兄が次郎に言及したので、彼女はもうどう話すべきか悩む必要はなかった。紀美子はパソコンを閉じた。「兄さん、私は次郎に接近したいと思ってるの……」紀美子が自分の目的を伝えると、翔太は眉をひそめた。「紀美子、潔白を証明するのはもちろん悪くないけど、相手はあの次郎だ。白芷の状況を見ていないわけではないだろう?」「危険であるほど、証拠を見つけるチャンスがあるのよ」紀美子は自信を持って言った。「次郎が晋太郎に復讐したがっているのを利用すれば、彼は私に関心を持つはず」「覚悟はできているのか?一歩踏み出したら、戻ってこれないかもしれないぞ」翔太は尋ねた。「危険を冒さなければ、大きな成果は得られないでしょ?」紀美子は苦笑した。「約束してくれ。次郎に対峙するときはちゃんと気をつけるように、特に食べ物には」翔太はため息をついて言った。「安心して、ちゃんと気をつけるよ」紀美子は頷いた。……翌日。紀美子は幼稚園に転校手続きをしに行った。朝から忙しく動き回り、ようやく手続きが終わった。高橋校長が手続きを手伝ったおかげで、スムーズに進み、明日から正式に入学できることになった。紀美子はいくつかの贈り物を購入し、校長のオフィスに届けた。校長は、紀美子がたくさんの品物を持ってきたことに驚き、慌てて迎えに出た。「入江さん、これはどうしたんですか?」校長が尋ねた。紀美子はテーブルに贈り物を置き、「校長、これはほんの気持ちです。子供たちを入学させていただいて感謝しています」と答えた。校長は慌てて手を振った。「お子さんたちはとても優秀です。うちの学校に入っていただけるのは光栄ですよ」「実は、この件以外にもお願いがありまして」紀美子は微笑んで言った。「もしかして、3人の子供を同じクラスに入れたいのですか?」校長は少し驚いて尋ねた。紀美子は頷いた。「うちの家庭はちょっと複雑でして、校長にお願いできればと思います」校長は贈り物を紀美子の前に戻した。「入江さん、言わなくてもそのつもりでしたよ。全員を同じクラスに入れるように手配しますから、贈り物は本当に結構です。前に父を助けていただいたこと、まだお礼もできていませんしね」「お父様を助けたのはほんの些細なことですので、お気になさらないでください」紀美子は答えた。「子供たちを
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