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第145話

月宮は雅之を押さえつけて言った。「お前が酒を飲みたい気持ちはわかるけど、そんなに焦らなくてもいいだろ。酒を飲むにはちゃんと理由が必要だ。何があったんだ?」

雅之は冷たい目で月宮を見つめた。「お前、頭おかしいんじゃないのか?」

月宮は苦笑いしながら言った。「雅之、お前どうしたんだ?俺はお前のことが心配で言ってるのに、なんでそんなこと言うんだよ?友達にそんなこと言ったら、傷つくだろ?そうなったら、一緒に酒飲む友達がいなくなるぞ」

雅之は冷ややかに月宮を見つめたままだった。

二人はしばらく無言で向き合っていた。やがて、月宮が手を挙げて降参するように言った。「わかったよ、俺の話は無駄だったな。飲めよ。酔っ払っても、俺に泣きつくなよ」

雅之は静かに言った。「その前にお前の脳みそをかち割ってやる」

月宮はしばらく沈黙した。

なんてこった…

雅之は酒を飲み、辛さが口の中に広がった。眉をひそめ、背もたれに寄りかかって目を閉じた。

やがて低くかすれた声で言った。「月宮、俺がここまで生きてこれたのは、何のおかげだと思う?」

月宮は軽く笑って答えた。「運が良かったからじゃないの?」

二人の会話は途切れた。

個室の中はしばし静寂に包まれた。

その後、月宮は笑いながら言った。「お前が言いたいことはわかるよ。お前、今、心が揺れてるんだろ?自己疑念に陥ってるんだな?雅之、心が揺れてるってことは、もう天秤が傾き始めてる証拠だ。でもな、そんなことで悩む前に、お前の心を揺さぶった彼女が、お前を傷つけたことがあるか考えたほうがいいじゃないか?」

「ない」

雅之は喉を上下させながら、ただそれだけを言った。

月宮は言った。「それなら、何を気にしてるんだ?」

雅之は低い声で答えた。「でも、同じ過ちは繰り返したくないんだ」

月宮は軽く笑って言った。「お前、慎重すぎるんだよ。さ、飲もうぜ」

夜が深まっていった。

里香はしばらくバラエティ番組を見てから、立ち上がってシャワーを浴びに行った。シャワーから出ると、スマートフォンが鳴りっぱなしだった。

彼女がスマホを確認すると、知らない番号がずらりと並んでいた。

以前に恐ろしい写真を受け取ったことが頭をよぎり、今回も何か不吉な電話かもしれないと思ってすぐに切った。

だが、相手はしつこく何度もかけてきた。

里香はその番号をブロ
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