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第394話

雅之と里香は1時間後に到着した。

里香は慌てて階段を駆け上がり、浴槽に浸かっているかおるを見つけた。冷たい水がいっぱいの浴槽に座るかおるの顔は、まるで生きる希望を失ったかのような表情を浮かべていた。

「かおる?」

里香は微かに震える指で彼女の顔に触れた。かおるは瞼を上げて彼女を見つめ、泣くよりも哀れな笑顔を見せて言った。「里香ちゃん、もう少しで死ぬところだったわ。あのクソどもを殺してやる!」

里香はそばにあったバスタオルを引き寄せてかおるを包み、「歩ける?」と尋ねた。

かおるはうなずいた。「薬の効き目はもう切れたわ」

里香の美しい瞳に冷たい鋭い光が浮かび上がり、かおるを抱きかかえて浴室を出た。

執事はすでに女性用の服をクローゼットに用意していた。

里香はその服を取り出して彼女に渡し、「服を着替えて、復讐しに行くわよ」と言った。

かおるはその言葉に元気を取り戻し、急いで体を拭いて服を着替えた。

「なにこれ、大きすぎるじゃない!」

かおるは自分の体にぶかぶかのスポーツウェアを見下ろし、まるで子供が大人の服を借りたような姿になっていた。

里香はそれを見て、「とりあえず我慢して。濡れた服のままじゃいられないでしょ」と言った。

かおるはズボンの裾と袖を何度も巻き上げ、ようやく出かける準備が整った。

階下に降りると、雅之と月宮がリビングのソファに座っていた。

里香たちが現れた瞬間、雅之の視線は里香の顔に向けられ、薄い唇が真一文字に結ばれ、全身から低いオーラが漂っていた。

かおるが最初に口を開いた。「二宮さん、あんたもダメじゃない?お仲間に裏切り者がいるなんてさ。あんたのそばがこんなに危険なら、里香ちゃんとさっさと離婚したほうがいいんじゃない?今回は私だけど、次は彼女かもしれないじゃん?」

雅之が直接関与していないと分かっていても、かおるの怒りは収まらない。もともと彼が気に入らなかった彼女にとって、これ以上ない絶好の機会だった。

雅之は冷たく彼女を一瞥した。「助けるのも無駄だったな」

かおる:「......」

彼女がさらに文句を言おうとすると、里香が彼女の手を握って「先に休む?それともあいつらを見に行く?」と聞いた。

かおるは「アイツらを八つ裂きにしてやる!」と答えた。

里香は雅之に向かって、「その人たちはどこにいるの?」と尋ねた。

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