香織の心臓が高鳴った。今回の恭平は明らかにこれまでとの様子が違うと感じていた。「恭平、女を捕まえるなんて、男がすることじゃないわ。あなたと圭介の戦いなら、それぞれの手段で決着をつけるべきでしょ?」彼女は少し口調を和らげた。「俺たちはまさに、互いの手段を尽くしているんだよ。あいつが俺の会社を狙うなら、俺はあいつの女を狙う。それで公平だろ?」恭平は唇を舐めながら言った。「俺はお前を苦しませる。そして圭介も同じように苦しませてやる!」香織は部屋を見渡し、右側に小さな窓があるのに気づいた。その窓は彼女の体が通れるくらいの幅がありそうだ。そこが唯一の脱出のチャンスかもしれない。彼女は恭平と駆け引きを試みながら、少しずつ窓に近づいていった。「恭平、落ち着いて。話し合いで解決できることだってあるはずよ」「俺をバカだと思ってるのか?話し合いだと?俺たちはもう完全に敵だ!」恭平は彼女の意図を見抜き、勝ち誇ったように言った。「また逃げようとしてるのか?」香織は悟られたと察し、考える余裕もなく窓へ全力で駆け寄った。そして両手で窓枠を押したが、ビクともしなかった。窓はしっかりと封じられていた。全力を尽くしても、隙間ひとつ開かなかった。「その窓はとっくに溶接してあるんだ。無駄な抵抗はやめろ」恭平は扉の外に向かって手を振った。「こいつを押さえつけろ」「やめて、恭平、お願い、こんなことしないで!」香織は慌てて叫んだ。しかし恭平は一切容赦しなかった。彼にはもう退路がなかったのだ。圭介との戦いは、生き残るか死ぬかの勝負。勝者がすべてを手にする。2人の屈強な男たちが入ってきて、香織をベッドに押さえつけた。白衣を着た医者はベッドのそばに歩み寄り、持っていた箱をテーブルの上に置いた。箱を開けると、その中には小さなステンレス製の容器があり、中には氷が詰められ、その上には注射器が乗っていた。注射器には透明な薬剤が入っていた。「これは何なの?」香織は必死に抵抗しながら叫んだ。「すぐに分かるさ。保証するよ、これは一生忘れられない経験になるってな」恭平はソファに腰を下ろしながら答えた。まるで蟻に刺されたように、腕に鋭い痛みが走った。針が彼女の腕の肌に深々と刺さったのだ。香織の顔は青ざめた。動こうとしたが、四肢を押さえつけ
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