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第106話

食事が終わり、里香はキッチンを片付けた後、隣の部屋でシャワーを浴びて寝た。

一晩中、良い夢を見て、朝を迎えた。

翌朝、隣の部屋から出てくると、雅之の姿はもうそこになかった。

里香はリビングで少し考えた後、鍵を変える必要があると感じた。

次回、雅之が勝手に入ってこられないようにして、管理人に頼むこともなくなるだろう。

すぐに行動に移し、鍵の交換業者に連絡した。

しばらくして業者が到着し、今回は指紋認証とパスワードロックに変更した。

パスワードは里香とかおるだけが知っていた。これなら、他の誰も入ってこれなくなる。

業者が去った後、里香は満足げに新しいロックを見つめ、すぐにかおるにメッセージを送った。

【これが私の家のドアロックのパスワードよ、覚えておいてね】

すると、かおるからすぐに電話がかかってきた。

「ハイテクに進化したね」

里香はドアを開けて中に入り、笑いながら答えた。

「次に来るときはドアを叩かなくてもいいから、楽でしょ」

かおるは少し眠そうな声で、「うん、いいね」と返事した。

里香は少し考えてから、「今日は時間ある?」と尋ねた。

「あるよ、何か予定があるの?」と聞かれ、事情を説明すると、かおるは驚いた声で、「喜多野さんって、冬木のあの由緒正しい名門、喜多野家の御曹司なの?」と聞き返してきた。

里香は「そうよ、しかもあの日バーで一緒に飲もうと誘ったのが彼だったの」と答えた。

「うわぁ…」とかおるは息を呑んで、「まさか、あの人が喜多野家の人間だとは思わなかったわ」と驚いた様子。

里香は少し疑問を抱き、「喜多野家って、そんなに特別な家なの?」と尋ねると、かおるは少し眉をひそめて答えた。

「あの家、大きな家族だからね、いろいろな噂が飛び交ってるのよ。あのクズ男だって、噂の対象になってるんじゃない」

里香は冷たく言った。「そのクズ男の話はやめてくれる?」

かおるはすぐに「わかったわ、もうその話はしない。でも、今からそっちに行くから、喜多野家の噂話をしてあげる」と応じた。

「うん」と里香は答えた。

朝食の準備が終わる頃、かおるが到着した。

二人はテーブルに座り、かおるは手作りのクレープを一口食べ、「里香ちゃん、もし仕事を辞めたら、屋台でクレープを売るのも大成功間違いなしね。美味しすぎる!」と褒めた。

「今度試してみるわ」
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