週末、実は店は暇だった。一日を通して特に商売になるような状況ではないので、別に店を開ける必要はなかったのだ。内海唯花が店に来たのは、静かにネットショップで売る商品を作ることができるからだ。そこへ牧野明凛もやってきた。内海唯花が店にいるのを見て、牧野明凛はとても驚いて言った。「唯花、今日は日曜日だよ。どうして来たの?いつもなら甥っ子を連れて公園に遊びに行ってるじゃない」「ネットショップに新しい商品を出さないといけないから」内海唯花は売る小物をハンドメイドしながら、頭を上げて親友に笑って言った。「あなたこそどうしたの?」「聞かないで。お母さんにぶつくさ言われて耐えられなかったから店まで来たんだから」「おばさん、どうしてまた?」「あの日の夜のパーティで私が高値の錦鯉のオスを釣れなかったこと責めてるんでしょ、どうせ。お母さんったら上流階級の御曹司が簡単に糸に引っかかるもんだと思ってるのよ。自分の娘がそれに見合うのかも考えないでさ。私を絶世の美女だとでも思っているのかしらね」内海唯花はぷっと吹き出しだ。世の中の親というものはだいたいこういうものだろう。娘が結婚適齢期になったら、娘の結婚という人生の一大イベントにやきもきし始めるのだ。二十五歳と聞くと親の世代は、女は二十五過ぎたらもう歳で、売れ残りというクリスマスケーキ理論を展開する。しかし今の時代、この年齢はまだまだ若いうちに分類されるのだ。「お母さんったら、おばさんが彼氏紹介してあげるっていうんで、今晩カフェにお見合いに行ってこいですって。夜にカフェでお見合いなんてさ、ほんとコーヒー一杯で朝までお見合いできそうよねぇ」「唯花、今晩ついて来てくれない?」内海唯花は首をでんでん太鼓のように横に振った。 「唯花ちゃーん、首を横じゃなくて縦に振ってよ。私たち親友でしょ、お・と・も・だ・ち!唯花が一番義理堅いんだから、友達のためなら命も惜しまないでしょ?」「私義理人情に厚い人間じゃないから。あなたのために命を差し出す人なら、他をあたってちょうだいな」牧野明凛はご機嫌取りにこう言った。「男の人とちょっと話したら、美味しいもの食べに連れてくからさぁ」「私お金には困ってないので。食べたかったら自分で行きますから、奢ってもらう必要なんてございません」内海唯花は親友と一
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