共有

第0069話

鶴雄は嬌に尋ねた。「どれが嬌の雪蓮草か?」

ニュースで陸川家が美香に雪蓮草を贈ると報じていたのを彼は見ていた。

嬌はすぐに人参を指さした。

鶴雄の目に一瞬の沈黙が走り、口元が引きつった。

人参?鶴雄はその人参を見つめ、笑いを抑えられなかった。

場内の人々の視線が鶴雄に集まり、何か合図を得たかのように言い始めた。「どうやら、綿のが本物の雪蓮草のようだな!」

「本当に綿は大変だっただろうに、こんなに苦労して来て、冤罪をかけられるなんて!」

嬌はその言葉を聞いてすぐに涙ぐみ、目が赤くなった。冤罪をかけられたときには涙を流さなかったが、認められたこの瞬間、涙が止められなかった。

しかし、次に鶴雄がした行動は、場内の全員に冷水を浴びせるようなものであった。

「この雪蓮草、私は歴史書で一度見たことがある。これは本物の——」と鶴雄は綿が持ってきた雪蓮草を取り上げ、自信満々に宣言した。「この雪蓮草が本物だ!間違いない!」

「雪蓮草は、見た目が白バラに似ており、根が太く、色も独特だ!」一方、嬌が送ったものは……

鶴雄は笑いながら続けた。「それはただの人参だ」

「いつから人参が雪蓮草の代わりになるんだ?あははは!」鶴雄の爽やかな笑い声が場内に響いた。

皆は一瞬、何が起こったのか理解できずにいた。

鶴雄が笑ったのは、嬌が本物の雪蓮草を送ったからではなく、それがただの人参だったから笑っていたのだ!

「鶴雄さん、正直に言ってください。私たちの綿ちゃんが送ったのは本物の雪蓮草のか?」美香はもう一度確認するために尋ねた。

鶴雄は重々しく頷いた。「美香、私はいつ君を騙したことがある?こんな多くの人の前で嘘をついたら、雷に打たれるぞ!私はそんな恥知らずなことはできない。偽物を本物だと言うなんて……」

そう言いながら、鶴雄は嬌を見つめた。その目はまるで「恥知らずなのは君だ。どうして人参を雪蓮草だと言い張るんだ?」と言っているかのようだった。

嬌の顔は真っ青になり、心臓が締め付けられるような感覚に襲われた。

場内の人々は一斉に口を閉ざし、針が落ちる音が聞こえるほど静かになった。

綿はその状況を楽しむかのように、人々の灰色の顔を見て、明るく笑った。

彼女は確信していた。もう誰も彼女が送った雪蓮草が偽物だとは言えない。

綿は本物を送るか、送らないかのどちらかだ。偽
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status