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第219話 松本陽葵と再会

「すでに調査は終わっている……」

田中仁が暗がりから現れ、三井鈴の前に立った。「会場内の監視カメラはすべて確認した。いくつか手がかりは見つかったが、今のところ背後姿しか映っていない。正面の顔はまだ確認できないんだ」

「なんだって!やっぱり故意に破壊されたのね」飯塚真理子は怒りに震えていた。

「背中だけで犯人を見つけ出せるの」と三井鈴が不安げに尋ねると、田中仁は彼女の肩に軽く手を置いて、安心させるように微笑んだ。

「心配しないで!逃げられるわけがない」

その言葉に、三井鈴は少しだけ気を落ち着けた。

「みんな、この間はお疲れ様。今夜、個室を予約したので、みんなでリラックスしよう」

田中仁の提案に、周囲のスタッフも一斉に歓声を上げた。

「はい!ありがとうございます、三井さん!」

「ありがとうございます、田中社長!」

「……」

三井鈴は笑みを浮かべ、三井助に声をかけた。「助兄さん、あなたも一緒に行かない?」

三井助は肩をすくめて、「いいね、行こうか」と笑顔で答えた。

それから、彼女はすぐに田村幸に電話をかけた。。

やっぱり、三井助が来ると聞いた田村幸は、すぐに住所を尋ねてきた。

一時間後。

賑やかなカラオケの最も豪華な個室に、全員が揃った。

田村幸が三井助に近づき、挨拶した。「久しぶりです」

三井助も軽く微笑み、礼儀正しく「久しぶりだな」と答えた。

田村幸の目には少し暗い影が差していた。

その微妙なやり取りを見ていた三井鈴は、彼らを気にかけるように、「さあさあ、立っていないで座って」と田村幸を引っ張り、三井助の隣に座らせた。

「さあ、飲み物を頼もう!」飯塚真理子は店員を呼びつけ、祝星野結菜はすでに曲の選曲を始めていた。

「鈴ちゃん、何か歌いたい曲ある?」

「何でもいいよ」と三井鈴は答えた。

その直後、店員がビールのケースを運んできた。「皆さま、お待たせしました。お酒が届きました」

その声を聞いた瞬間、三井鈴はなぜか違和感を覚え、顔を上げると、彼女の視線と松本陽葵の視線が交差した。瞬間、空気が凍りついたように静まり返る。

松本陽葵は予想外の再会に動揺し、視線をすぐに逸らして、三井鈴を知らないふりをした。「お飲み物、ごゆっくりどうぞ。何かご用があれば、ベルでお呼びください。」と、彼女は慌てて言い残し、部屋を出て行った

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