時間を1時間半ほど遡った。美羽は宴会場で一人座っていたが、次第に頭が重くなり、額に手を当てると熱が引いていないことに気づいた。無理をせず、テーブルに手をついて立ち上がり、部屋に戻って休むことにした。エレベーターで直接4階の自分の部屋に行けるはずだったが、エレベーター前で数人の男たちが何か揉めており、入口を塞いでいた。酔っているのか、それとも他に理由があるのかはわからなかった。眉をひそめた美羽は、仕方なく階段を使って上がることにした。どうせ3階から1階だけだからと。しかし、彼女は勘違いをしていた。晩餐会は2階で開催されていたのに、彼女は3階だと思い込んでいた。そのため、1階上がれば自分の部屋に着くと思い込んでいたが、実際には3階だった。このわずかな誤差が、彼女を間違った部屋へと導くことになった。頭がぼんやりしていたが、階段を上がり、デッキで海風を少し浴びた後、ますますふらつくようになった。揺れながら、部屋の前にたどり着き、バッグからカードキーを取り出してドアのセンサーにかざした。しかし、機械がけたたましいエラー音を鳴らし、画面には「カードエラー」と表示された。半分閉じかけた目で、美羽はドアがもともと少し開いていたことに気づかず、カードキーで開けたのだと思い込み、中に入りドアを閉めた。目をつぶったまま、手探りでソファまで進み、そのまま横になった。部屋のレイアウトが記憶と少し違う気がしたが、その違和感は彼女の熱にぼんやりと掻き消され、すぐに深い眠りに落ちてしまった。一方で、慶太は、悪意ある男たちから美羽を守りたいという気持ちがあり、部屋のリビングに出てきたところ、自分のソファに横たわる一人の女性に気づいた。最初は驚いたが、近づいてみると、それが美羽であることに気づいた。彼女の頬は赤らみ、不快そうな表情を浮かべていた。慶太は近づき、顔を少し近づけた。酒の匂いはしなかった。彼女が酔っているわけではなさそうだった。次に、彼は彼女の額に手を当てた。「熱い……」美羽はどうやら熱が出ていた。朦朧として、階の間違いに気づかなかったのだろう。「真田さん? 真田さん?」と静かに呼びかけたが、美羽は反応を見せなかった。慶太は軽く微笑み、バスルームに行って清潔なタオルを濡らし、戻って彼女の額に置いた。さ
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