林侯爵が御上様のこの御言葉の真意を理解できぬはずがない。すぐさま進み出て、平伏し、「恐れながら申し上げます。倅は生まれつき短慮で向こう見ず、仏門の聖地にて狼藉を働き、明王殿下にお咎めを受けるは当然の報いでございます。何卒、ご明察くださいませ!」その言葉には明王を責めるつもりはない、という含みがある。実際、最初から明王を責めるつもりなど、毛頭なかった。林侯爵は林家の現状について誰よりも知っておるからだ。ただ、御上様はこの一件をお聞きになり、わざわざ夫婦二人を宮中にお呼び出しになり、二人の前で明王への罰をお決めになり、二人に口を挟む隙をお与えにならなかった。今、林侯爵のこのお言葉を聞き、御上様はご満足の様子。鼻先で軽くふんとされたのは、幾分かの侮蔑の表れであろう。御上様は章衡の方を向き、「章将軍、卿はその場におった。如何思う?」章衡はお辞儀をし、深く、暗い瞳で喬念を一瞥し、口を開かれた。「恐れながら申し上げます。この一件、喬お嬢様の不埒な言動が原因ではございますが、林華殿の思慮の浅さも事実、明王殿下の罰が過剰であったことも事実。しかし、明王殿下はすでに罰を受けられ、林華殿も重傷を負い床に伏せっておいでです。ここはこの一件、これにて収められてはいかがでしょうか!」これを聞き、御上様はわずかに頷かれ、「余もそう思うておる。林卿、いかがか?」「御上様の英明なるご判断、恐悦至極にございます!」林侯爵は万歳を叫び、御上様は手を振って、「明王を連れて参れ!」「はっ!」殿の外から返事があった。しかし、今の明王は歩けるはずもなく、数人に担がれて入ってこられた。彼らは明王を喬念の傍に置き、喬念は背中が血まみれの明王をご覧になり、これが苦肉の策であると知りながらも、動揺を隠せない。「殿下......」喬念の声を聞き、明王は顔を向けられ、先ほどまで苦痛に歪んでいたお顔に、たちまち優しい笑みを浮かべられた。「案ずるな、少しも痛くない」この様子は誰の目にも、不憫な恋人同士と映るだろう。御上様でさえ、目を細めておられた。しかし、大殿の両側に立つ二人の婦人が、互いに視線を交わし、無言のうちに何かを了解し合ったことにはお気づきになられなかった。喬念と明王は徳貴妃の寝殿に運ばれ、侍医が喬念の傷に薬を塗り直した。喬念は包帯を巻
Read more