程の階段付近のカメラの映像を映して頂けませんか?できれば先程と同じ時間帯で。」警備員「分かりました、やってみましょう。」 警備員は映像を操作して指示通りの時間帯の映像を出した、映像の中の覆面男が消えた瞬間からパルライが目を凝らして映像を見ている。パル
last updateLast Updated : 2025-03-18
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3. 「異世界ほのぼの日記」80

-80 証拠- 光明が到着すると羽田は監視カメラの映像が入った2枚のSDカードを手渡し状況を説明した、勿論義弘が大賢者と同等の魔力を得ているという事も。そして主要警備室に戻り監視カメラの映像の複製を貰えるか確認しに行った。 カードを受け取った光弘はすぐに解析を開始して映像と音声を見聞きして比べ、同時刻で同じ場所の物と分かった瞬間に改めて作業を再開した。光明「大賢者・・・、ですか。」パルライ「ええ・・・、伝説の存在と言われていましたがまさかこの様な場面で出くわすとは思いませんでした。正直敵に回したくないのが本心です。」光明「そんな存在に義弘が・・・。」パルライ「おそらくですが。」光明「急ぎ作業を行います、どうやら一刻を争うみたいですし。」 一刻と言えば光明は気になる事があった。光明「そう言えば⑲番車は今何周目ですか?爆弾処理の状況が気になってまして。」デカルト「残り15周だそうです。」光明「お2人の国の爆弾の方はどうなっていますか?」パルライ「確かに気になりますね。」デカルト「すぐに聞いてみます。」 2人は各々の国の警察や王国軍に連絡を入れ爆弾処理の状況を確認した上で⑲番車が後15周という事を伝え、処理作業を急ぐように命じた。デカルト「こちらは後2個だそうです。」パルライ「こちらは残り1個と申しておりました。」 しかし、気になるのはやはり・・・。光明「今走っている⑲番車の正体は何者なのでしょうか。」パルライ「主催者である私達に情報が無く、起爆に関係あると言うのが気になりますね。」デカルト「車を止めさせますか?」光明「いえ、やめておきましょう。レースに手を出したらその瞬間に起爆のスイッチを押されかねません。」 光明はパソコンからSDカードを取り出した。光明「作業が終わりました、急ぎネフェテルサに戻りましょう。」パルライ「重要参考人として魔学校長を連れて行くべきでしょうか。」光明「そうですね、実際に現時点で被害に遭った人物は魔学校長と梶岡さんですから。」羽田「ご主人様、お待たせ致しました。必要な監視カメラの映像の複製です。」魔学校長「私も協力させてください。」パルライ「ありがとうございます、では急いで行きましょうか。」 パルライは魔学校長含む全員の体内に自分の魔力を流すと『瞬間移動』で全員をネフェテルサ王国警察に
last updateLast Updated : 2025-03-18
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3. 「異世界ほのぼの日記」81

-81 集合- 魔学校長のマイヤは林田を許し、早速持ち帰った映像やマイヤの発言が証拠として使えるかを皆で確認しようと提案した。光明「まずはこちらをご覧ください。」 マイヤが義弘と思われる覆面男に催眠術を掛けられた場面だ、催眠術を掛けられマイヤが自らの手で書類を書き換えたあの場面。マイヤ「ノームを含む私達アーク・エルフの一族は催眠術に強い特殊スキルを祖先からの遺伝で持っているのですが、まさかその長たる私が・・・。」ドーラ「じいちゃん・・・、思い出したくないなら無理に思い出さなくていいよ。」マイヤ「いや、良いんだ。捜査に・・・、いやノームの仕事に協力出来るなら喜んでやるよ。」 映像内で書類を書き換えた後、マイヤがぐっすりと眠っているのが何よりの証拠だ。 次に鏡台にあったもう一つのカメラで撮影した映像を再生した。光明「これはマイヤさんが鏡台に仕掛けてあるもう一台の監視カメラの映像です、少し音が小さいので最初の映像から音声を抜粋してありますが勿論同時刻に同じ場所で撮影された物ですので問題は無いかと。」 暑さが故に義弘が覆面を取った場面を再生した。結愛「義弘が・・・、あれ程の魔力を・・・。」林田「しかし、いつの間に魔力を得て催眠術の修業を行ったのでしょうか。」マイヤ「原因はリンガルスにあると思われます、きっと短期間ではありますがリンガルスの下で修業したからだと思われます。また、無理矢理な方法で魔力を引き出したのかと。」結愛「しかし・・・、ただの魔学校の職員がどうして?」マイヤ「理事長、恐れながら申し上げます。リンガルスは大賢者なのです!!」林田・ドーラ・結愛「大賢者?!」結愛「・・・、って何ですか?」羽田「これがデジャヴってやつですか?」光明「以前にもあったんですね・・・。」 確かに以前にもあった会話だ、ただ重要なのはそこだけではない。義弘が大賢者の力を得たのはマイヤに催眠術を掛ける為だけなのだろうか。光明「そう言えば、レースの方は?」林田「テレビをつけますね。ただ・・・、爆弾処理の方が心配ですね。」男性「それなら安心して下せぇ。」林田「その声は・・・。」 林田が聞き覚えがある声に振り向くとそこには結愛や利通と共に競馬場に仕掛けられた爆弾の処理に向かったダンラルタ王国警察の爆弾処理班がいた。プニ「おやっさん、安心して下さい
last updateLast Updated : 2025-03-23
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3. 「異世界ほのぼの日記」82

-82 脅迫と協定- 実況を務めるネクロマンサーのカバーサ含む全員が目を疑った。カバーサ「どういう事でしょうか、私にもどういう事か分かりません!!」 その瞬間、パルライに念話が飛んで来た。師匠のゲオルだ。ゲオル(念話)「パルライ、今の見たか。」パルライ(念話)「はい、何者かの魔術でしょうか。」ゲオル(念話)「お前の障壁には反応があったのか?」パルライ(念話)「悔しいですが・・・、全く。」 突然消えた車両を見た全ての者が驚愕しているなか、3国中のオーロラビジョンいっぱいに見覚えのあるあの忌々しい男の顔が映った。正直光にはどうなっているか分からない。義弘(映像)「結愛・・・、たった数年で私が人生かけて創り上げた貝塚財閥を手に入れたと勘違いしている愚かで憎たらしい馬鹿娘よ。ネフェテルサ王国にある貝塚学園小分校、バルファイ王国の貝塚学園高等魔学校、そしてそこにある貝塚財閥支社は全て私が乗っ取った。降参するなら今の内だ、すぐさまここに来て土下座しろ!!ここにいる人質がどうなっても良いのか?」 結愛は映像を見て驚いた、先程まで自分達と一緒にネフェテルサ王国警察にいたアーク・エルフのマイヤとネフェテルサ王国王宮横の教会兼孤児院にいるはずの神教のアーク・ビショップであるメイスが映っている。2人とも相当な魔力の持ち主のはずなのにあっさりと人質にされてしまい、強力な魔力で拘束されている。義弘(映像)「この2人を解放して欲しければ今年の首席入学者が「梶岡浩章」ではなく「リラン・クァーデン」である事を認め、私に財閥の全権を戻した上で私の目の前で死んで消え失せろ!!さもなくばリンガルスの手で手に入れたこの強大な魔力で全ての建物を破壊し、全面戦争を仕掛けてやる!!」林田「何て奴だ・・・、実の娘にあんな言い方しやがって・・・。」結愛「いえ・・・、アイツだったら十分あり得ます。」 そこにいた数名は義弘の発言にあった別の言葉に引っかかっていた、言葉だけではなく行動にも。林田「強大な魔力であの2人を締め上げ脅迫して、この時点で奴は有罪ですよ。」デカルト「それ所ではありません、全面戦争まで起こそうとしています。これは「3国平和協定」に違反します。」 結愛は両手で拳を握り、震わせていた。 すると、映像の中の2人が結愛に声を掛けた。メイス(映像)「理事長、こんな男の言
last updateLast Updated : 2025-03-23
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3. 「異世界ほのぼの日記」83

-83 身に覚えのある件- バルファイ王国魔学校にて女性の声を聴いた瞬間義弘の体が硬直していた、同時に何故か林田警部がブルブルと震えている。結愛は身に覚えのある場面だなと思っていたが今は考えない事にした、ただ義弘が狼狽えている事は間違いがない。ただどうして林田も震えているのだろうか。 しかし義弘と林田警部を同時に震わせる程の言葉を言える者がこの世界にいるのだろうかと振り向くとそこには林田警部の妻、ネスタ林田がいた。ネスタ「希さん、実は『連絡』が使えるのは転生者のあんただけじゃないのさ。ただのドワーフの私にだって余裕で出来るんだよ、私を舐めないで頂戴。」林田「そうか・・・、でもあっちの世界にお前の知り合いがいるのかい?」ネスタ「何を言ってるさね、あっちの世界の事を全く知らないフリをしてたけど実は知り合いが沢山いるのさ。それに私ゃこの世界におけるこの会社の筆頭株主だよ、嫌な予感がしてあっちの世界の株主である宝田さんに聞いたらこんな事になっている訳さね。さて、本題に戻ろうか。義弘、あんたの勝手な行動を決して許す訳には行かないよ。3国における平和協定まで破ってこの会社を奪い返してどうするつもりだったんだい?」義弘「愚かな馬鹿娘が下らん教育機関などに使い込んだ私の金を取り戻そうかと。」ネスタ「何が下らないって?あんたの言う「愚かな馬鹿娘」が教育機関を支持することによって貝塚財閥はお金以上に大切な物を得たんだよ、あんたによってこの会社が失った「信頼」だ。私が何も知らないとでも思ったかい?この世界でのクァーデンとの贈収賄の事も、そしてあっちの世界の貝塚学園での独裁政治っぷりもね。今あんたがしている行動も含めたらもうあんたは重罪人さ、どっちがお馬鹿さんなんだか誰だって分かるよ!!私の旦那の仲間は私の仲間だ。だから私は筆頭株主として結愛社長に味方する、決してあんたを認めないからね!!」義弘「言ってくれるじゃねぇか・・・、でもこうしてしまえば済む話だ!!」 義弘が結愛に向けて大きな火の玉を飛ばしたが、別のより強力な魔力によって弾かれた。義弘「何が起こった!!私は大賢者だぞ!!」リンガルス「義弘、黙って様子を見ておけば・・・、いい加減にしろ!!俺はお前に罪を犯させる為に魔術や催眠術を教えたつもりはないぞ!!」義弘「り、リンガルス・・・、貴様・・・、上司たる私を裏
last updateLast Updated : 2025-03-23
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3. 「異世界ほのぼの日記」84

-84 大イベントと大事件の後- 確定放送が終わった瞬間光は飛び上がり持っていたビールの殆どをこぼしてしまったが全くもって気にしていなかった、確定オッズを確認していなかったが今までに無い位の快感を得ている様だ。こぼしたビールで衣服がぐっしょぐしょになってしまったがそんなの全く関係ない、早く払い戻しに行きたい気持ちで一杯で仕方なかった。 そんな中、会場で払戻金額等についての放送がされる。ただ魔力オーロラビジョンがずっと真っ暗なままだ。カバーサ「えー・・・、映像が出てきて・・・、ませんね。なので私の方から改めて着順確定と払い戻し金額を・・・、あ。出せますか?では皆さん、ご一緒に見て行きましょう。 改めまして今年のレースですが、1着⑨番、2着⑮番、そして3着⑥番となりました。2連単⑨-⑮の組み合わせ58790円、また3連単⑨-⑮-⑥の組み合わせ892万4360円となっております。尚、毎年の事ですがレース開始までにこちらの車券をご購入された方は払い戻し金額が倍となりますのでよろしくお願い致します。 えー、解説兼主催の・・・、今年はバルファイ国王様ですかね?今年のレースはいかがでしたでしょうか?」パルライ「・・・。」 画面に映ったパルライは事件解決の疲れからかおしゃべりなカバーサの横で静かに眠っている。カバーサ「あのー、起きてますか?」パルライ「・・・。」カバーサ「スタッフさんすみませーん、強めのスタンガ・・・。」パルライ「起きてます、起きてますから!!」慌てて起きたパルライ、電撃が苦手なのか、それともカバーサが苦手なのか慌てて起きている。カバーサ「では気を取り直しまして、今年のレースいかがでしたでしょうか。」パルライ「そうですね、色んな方々の人情味が出ていた一面に溢れたものだったと思いますね。やはりドライバーさん達の生の御言葉を聞けたのが大きかったかと、ただスタート時のトラップはダンラルタ王国のデカルト国王のアイデアで行った事なのですが検討しなおさなければならない様ですね。しかし、1人でずっと1着を守り逃げ切った⑨番車のドライバーさんには賞賛の拍手をさせて頂きましょう。」 すると会場中から賞賛の拍手の嵐が起こった、そこでカバーサが気を利かせ⑨番車の監督に連絡を入れある提案をした。カバーサ「⑨番車の監督さん、聞こえますか?宜しければドライバー
last updateLast Updated : 2025-03-23
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3. 「異世界ほのぼの日記」85

-85 大金の使い道-光は林田警部と今夜の打ち合わせを進めて行った。林田(電話)「どうしましょう、私が何処かお店を予約しておきましょうか。」光「いや、食材や料理を持ち寄りどこかで集まりませんか?一先ずメイン食材は私にお任せ下さい。」林田(電話)「分かりました、では私の家の裏庭に集まりますか。」光「あの・・・、今から食材を注文しますので「あの2人」に連絡をお願い出来ますか?」林田(電話)「ああ・・・、「あの2人」ですね。お任せ下さい。」 光には幼少の頃から夢があった、それには大金が必要だった。レースの払い戻しにより自他共に認める大金持ちになったのでその夢を叶えてやろうとした、元々この異世界に来た時に神様に大金を渡されていたが隠していたがこれで堂々とこの大きな買い物が出来る。 ただ自分の愛車は今回使用するのに2台とも厳しかった上にレース中にビールをがぶ飲みしていたのでガイにお願いして軽トラを出して貰うにした。勿論お礼としてこの後の呑み会に招待している。(※飲酒運転、ダメ、絶対!!)一応、この為に『作成』した『強化』でこっそり車をカスタマイズしてはあるのだが・・・。光「乗るかな・・・。」ガイ「そんなに大きい買い物をするのかい?」光「そうですね・・・、値段的にも大きさ的にも・・・。」 少し不安になりながらとある場所へと向かった。 街から出て20分程、目的地へと着くとガイの顔が蒼ざめた。ガイ「光ちゃん、冗談だろ・・・?あれ・・・、買うのか?」光「買いますよ、子供の頃からの夢ですから。ああ・・・、興奮してきました。」ガイ「それにしても乗る・・・、かな・・・。」光「大丈夫ですって、私にお任せ下さい。」 店に入ると店主が笑顔で2人を出迎える、店の名前が刺繍された茶色いエプロンには所々シミが付いている。何故かプニに似て少しチャラい。店主「いらっしゃいませ、何に致しやしょう。」光「あの、予約していた吉村ですけど。」店主「これは失礼、吉村様ですね。お待ちしておりました。」 店主は光の名を聞くと何故か襟を正し2人にキャップを渡した。店主「こちらを被ったら奥へどうぞ。ただ吉村さん・・・、本気ですか?」光「勿論、夢が叶う瞬間です。駄目ですか?」店主「いえいえ、私はとても嬉しいのですが何せ初めてなものでして。」光「私もです、ドキドキして来ま
last updateLast Updated : 2025-03-23
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3. 「異世界ほのぼの日記」86

-86 超新鮮で大胆なBBQ- ガイの軽トラで1頭買いした黒毛和牛を林田家の裏庭へと運ぶと、今か今かと待つ人々が歓声を上げていた。その中には光が招待した結愛社長もいる、現場には大きなまな板と綺麗な包丁などが並べられ解体の準備がされていた。 丁度その頃、焼き肉屋の御厨板長と板前をしているウェアタイガーのヤンチが到着した。御厨「今夜はご招待頂きありがとうございます、ただ私達も召し上がって宜しいのでしょうか。」光「勿論です、お2人も楽しんで行って下さいね。」ヤンチ「さてと・・・、早速解体していきますか。」女性達「私達も是非手伝わせて貰おうかね。」 声の方向に振り向くとエプロン姿をしたネスタ林田、そしてまさかの貝塚結愛がいた。ヤンチ「お2人さん・・・、本気ですか?」ネスタ「あら、私はドワーフだよ。舐めて貰っては困るね。」 昔からドワーフの一族は身のために色々な技術を何でも習得するという伝統があった、牛肉の解体技術もその1つだ。ヤンチ「でも何で社長さんまで?」結愛「実は私も見分を広げる為にドワーフの方々から勉強させて頂いているんです、牛肉の解体もその1つです。」ネスタ「では早速やりますかね。」 鮮やかな手つきで3人が解体を進めていく。骨と骨の間に包丁を入れていき、スルッと肉が剥がされていった。結愛「さてと・・・、最初から贅沢に行きましょうか。鞍下、肩ロースです。丸々1本だからとても大きいでしょう。」光「涎が出てきちゃってるよ、早く食べたいな。」御厨「さぁ、焼肉にしていきましょうか。」 結愛から受け取った大きな塊を御厨が丁寧に肉磨きと整形をして焼肉の形へと切っていく。20kgもの塊が沢山の焼肉へと変身した。御厨「では、焼いていきましょう。ヤンチ、すまんが整形を頼む。」ヤンチ「あいよ、プロが2人もいるから解体は大丈夫そうですもん。」 御厨が炭火の網の上に肉を乗せ焼いていった、そこら中にいい香りが広がる。光「この匂いだけでビールが行けちゃいそう。」御厨「さぁ、焼けましたよ。塩と山葵でお召し上がり下さい。購入されたご本人からどうぞ。」光「塩と山葵がお肉の甘みを引き立てて美味しい!!」 光がビールを一気に煽る、何とも幸せそうだ。作業中の結愛やネスタ、そして焼き肉屋の2人にも振舞う。結愛「たまりませんね、ビールが美味しい。」光「今日
last updateLast Updated : 2025-03-25
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3. 「異世界ほのぼの日記」87

-87 宴は続き- ネスタと結愛による黒毛和牛の解体は続いた、2人も調子が出て来たのかありとあらゆる部位がお目見えしていく。結愛「先程の肩ロースに続きましてリブロースのお出ましですよ、美味しく食べて下さいね。」 結愛が出てきたばかりのリブロースを受け取ったヤンチが目にも止まらぬ早業で焼き肉用のお肉に仕上げる。ヤンチ「実は今日の為に家で育てた果実を使ったタレを持参して来ました、タレ漬け焼肉にしますので板長お願いします。」 御厨板長はヤンチに今日は仕事を忘れさせる様に伝えるべくあるルールを作っていた。御厨「ヤンチ・・・、今日の俺達は休みだ。という事は分かってるよな?」ヤンチ「わ、分かったよ親父。」 ヤンチは御厨の事を仕事の時以外は昔の様に『親父』と呼んでいた。両親の顔を知らない孤独なウェアタイガーだったヤンチは、美味い食事を与えた御厨を本物の父親の様に慕い、自分も美味い料理を作りたいと御厨の下で言葉と料理を勉強し続けている。今となっては立派な板前、いや花板と言っても過言ではない位の実力を持っているが決して驕らず一途に料理を探求し続けていた。 そのヤンチが自ら持参したタレで肉に味付けをする、それには師匠であり育ての父の御厨も興味津々だ。御厨「ヤンチ・・・、俺も食って良いか?」ヤンチ「良いけど・・・、不安だな。」御厨「自分の料理に自信を持て、お前は仕事の時も自分が納得していない味の料理をお客様に出しているのか?」ヤンチ「それは・・・、ないけど・・・。」御厨「本当か?迷いがある言葉だな。」ヤンチ「自分ではまだ発展途上だと思っているからかな、でもこのタレは素材から全部作って味見をしながら作った。」御厨「汗と涙の結晶か。それじゃ何故不安になるんだ、是非俺にも味わわせてくれ。」ヤンチ「いや・・・、あの・・・。」 御厨がタレ漬けにしたリブロースを自ら焼き1口食べる。御厨「ぐっ・・・、かっ・・・。」ヤンチ「だから不安だったんだよ、親父唐辛子苦手だろ。」御厨「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 辛い物が大好きなヤンチはビールや白飯に合う様に自宅で育てた果実と一緒にハバネロやブート・ジョロキア、そしてトリニダード・スコーピオンと言った様々な唐辛子を加えていた。 御厨は白米とビールの両方を一気に煽り、何
last updateLast Updated : 2025-03-25
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3. 「異世界ほのぼの日記」88

-88 宴の中で- 顔を少し赤らめ酒の力を借り深呼吸した利通は父親である林田警部にも見せた事の無い程の真剣な表情をしていた。 全員察したのか歓談をやめ利通の行動に注目して温かな表情で見守る、利通が進む先に佇むドーラが微笑んでその時を待っていた。 ドーラの前にしゃがみ込み、いつの間にか用意していた指輪を懐から出すともう一度深呼吸をしてキリっとした表情で切り出した。利通「ドーラ・・・、いや、ノーム・クランデルさん。ご存知の通り自分は普段からとても不器用なので非常に短いですが率直に言わせて下さい。貴女が部下として私の下に来て下さった時から決心していました、一生懸けて幸せにします。貴女の隣で朝を迎えたい、僕と結婚して下さい。」 全員の視線がドーラに集中する。ドーラ「一緒に働いたり遊んだりしている内に自分の人生で堂々と「一番楽しい」と思えるのが貴方といる時でした。貴方が思うような女になれるかどうかは分かりません、でも2人で幸せな時間や瞬間を増やしていきたいです。私みたいなエルフで宜しければ、喜んで御受け致します。」 利通がドーラの左手の薬指に指輪をはめると、そこら中から拍手喝采が起こり皆が涙を流しながら歓喜の声を上げた。 すると、赤ワインでほろ酔いになっているメイスが観衆の中から出てきた。メイス「林田利通さん、貴方はこちらの女性を妻として迎え、病める時も健やかなる時も愛し続ける事を誓いますか?」 皆がまさかと思っていたのだが、結婚の儀を始めたのだ。利通「誓います。」メイス「ノーム・マーガレット・クランデルさん、貴女はこちらの男性を夫として迎え、病める時も健やかなる時も愛し続ける事を誓いますか?」ドーラ「誓います。」メイス「Then, you kiss to the bride.」 2人は静かに近づきお互いへの優しさと愛情あふれる表情と共に口づけをした。メイス「アーク・ビショップの名の下に宣言します。今よりこの2人を夫婦とします!」 全員が魔力で紙吹雪やライスシャワーを行い、拍手で新たな夫婦の誕生を喜んだ。 そんな中で新郎本人は一人裏庭の出入口へと走り、出た途端に叫んだ。利通「よっしゃー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 林田は人生の大きな節目を迎えた息子の片腕を掴み高らかに上げさせた、堂々とした表情の利
last updateLast Updated : 2025-03-25
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