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第10話

つよしとももこが海外旅行から帰ってきた。

父は一度認めた以上、家族が恨みを持って過ごすことは望んでいなかった。

そのため、今日は家族が集まれるよう、豪華な料理を用意してくれた。

「久しぶりね、月。海外から戻ってきたばかりで、ずっと会えなかったわ。どうして家に閉じこもってるの?名ばかりの娘で、お金ももらえないのかしら?」

ももこはつよしの腕に絡みつき、わざとらしく笑った。

つよしは私を一瞥し、軽蔑の表情で顔を背けた。

「たかが私生児に金があるわけないだろう。僕の母さんが正妻で、その他の女なんて父が外で遊んでただけだ。子供ができたって父は気にしないさ。君の母さんが死んで、父が哀れんで拾ってくれなかったら、誰も君なんか面倒見ないぞ」

私を侮辱するのはいいが、母のことまで言われるのは我慢ならなかった。

私が奴に手を出せないとしても、父が黙っているとは思えない。

ももこのやり方を真似て、わざと泣きながら父のもとへ走り寄った。

「お父さん〜、お兄ちゃんが、私のお母さんはただの遊び相手だったって。お父さんは私なんかいらなかったって。お兄ちゃん、私のこと大嫌いなんだって〜!」

ももこが使った策略で相手を詰む。

父はこの言葉を聞くやいなや、穏やかだった表情が一瞬で険しくなった。

そのままつよしに向かって強いビンタをお見舞いした。

「今日といういい日に俺を怒らせるな!出て行けと言わせる気か!」

ももこがつよしの後ろで小声で不満を漏らした。

「あいつ、どうせ演技でしょ…」

ももこの言葉は、父の怒鳴り声で遮られた。

「ここでお前が口を挟むな!嫌なら出て行け!月をいじめるのなら、明日から一銭もやらんぞ!」

これでどちらが大事かはっきりした。

ビンタを食らったつよしは大人しくなり、ももこも怯えながら沈黙した。

夕食の席で、ももこは時折私を睨みつけてきたが、私は平然と食事を続けた。

「父さん、その…これから、少しお金を増やしてもらえませんか…?」

食事の途中でつよしが恐る恐る切り出した。

「毎月の小遣いじゃ足りんのか?この町の不動産を買い尽くす気か?」

つよしはおもねるように微笑み、「違います、父さん。最近ももこと一緒に投資をしたくて…でも、少し足りな
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