里香はその言葉に少し困ったような顔をして、しばらく黙り込んでしまった。祐介が軽く口角を上げて笑みを浮かべながら立ち上がり、こう言った。「俺、もう行くよ。早めに休んで。何かあったら、いつでも電話して」彼が立ち上がるのに合わせるように、里香も立ち上がり、その背中を見送った。扉が閉まった瞬間、里香は思わず深いため息をついた。どうして物事がこんな方向に進んじゃったんだろう?里香はソファに腰を下ろし、手元のジュースを少しずつ飲みながら祐介に出会ってからの出来事を思い返した。思い出すたびに、頭が少し痛くなる。彼に借りを作りすぎた気がする。でも、それをどう返せばいいのか全然わからない。もう一度ため息をついた里香は、ふっと立ち上がり書斎に向かった。雰囲気の良い洋食レストランで、かおるはスマホを手に写真を撮っていた。化粧もばっちりで、小さな顔が明るく映えて美しい。カメラに向けた瞳はキラキラと輝いている。向かいの席では、月宮が椅子にもたれるようにリラックスした姿勢で座っていた。首にかけたダイヤのネックレスが照明の下でちらちらと煌めいている。かおるが自撮りを終えると、写真をざっとチェックしながら尋ねた。「それで、私に何の用?」月宮はじっと彼女を見つめながら問いかけた。「前に話したことだけど、考えはまとまった?」かおるはその言葉に一瞬彼を見てから、あっさりこう言った。「何のことだっけ?」「とぼけるつもりか?」月宮が一笑して、さらに鋭い口調で言った。「かおる、お前、本当は逃げられないってわかってるから、そうやってとぼけてるんだろ?でも、それじゃ何も解決しないって、自分でもわかってるはずだ」かおるは今日撮った写真がかなり良く撮れていると思い、それを保存すると、スマホをテーブルに置いた。口元にほんのり笑みを浮かべながらも、瞳にはどこか小悪魔的な輝きが漂っていた。「前にも言ったけど、私は誰かの浮気相手になるつもりはないから」月宮は淡々と言い返した。「その問題ならもう片付いた。俺は婚約しないから」「ほぅ?」かおるは興味深そうに彼を見た。「まさか、私のために縁談に反抗したとか?でもね、そんなの絶対やめてよ。財閥に指名手配されたり、追われたりするなんて、冗談じゃない。そんなの怖すぎるから」月宮は冷静な口調で返した。「お前の考えすぎだ
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