乃亜は驚いた表情を浮かべていた。 凌央は一体何をしようとしているのだろう?運転手は素早く車を路肩に停め、ドアを開けて車外に出た。 凌央様、外で遊ぶつもりなのか。こんなにリラックスしている彼を見たのは初めてだ。ドアが閉まると、凌央は乃亜を優しく抱き寄せ、軽く笑いながら言った。 「運転手が降りたから、もう始めてもいいかな?」 乃亜は数秒間反応できなかったが、すぐに気づいた。 「もうお腹がいっぱいだから、動けないわ!吐いて車を汚したら大変だから!」 彼女は拒否したかったので、思いついた言葉を口にした。凌央は目を細めて乃亜をじっと見つめた。 「乃亜、拓海のために身を守ろうとしているのか?俺たちまだ離婚していないだろ?お前、おばあさんの薬が欲しいんじゃないのか?友達の事務所はどうするんだ?ああ、あと、拓海の新しい法律事務所もどうなるかわからないぞ?」 凌央の声は冷たい威圧感を持っており、乃亜の背筋が凍りついた。 「乃亜、俺は離婚しない。お前が他の男と浮気するのも許さない。もしそうなったら、言った通りのことが現実になるぞ」 凌央は乃亜の顔を優しく持ち上げ、低い声でキスをしようとした。乃亜は怒りで震え、手を振り上げて彼の顔を打った。 「凌央、あなたひどすぎる!」 3年間、彼のために尽くしてきたのに、どうしてこんな仕打ちを受けなければならないのだろう。凌央は冷たい眼差しで乃亜を見つめ、言った。 「どうした?離婚を拒否するなら、家庭内暴力でもするのか?蓮見夫人、お前は弁護士だろう。気をつけろ」 「凌央、私たちの問題で他の人を巻き込まないで!彼らに何の罪もないでしょう?」 乃亜は涙ぐみ、肩を震わせながら、可愛らしく訴えるような表情を見せた。もし美咲がここにいたら、凌央はきっとこんなことをしなかっただろう。 それが愛されている者とと愛されない者の違いだった。「彼らには罪はない、罪があるのはお前だ!」凌央は冷笑した。 「お前は3年間、蓮見家の嫁だったが、久遠家は俺から数億を取った。今、お前が離婚したら、俺はその数億を失うことになる。商人としてそんな損をする取引はしない」 乃亜は服の裾をつかみ、胸の痛みに耐えていた。凌央が離婚しない理由は、久遠家が数
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