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第444話

最初に到着した人が里香を指さしながら言った。「私が着いた時、彼女はおばあさんの隣に立っていて、おばあさんはずっと泣いていた」

みんなの視線が里香に向けられた。

「彼女がおばあさんを連れ出したんだ。彼女、おばあさんに何かしたんじゃないか?」

「でもおばあさん、彼女のこと好きみたいだったけど。そんなことないんじゃない?」

「お前にはわかってないよ。こんな女は男を騙せるし、おばあさんだってうまく誤魔化せるさ。私たちの知らないところで、おばあさんに何かヤバいことしたに違いない」

「......」

雅之の父、正光が里香に険しい顔を向けて、「一体どういうことだ?」と問いただした。

里香は深く息を吸い込み、どうしてこうなったのか一通り説明した。そして最後に「信じないなら、監視カメラを確認できますよ」と言った。

正光は一瞥を執事に送ると、執事はすぐに監視カメラをチェックしに行った。

五分後、執事が戻り、少し複雑な表情で言った。「ご主人様、若奥様は、監視カメラの映らない死角におばあさまを連れていったようで、そこで何が起こったのか映像には残っていません」

正光の顔色はさらに険しくなっていった。「里香、一体おばあさんに何をしたんだ?こんなこと考えるなんて本当に恐ろしい女だな!おばあさんが認知症だと分かっていながら、よくも彼女を傷つけたりする気になったな!」

里香はすぐさま頭を振る。「私じゃないです!」

彼女は急いで二宮おばあさんの方を向き、証言してくれることを期待した。

しかし、二宮おばあさんは明らかに怯えており、大声で泣き叫ぶのは止まったものの、まだ小さくすすり泣いていて、見るからに哀れだった。

里香は焦燥感に駆られ、なんとか冷静を取り戻すよう努め、続けた。「そうだ、もう一人います。ここで働いている使用人が、滑りそうになった車椅子を止めてくれたんです。彼なら証言してくれます!」

正光は鼻で笑いながら、「もうお前の言い訳を聞いている暇は無い。誰か、この女を閉じ込めておけ。事実が判明したら、解放する!」と命じた。

「かしこまりました!」

執事はすぐに使用人を呼んで里香の口を押さえ、彼女を無理やり別の出入口から引きずり出した。

「うぅ......!」

里香はもがきながら何かを言おうとしたが、正光は彼女を無視していた。

一方、雅之は二宮家唯一の息子で、こ
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