夕食を終えた後。紀美子は書斎に行き、翔太に電話をかけた。着信音が鳴ったと同時に、翔太が電話を取った。「兄さん?」紀美子が呼びかけた。「今どこ?」「少し疲れたから、午後にちょっと昼寝して、今起きたところだ。どうした?」翔太は少し咳払いをしてから言った。「兄さん、正直に教えて。いったいどうしたの?」紀美子は尋ねた。「考えすぎだよ。兄さんに何かあるわけないだろう?」翔太はわざと軽く笑いながら言った。「私が見抜けないとでも思ってるの?」紀美子は言った。「……舞桜が何か言ったのか?」「何かあったら一緒に話せばいいじゃない。どうして一人で抱え込むの?それに、このことは私も気にしてないから、自分を責めることないよ」紀美子は言った。「自分が無力なだけならまだしも、君まで巻き込んでしまうなんて」「もしあなたがそんな状態なら、私は本当にがっかりよ。これは大したことじゃないし、そもそも晋太郎に私がお願いする必要はなかったわ」紀美子は言った。「彼に会ったのか?」翔太は驚いた。「そう」紀美子はうなずいて答えた。「彼の答えは意外だったわ……」紀美子は晋太郎が言ったことを大まかに伝えた。「彼が承諾するのは想像できたけど、こんなにすんなりいくとは思わなかったな」翔太は言った。「だから、この件に関してはあまり気にしないで。それより、会社には戻ったの?」「準備中だ」翔太は言った。「そう」紀美子は微笑んで言った。「これ以上考えすぎないでね」「わかった」一週間後、月曜日。朔也は紀美子を空港まで送っていった。待合室で、朔也は携帯で紀美子にリストを送った。「どうしてこんなにたくさんの薬の名前を送ってくるの?帝都でも買えるじゃない?」紀美子は呆れて彼に尋ねた。「薬を頼んでるわけじゃなくて、飛行機を降りたら自分で買いなさいって言ってるんだ。環境に慣れないかもしれないから」朔也は言った。「……でも、こんなにたくさん必要ないでしょ」「いやいや、薬名の後に効用もちゃんと書いてあるでしょ?これは昨晩、悟に頼んでリストアップしてもらったんだよ」朔也は言った。「わかった、もういいわ。じゃあ帰りなさい。私はそろそろ行かないと」紀美子は仕方なく言っ
最終更新日 : 2024-12-10 続きを読む