運転手が言った通りに、翔太の車は最終的にホテルの前で停まった。東海岸も中心部にあるのに、家に帰らずわざわざホテルに泊まる理由なんてただ一つだった。酔った翔太を、秘書が勝手に連れてきたのだろう。美羽はタクシーを降り、運賃を支払った。適度な距離を保ちながら、秘書が翔太を支えながら車から降りてホテルへ入っていった様子をじっと見つめた。あの秘書が昇と進を狙っているのか、あるいは別の目的があるのか、美羽にはわからなかったが、彼女はそのまま秘書に従うことにした。彼女は宿泊客を装い、翔太たちに続いて部屋の前までやってきた。車に揺られた後、翔太はアルコールのせいで完全に酔いつぶれており、足元もふらついていた。彼はほぼ完全に秘書に寄りかかっており、身長185センチの大柄な体が秘書にとっては負担そのものだった。彼女は部屋のドアを閉めるのもままならず、軽くドアを押しただけで済ませた。その瞬間、美羽はそっと足を伸ばしてドアが完全に閉まるのを防いだが、秘書は気づかなかった。音も立てずに美羽は部屋に入り、玄関の後ろに身を隠した。秘書は翔太をベッドに横たえ、小さな声で甘えたように言った。「夜月社長、本当に重いですね。押しつぶされそうでしたよ」翔太はひどく酔っていて、照明が目に刺さるように感じたのか、腕で目を覆って何も言わなかった。彼は口元がまっすぐ引き結ばれており、とても不快そうだった。秘書は続けて言った。「体調が悪いんですか?スーツがきつすぎるんじゃないですか?脱いだほうがいいですよ」秘書は翔太のスーツを脱がせると言いつつ、まず自分のジャケットを脱ぎ、シャツのボタンを外して黒い下着をあらわにした。それから片膝をベッドに乗せ、翔太のネクタイを解き始めた。そのとき、美羽が突然口を開いた。「もし彼のベッドに忍び込んで、明日の朝『酔った勢いで無理やりされた』って訴えるつもりなら、あんた相当のバカだよ」秘書は驚きのあまり飛び上がり、振り向いて叫んだ。「な、なんで……?」美羽は冷静に言った。「翔太みたいな人間に手を出せば、あんたが得るものより失うもののほうがずっと多いわよ。信じられないなら試してみれば?」秘書は目を泳がせながら、怯えたように尋ねた。「……あなた、誰?」「真田美羽」秘書は彼女の名前を聞いた途端、驚きを
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