妹の夫が聞いてくれたということは、おそらく東さんに取りなしてくれたおかげで彼女から全額もらうのではなく、少ない金額になったのだろう。 もちろん、十八万でも今の彼女にとってはかなりの出費だった。この出費を教訓にして今後外では気をつけることにしよう。高級車には、傷をつけてはいけない! 「旦那さんはもうすぐ帰ってくるんでしょ?」 「うん、明日帰ってくるよ」 「それならよかった。明後日私と旦那は早めに行くわね。あなたが自分でご飯を作るんでしょ?手伝うわよ」 妹と長年ずっと助け合って生きてきた佐々木唯月は、仕事もできるし、社交上手、料理や育児、家事全般も難なくこなせる人だった。ただ今は子供がいて時間がとれないし、給料もないので家で大人しく旦那の言うことを聞いて、専業主婦をやるしかなかった。 姉妹は電話でしばらく日常のことについておしゃべりしてから電話を切った。 「結城さん、毎日夜は残業ですか?」 「何か用があるのか?」 「もうすぐ週末になるので、おばあちゃんやあなたの両親も食事しに来ますよね。うちは物が少なくて寂しすぎます。この二日時間を作って家具を見に行きたくて、必要なものは買ってきたいんです」 結城理仁は黙った。 彼の仕事は本当に忙しく、毎日のスケジュールもパンパンだった。彼女に付き合って家具を買いに行く時間は本当に時間的に難しいかったのだ。 彼が何も言わないのを見て、彼の立場に立って考えてからこう言った。「時間がなければ、私自分で買いに行ってきますね」結城理仁は頷いて「この家の女主人は君だ。家の事は君が主体になって決めてくれていい。大きな問題は俺に言ってくれればいいから」と言った。実際に彼には家の細かいことに気を配るような時間はないのだ。 「わかりました。明凛に今日は店に行かないで買い物に行くと伝えます」 彼らの家は、ここからスタートだ。 結城理仁は何も言わなかった。 彼を身を翻し部屋へと戻っていった。 そしてすぐに部屋から出てきて内海唯花にひとこと言った。「仕事へ行ってくる」 「車の運転気をつけてくださいね」 内海唯花は心のままに念を押して言った。 結城理仁はあのまだ食べていない肉まんと豆乳を持って出ていった。 彼は内海唯花にお金持ちではないことを装うために買った車を運転してトキワ
Read more